身長151センチと小柄ながら、パワフルなドライバーショットとキレのあるアイアンショットを武器に、国内ツアーで活躍する田中瑞希プロ。今シーズン、シード権獲得はもちろん、ツアー初優勝を狙います。その田中プロが女性アベレージゴルファーのために、スコアアップの秘訣をレッスン! 第5回は60ヤードの重要性について説明します。
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◆60ヤードを極めれば大叩きはしない
アベレージゴルファーが大叩きする原因はどこにあると思いますか? ビギナーだとティショットやセカンドショットのように長いクラブでのミスも多いでしょうが、100前後で回る人にとって鬼門となるのが80ヤード以下のショットです。
この距離からグリーンに乗せることができず、グリーン周りのバンカーやラフに入れて、寄せ切れずにスコアを重ねてしまいます。逆に、80ヤード以下の距離から確実にグリーンに乗せることができれば、間違いなくスコアを縮めることができるわけです。
本来なら短いクラブで打つ80ヤード以下の距離で、なぜミスショットが生まれるのでしょうか。その理由は振り幅にあります。他のクラブと同様にフルスイングをすると、グリーンをオーバーすることが分かっているので、振り幅を調整しようとします。それがスイングの緩みにつながり、ダウンスイングでスピードを弱めがちです。結果、正確なインパクトを迎えられず、ダフリヤトップといったミスが生まれるのです。
まずは、自分にとっての得意な距離をつくりましょう。私の場合60ヤードですが、この距離を極めることによって、30~80ヤードの距離をすべてカバーできます。グリーンに乗るどころかピンに寄る確率が高くなるので、ぜひ皆さんも60ヤードを極めてみましょう。
80ヤード以下の距離から確実にグリーンに乗せることができれば、スコアを一気に縮めるチャンスが広がります
◆距離を決めるのは振り幅とクラブを持つ長さ
80ヤード以下の距離感をつくるには、スイングの振り幅、クラブを握る長さが決め手となります。私の場合、振り幅は4パターンあります。右腰から左腰まで、右腕と左腕が水平、右耳から左耳まで、そしてフルショットです。また、グリップの位置はグリップエンドから指1本分、指3本分、指5本分余らせる3パターンです。使用クラブは58度のサンドウェッジ1本です。
指5本分短く握るときは振り幅で30、40、50、60ヤードを打ち分けることができ、指3本分短く握ると40、50、60、70ヤードを、指1本分短く握ると50、60、70、80ヤードを打ち分けることができます。したがって、60ヤードを打つパターンは3つあります。指3本分短く握って耳から耳の振り幅で打つとき、指5本分余らせてフルスイングするとき、指1本分余らせてバックスイングでは右腕が水平、フォローでは左腕が水平になる振り幅で打つときです
皆さんも自分にとってのクラブを握る長さ、振り幅に応じた距離をつくっておけば、不安になってスイングを緩めることもなくなります。ドライバーショットで飛距離を伸ばしたり、方向性を高めることよりも実現できるチャンスは大きいので、ぜひ挑戦してくさい。
グリップは指5本分短く握る、指3本分短く握る、指1本分短く握るの3パターンです
右腰から左腰までの振り幅
腕が水平になる振り幅
右耳から左耳の振り幅
フルショット
◆教えてくれたのは…
田中瑞希プロ たなか・みずき/1998年生まれ、熊本県出身。2019年に3度目の挑戦でプロテストに合格。小柄ながらドライバーの平均飛距離は約243ヤード。今季の開幕戦、アース・モンダミンカップでは3位タイで注目を浴びる。ツアー初優勝を期待される黄金世代のひとり。
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取材・文/山西英希 撮影/鈴木祥