『可愛すぎる弁護士ゴルファーが教えるゴルフ保険』シリーズ。連載スタートから早くも大人気の山口先生に、実際のゴルフ場で起きたトラブルと判例について解説してもらいます。今回、教えてもらうのはアルバトロスやホールインワンが起きたとき。先日、原英莉花プロがホールインワンを達成し話題になっていました。では、どんな費用が保険で補償されるのかさっそくチェックしていきましょう。
◆教えてくれたのは…弁護士の山口めぐみ先生
梶山法律事務所所属。交通事故等の損害賠償請求、離婚、相続等の身近な法律問題から、契約書作成や労務相談など企業や経営者からの法律問題まで幅広く扱う。女性ながらの細やかで丁寧な対応からクライアントの支持も高い。かつ、ゴルフ歴7年のゴルフ女子。好きなクラブはドライバーで、パワフルなスイングを持ち味とする原英莉花選手を応援している。Instagramアカウントmegumi_lawyer Instagram ゴルフアカウントmegumi_golf
◆パーよりも3打数以上少ないとアルバトロス
まずはホールインワンとアルバトロスについておさらいしましょう。ホールインワンは一打目が直接、カップインすること。アルバトロスは、パーに該当する打数よりも3打以上少なくカップにボールを入れることをいいます。具体的には、パー5のホールであれば、2打以下でホールアウトすればアルバトロスと認められます。
どちらにしても、多くの人にとっては一生に一度、あるかないかという珍しいできごとです。うれしいものの、「え? どうしよう」と戸惑うことも多いでしょう。レアなできごとのため、日本では達成した時には記念品を贈ったり、パーティをするなど、お祝いをする習慣があります。
ポイントは達成した本人が費用を負担する点です。
私自身も、この保険を知った当初、「え? 周囲がお祝いしてくれるのではないの?」と思ったのですが、「アルバトロス・ホールインワンを達成した本人」が記念品や祝儀費用を負担する慣習なんですね。そのため、ホールインワンに備えて保険に加入するゴルファーも少なくありません。
◆ホールインワン・アルバトロス保険の使用条件
どんなゴルフ場でも、ホールインワンやアルバトロスを達成したら保険を使えるのか、というとそうではありません。いくつかの条件があります。例えば、パー35以上で、9ホール以上を有するゴルフ場でなければ対象となりません。河川敷のコースでは要件を満たさないこともありますので、注意してください。
◆ホールインワンはどうやって証明するの? 申請方法は?
ホールインワンもアルバトロスも、本人による自己申告だけでは認定されません。同伴競技者に加えて、同伴競技者以外による目撃の立証が必要になります(ただし、公式競技において達成した場合は、同伴競技者のみの目撃でOKとなります)。
キャディ付プレーの場合は、もちろんキャディが目撃者となってくれます。
問題は、セルフプレーの場合です。
セルフプレーの場合、目撃者を探すことになります。
その場にゴルフ場従業員やコースメンテナンスの造園・工事業者、ワンオンイベント業者、前後の組のゴルファーなどがいれば、その人に目撃の立証を頼みましょう。
携帯で撮影した動画が使えることもありますが、当該動画からホールインワンやアルバトロスを達成したことを客観的に確認できることが必要です。以下のような動画を撮影できていることが必要となるでしょう。
・ティーショットを打つ前、プレイヤーの顔が確認できる
・1打目からカップインまでの様子が連続して写っている
保険を使用する場合、ホールインワン証明書や、アテストしたスコアカード、プレーフィーの領収書などの提出が求められます。また、記念品やパーティー代で実際に支出した領収書を提出する必要があります。
◆どんな記念品でも補償されるの?換金性の高い商品券は補償されないことも
保険の補償範囲ですが、当日のプレー代は対象外です。以下のような費用が保険で補償されるので、確認しておきましょう。
・祝賀会の開催費用
・贈呈用の記念品を購入した費用
・記念植樹にかかった費用
・同伴キャディに対する祝儀
このうち祝賀会の開催は、「プレー日から3カ月以内」などの開催期限が設けられている場合があるので注意が必要です。また、贈呈用の記念品については、何でも対象となるわけではありません。商品券、有価証券、切手など換金性の高いものは、対象とならないこともあるので、記念品を購入する前に、保険会社に確認するのがベターです。
◆山口先生のワンポイントチェック!
「セルフプレーの場合、後続の組の人に目撃の証言をしてもらうこともできますが、身内だと認定されないなどの条件があるようです。また、ホールインワン・アルバトロス保険は、実際に支払った費用について補償されることになるので、保険会社が必要な費用として認めない場合は支払われないこともあります。心配であれば、保険会社に相談しながらお祝いの準備をするとよいでしょう。」