さまざまなスポーツが制限されてきた中、とりわけ密ではないスポーツとして注目を浴びたゴルフ。自粛期間中もプレーを楽しんだ人が多いようですが、本当に安全なスポーツなのでしょうか?
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◆Regina読者に聞いた! コロナ禍でのゴルフライフ
【Q1.】プレー時にとくに気を付けていることはなんですか?
【Q2・Q3】ゴルフは安全はスポーツだと思いますか?プレーの頻度は変わりましたか?
ゴルフは密にならず安全と考える読者が72%と多数派である一方、半数以上のゴルファーのプレー頻度が下がる結果に。外出自粛の影響はもちろん、「ゴルフ友達を誘いづらい雰囲気」、「一人予約や組み合わせで知らない人とプレーするのは不安」など、4人1組でプレーするゴルフだからこその悩みも浮き彫りに。スループレーやクラブハウスでのマスク着用、除菌グッズ持参など、新たなゴルフスタイルを模索する人も増えています。
◆プレーの安全性について〜医療の現場より〜
「大切なのは正しく恐れること」。ゴルフを続ける医師の考えは?
新型コロナウイルスについては「正しく恐れる」ことが一番大切だと思っています。その上で、自分の職種や家庭環境など立場を考えて行動する必要があります。
クリニックにおける診療は、新型コロナウイルス感染者の治療を直接行うわけではありませんが、感染初期症状のある患者さんが来院するケースも考えられます。風邪の訴えで来院して、実はコロナ感染者であるという可能性も。世の中には軽症の患者さんと重症の患者さんが混在していることになります。感染しているかどうかの判断も一筋縄ではいきません。治療薬やワクチンができていない現状では、それぞれが置かれた立場でウイルスと共存するしかないということです。日々感染者数が発表されるなど感染リスクを煽るような報道によって負のサイクルが生み出されているように思えます。これまでに経験のない疫病ですので、医師によって対応の仕方や考え方などもそれぞれですし、診療科によっても対応は異なるでしょう。感染者への偏見が取りざたされており、少なからず胸を痛めています。
コロナ禍でのゴルフの是非についても議論がありますが、正しく恐れることを実践できるのであれば問題はないと考えます。たとえば感染予防のためバンカーレーキを置かないゴルフ場も見かけますが、レーキに触れることが問題なのではなく、仮にレーキが汚染されていたとして、それを触れた手で目や口などの粘膜に触れることがリスクであるという正しい理解があれば、感染予防にどのような行動が好ましいか自分で考え行動できるはずです。
プレー後に手洗いやうがいを徹底することが浸透しているのは、自ら考え能動的に行動できていることの表れではないでしょうか。ゴルフ場のレストランも最近は対策をとっています。あとは大声で話さないなど一人ひとりの心掛け次第で、リスクを下げ楽しくゴルフをすることができるのではないかと思います。
高齢である私の両親も3密を避けつつマイペースでゴルフを楽しんでいます。連日報道されるコロナ関連のニュースで気持ちも滅入ってしまいますが、正しく恐れるという気構えで、私も広々としたコースで気の置けない仲間とラウンドを楽しみたいと思っています。
ゴルフにはもちろん観る楽しみもあります。プロの試合が始まりましたが、感染拡大防止のために無観客の様子を見て、少し寂しい気がします。早く多くのギャラリーの応援で盛り上がる試合が見たいものです。
◆お話を伺ったのは…耳鼻咽喉科専門医 久我たくみさん
東京女子医大卒。久我クリニック勤務。
取材&文/小川淳子(清流舎)