こんにちは、匿名ライターの「かこみらい」です。キャディとしてお客様と接する中で起きたあんなことやこんなことを、個人的主観たっぷりにお伝えしていきます。
その日わたしが担当したのは、同僚と思われる4人組ゴルファーでした。プレー開始早々、カート近くでゴルフクラブを掃除していた私の横に、ピッタリと寄り添ってくる、仕事が出来そうなやり手風のマダムゴルファーが…。
始めて見るお客さまだったので、このホールはどこから攻めるのが最適だとか、グリーンの傾斜に気を付けてとか、コースについてお話していました。最初はおとなしく聞いていてくれたマダムでしたが、突然、上司にあたるらしい同伴者のおじさまについての愚痴を語りだしたんです。
「今進めているプロジェクトで、あの人の下についているの。でも、考え方が違いすぎて…なにかというと女を下に見て。もうついていけないのよ」
「慎重なのはいいんだけど、気持ちが弱すぎると思うのよねえ…どう伝えたらいいと思う? ほら、パットもショートばかりでミスってるでしょ。ああいうところ。決断できないっていうかね~…」
プレー中で途切れ途切れになる話を聞くのだけで精いっぱい。集中力が乱されるからか、私の仕事も手一杯です。聞いてあげたいのはヤマヤマなのですが、人間関係のお悩み相談はキャディの仕事ではありません…。話が堂々めぐりになってきたところで、私もついにギブアップ。再び忍び寄るマダムに、そっと耳打ちを。
「仕事でのお悩みは尽きませんが、せっかくのゴルフが台無しにならないよう、今はゴルフを楽しみましょう! 今日は上司の方に勝って、日ごろのうっぷんを晴らしちゃうのはどうですか?」と。
その言葉で吹っ切れたのかどうかは定かではありませんが、マダムは絶好調でラウンド終了。上司に勝利して、妙にスッキリした顔をしていました。
彼女の仕事のモヤモヤは一時的にスッキリ解消したかもしれませんが、その日の業務終了後は、私の愚痴を同僚こぼしてしまう結果に…。私の円滑な人間関係を返して! とちょっぴりマダムを恨んでしまったかこみらいなのでした。
◆【教えてくれたのは】匿名キャディ・かこみらいさん
某有名トーナメントコースの元キャディ。自分でプレーするのも大好きで、ゴルフギアには一家言あり。趣味は車で、Bライセンスを取得するガチっぷり。歴代アメ車を所有し、エンジンルームを眺めているだけで一日が終わってしまうほど。ゴルフ、クルマなどの知識を活かし、現在はライターとして活躍中。