自分はもちろん、同伴競技者にも気持ちよくラウンドしてもらうには、最低限のエチケット&マナーを身につけておくべきです。プロキャディ・伊能恵子さんが独自の視線で語るエチケット&マナー第3回は、フェアウエイの横切り方についてです。
【バックナンバーをチェック!】 プロキャディ・伊能恵子がアドバイス ゴルフ上達に役立つエチケット&マナーのススメ
◆親しい仲なら「ごめんなさい!」の一声かけてラインを横切っても可
ビギナーにとってラウンド中に迷いやすいのが、他のプレーヤーの前を横切るかどうかですよね。例えば、ティショット、あるいは2打目以降がホールの左サイドにあるとします。カート道路が右サイドにある場合、クラブを手にしたらフェアウェイを横切ってボールのところへ行くしかありません。ところが、ふと見るとフェアウェイの右サイドと真ん中にボールが1つずつあります。同伴プレーヤーのものですが、自分のボールよりもピンまでの距離が残っています。
この場合、その人たちが打つのを待ってから自分のボールのところまで行きますか? それとも遠回りになりますが、その人たちの後ろを通って自分のボールのところまで行きますか? もしくは、その人たちの前を横切って自分のボールのところまで行きますか?
エチケットを考えれば、他人のボールと目標を結んだラインを横切ることは好ましくありません。しかし、その一方で、迅速なプレーを求められるのがゴルフです。自分の番になったらすぐに打てる準備をしておく必要があります。その意味ではわざわざ遠回りをして時間をかけることがベストな選択とは言えません。大切なのは状況判断です。
ここで判断材料になるのが、同伴プレーヤーがすぐにボールを打てる状況かどうか。仮に、フェアウェイ右サイドにボールがある人をAさん、真ん中にボールがある人をBさんとします。まだボール地点に2人とも到達していないのなら、何も考えずにフェアウェイを横断しましょう。
ボールのところには到達しているものの、前の組がプレー中でまだボールを打てない状況なら、「ごめんなさい、失礼します!」と言って、2人の前を横切るのはありだと思います。ただし、どれだけ親密な仲なのかにもよります。気心の知れた内輪のラウンドならいいでしょうが、初対面の人やそれほど親しくない関係ならば、打ち終えるのを待ってから自分のボールのところへ行くべきだと思います。
また、いくら親しい仲でも、アドレスに入りそうな雰囲気があれば、2人がボールを打ち終えてから自分のボールのところへ走り出しましょう。その際、どこで待っているのかが大切なポイントです。もっとも避けたいのは、Aさんの右斜め前です。一つ間違えると打球が当たって大ケガをするからです。絶対に打つ人の前方には出ないこと。よそ見をして打球を見ないことも厳禁です。できれば、Aさんの視界に入らない距離で、正面や背中側に立ちましょう。打球が飛んでこないからといって飛球線後方に立つと、相手が気になるので避けます。
Aさんが打った直後にダッシュしても構いませんが、Bさんがすぐ打つようなら、打ち終えるのを待つべきです。その際、Aさんのときと同様に、Bさんの前方には出ず、視界からも外れる位置で待つようにしましょう。
何も言わずに同伴プレーヤーのボールと目標を結んだラインを横切るのはマナー違反
気心の知れた仲なら、「ごめんなさい、失礼します!」と声をかけてから相手の前を横切ってもいいケースもある
打球が当たる可能性もあるので、同伴プレーヤーの右斜め前に立つのは厳禁。よそ見もしないこと
打球が当たらないからといって、同伴プレーヤーの飛球線後方に立つのはNG
これから打つ人の前に出ず、視界に入らない距離のところに立つように心がける
取材・文/山西英希 撮影協力/木更津ゴルフクラブ