こんにちは、匿名ライターの「かこみらい」です。キャディとしてお客様と接する中で起きたあんなことやこんなことを、個人的主感たっぷりにお伝えしていきます。今回は、「お気に入りすぎるボール」を使用したことで起こった悲劇をお伝えしていきます。
キャディさんに見られてる!“こんなゴルファーはイヤだ!”と思われるNGマナー バックナンバーをチェック!
ある夏のラウンドのこと。スタートホールでおばさまゴルファーが手にしていた、ディンプルの形に特徴がある、鮮やかなカラーが目を引くボール。今は広く知れ渡っていますが、当時は珍しく、私も初めて目にして驚いたことを覚えています。「素敵なボールですね」と話題にしたところ、おばさまは得意げにそのボールについて弾丸トークを繰り広げました。
空気抵抗をものともせずに飛ぶんだとか、こんなに珍しいカタチなのに公式認定球で、世界で初めてのディンプルなんだとか…。よほどお気に入りなのね、と話を半分聞き流しながらうなずく私。
さて、バックナインに入り、池の絡む難しいホールで、彼女の打ったボールが大きく曲がってしまいました。もしかして池に落ちたかも? という瀬戸際で、はっきりと確認できず。急いで落下地点に向かうものの、やはりボールは見当たりません。
見当たらないことを知らせるも、あきらめる様子がないおばさまゴルファー。「お気に入りのボール、絶対に探し出す!」という気迫に負け、池の淵まで捜索していると、足場の悪い中におばさまもやってきました。
危ないのでここまでは来ないように! と注意を促すものの、聞き入れてくれません。早めにボールを見つけて切り上げようと決意した瞬間、かすかな悲鳴。まさかと思ってふりかえると、彼女、片足を池に落として抜けなくなっているではありませんか。
おばさまも私も大慌て。同伴メンバーと力を合わせて、なんとか引き上げることに成功しました。大事に至ることはなくほっとしましたが、もはやボールどころか、ゴルフさえままならない事態に…。その日のプレーはそこで中断することになってしまいました。
その時は何事もなくてよかったものの、ボールひとつを探すために進行が遅れるのは大問題。ルールにも3分間と明確に定められています。ましてや、ボールの探索で自分が池ポチャしてしまったら…もうゴルフどころではありません。安全と進行に配慮したプレーを自分も心がけていこうと誓う、かこみらいなのでした。
◆【教えてくれたのは】匿名キャディ・かこみらいさん
某有名トーナメントコースの元キャディ。自分でプレーするのも大好きで、ゴルフギアには一家言あり。趣味は車で、Bライセンスを取得するガチっぷり。歴代アメ車を所有し、エンジンルームを眺めているだけで一日が終わってしまうほど。ゴルフ、クルマなどの知識を活かし、現在はライターとして活躍中。