こんにちは、匿名ライターの「かこみらい」です。キャディとしてお客様と接する中で起きたあんなことやこんなことを、個人的主観たっぷりにお伝えしていきます。さて今回は、前の組、隣のホールへの「打ち込み」問題についてご紹介していきます。
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◆「あそこまでは届かない」は魔の一言
思いやりあふれる女性ゴルファーの皆さんにとって、自分自身が「打ち込み」をしてしまったという経験はないかもしれません。とはいえ、フォローの風の影響で思いがけず前の組の側までボールが寄って行ったり、隣接ホールのプレーヤーの足元に転がっていったり、という経験はあるかもしれませんね。
キャディが恐れる、打ち込み・打球事故を誘発しかねないプレーヤーの魔の一言…それが
「大丈夫、あそこまでは届かないから」というもの。
そのセリフが飛び出したのは、実力にかなり自信のありそうな男性4人組についたある日。1打目が大きく曲がり、隣のホールに入っていってしまった男性プレーヤーが、木の間を塗ってフェアウェイに戻そうと構えたときのことです。確かに前の組からはじゅうぶん距離もありましたが、危険はそこだけではありません。問題は打ち込んだ隣接ホールにもプレーしている組がいる、ということ。
隣のホールにボールが入っていってしまったとき、キャディが付いている場合は、まずキャディが状況を確認しに向かいます。近くでプレーしている組がいなければ、コース上の安全を確認の上、プレーヤーに打つ状況を作ります。
彼がまさに打とうとしているその時はまだ、近くで隣の組がプレー中だったのです。前の組に届かなくても万が一ということがありますから、「まだ打たないでください!」と制止。しかしこういうプレーヤーに限って、キャディの制止を無視して打ってしまう場合が多いんですよね…。
彼が木の間をぬってフェアウェイに出そうとしたボールは、木に当たって跳ね返り、あろうことか隣接ホールのプレーヤーの足もとへ…!
同組、前の組、隣の組、そのキャディと合計13名の視線にさらされ、さすがに彼も青ざめていました。私は「終わった…」と思うより早くダッシュで打ち込んでしまった組に駆け寄りお詫び。幸い事故に至ることはありませんでしたが、もちろん、多くの方からお叱りを受けてしまいました…。
打球事故は思いがけないシチュエーションで起こるもの。楽しいはずのゴルフで事故を起こさないためにも、せめてキャディが付いているときは、キャディのいうことちゃんと聞いてください! と冷や汗をかいた、かこみらいなのでした。
◆【教えてくれたのは】匿名キャディ・かこみらいさん
某有名トーナメントコースの元キャディ。自分でプレーするのも大好きで、ゴルフギアには一家言あり。趣味は車で、Bライセンスを取得するガチっぷり。歴代アメ車を所有し、エンジンルームを眺めているだけで一日が終わってしまうほど。ゴルフ、クルマなどの知識を活かし、現在はライターとして活躍中。