ボールはフルショットしたときに1/3くらいつぶれるとそのボールのポテンシャルを引き出せてよく飛ぶということをお話ししました。
今回は、ボールには、大きく分けてふたつのタイプがあることについてお話ししますが、その前にまず、ボールの飛びは3つの要素が非常に大切であるということを頭に入れておくと、ボールを選ぶときに役に立つでしょう。
【女性ゴルファーのためのゴルフボール講座】バックナンバーはこちら!
◆インパクト後の3つの要素が、ボールの飛びを大きく左右します
3つの要素とは・・・
1 ボールの初速
インパクト後にボールが飛びだすときの速さのことで、ヘッドスピードやミート率(ヘッドスピードをボール初速で割った数値で、高いほどいいとされる)も影響しますが、ボールの反発性能が高いほどボール初速は速くなります。
2 打ち出し角
インパクト後にボールが飛びだすときの角度のことで、ドライバーショットでは打ち出し角は高い方が飛びには有利です。
3 スピン量
インパクト後のボールの回転量のことで、ショット時には縦回転のバックスピンと横回転のサイドスピンがかかります。バックスピン量は少ない方が風に強くて飛びには有利になりますし、サイドスピンも少ない方が曲がりは小さくなります。
※スライスして大きく曲がってしまうのは右回転のサイドスピンがたくさんかかってしまったということです。
この3つの要素のうち、1のボール初速は、ヘッドスピードが速い方が速くなりますが、ショット時に1/3程度つぶれるボールを選ぶ方が、エネルギーロスを抑えられるので自分のヘッドスピードに合うボールをおすすめします。
2の打ち出し角は、硬いボールよりもやわらかいボールの方が高くなります。
3のスピン量は、ボール全体の硬さやカバーの硬さが影響します。ボール全体の硬さがやわらかいボールはフルショットでのスピン量が少なくなります。カバーがやわらかいボールはアプローチショットでのスピン量が多くなります。
◆飛び系とスピン系、どう違う? どう選ぶ?
そこで本題ですが、ボールには“飛距離重視のディスタンスタイプ”と“アプローチなどでの止まりやすさを重視したスピンタイプ”、設計コンセプトの違う、ふたつのタイプがあります。
飛距離重視の「ディスタンスタイプ」は、スピン量が少なくなるよう作られています。
コア(中身の部分)をやわらかくしてボールがつぶれやすくしているものが多いです。(カバーは硬めです)
「ディスタンスタイプ」がおすすめなのは、
・力がないのでできるだけ飛距離が欲しい
・ドライバーショットでアドバンテージが欲しい
・ボールがよく曲がる、OBしたくない(スピン量が少ないボールはサイドスピン(横回転)も少ないので方向性がよくなる)。
という人。とにかく飛ばしたい人はもちろん、力のない女性や、真っすぐ飛ばす技術のないアベレージゴルファーにはこちらがおすすめです。
「スピンタイプ」はその名の通り、アプローチショットでスピン量が多くなるように設計されています。
ディスタンス系とは反対に、カバーがやわらかくコア(中身の部分)が硬いのが特徴。
・ショートゲームでピンを直接狙って、スピンでギュギュっと止めたい
・ドローやフェードなどを打ち分けたい
という人におすすめ。そもそも十分に飛ばせる技術を持っている人や、正確なショットでスコアを確実に作っていきたい人など、比較的上級者好みのボールです。
スピン量が多く、打ち方で距離をコントロールできるスピンタイプは、繊細なアプローチショットなどで活躍
ちなみに、最近ではドライバーショットでの飛距離とアプローチショットでのスピン量を両立するボールも出ているので、注目したいですね。
技術の欠点を補ってくれたり、自分がしたいプレーの手助けをしてくれたり。自分のプレースタイルに合うボールを見つけることで、プレーの幅がもっと広がりますよ。
◆教えてくれたのは…
吉本舞さん/USLPGAティーチングプロ。1990年生まれ。佐賀県出身。ツアープロコーチ、森守洋氏主宰の「東京ゴルフスタジオ」(東京都三鷹市)にて、レッスン中。細かくていねいな指導に定評がある。
撮影/福田文平 取材・文/たかはしよし子