「狙ったポイントにきっちりとボールを落としたい」というのが、女性ゴルファーの悲願! そしてアイアンショットにおける最大のテーマですが、それを実践しているのが稲見萌寧プロです。昨年はパーオン率第1位に輝いただけでなく、歴代最高の78.2079%をマーク。今季は史上初の80%超えを狙う“令和のアイアンマスター”なんです。
今回はアドレスについて聞いてみました。
◆腹筋に力を入れて背中を真っすぐに
インパクトゾーンを真っすぐにするにはアドレスが大事。私がアドレスで気をつけているのは、頭と上体の傾き具合です。飛距離を稼ごうとしたり、打ち上げホールを迎えると、どんどん右に傾くクセがあり、右肩が下がってしまうからです。体の軸が右に傾いたままテークバックを行うと、正しい位置にクラブが上がらず、結果的にインパクトにも誤差が生じます。
それを防ぐには、頭と上体を一度左サイドへ極端に傾けるのが得策です。それからアドレスすると、右への傾きを抑えられます。その際、ボールを真上から見るようにすると、より体の軸を真っすぐにした状態で構えることができます。
また、背中が反らない点にも気をつけるべきです。背中が反ったままバックスイングを行うと、上体が起き上がり、正しい位置にクラブが上がりません。アドレスでは背中が真っすぐになるように構えましょう。腹筋に力を入れておなかをへこませると、背中の反りを防げます。
インパクトではハンドファーストが正解だといいましたが、アドレスではハンドファーストを意識しません。意識するとフェースが開き気味でボールをとらえてしまうからです。ただし、ハンドレイトで構えるとバックスイングで体の軸が右に傾いてしまうので避けましょう。正解はグリップエンドが左股関節を指すぐらいの角度で構えます。体の軸が右に傾かず、テークバックでもヘッドがスムーズに上がります。
【ポイント1】グリップエンドを左股関節に向ける
アドレスではグリップエンドが左股関節を指しているかどうかをチェック。極端にハンドファーストにならないように注意する
【ポイント2】ハンドレイトはNG
ハンドレイトに構えると、バックスイングで体の軸が右に傾きやすい。必要以上に右足に体重が乗ってしまい、スエーにもつながる
【ポイント3】反り腰はNG
背中から腰にかけての部分が反ってしまうと、バックスイングのときに体が起き上がってしまう。正しい位置にクラブが上がらないので、プレーンからも外れてしまう。腹筋に力を入れて、背中を真っすぐにしよう
【ポイント4】ボールを真上から見る
ボールの右サイドを見て構えると、体の軸が右に傾きがちになる。ボールの真上を見ることで上体が真っすぐになる
【ポイント5】頭を傾けない
正しいインパクトを迎えるには、アドレスで頭と上体が傾かないようにすること。特に頭の傾きに注意
上体が傾いたままバックスイングを行うと、体が右サイドに流れるスエーの原因になる
【ポイント6】一度左サイドに上体を傾ける
体の軸が右に傾くクセのある人は、一度左サイドに思い切って上体を傾けてみよう。バランスがよくなって真っすぐ構えられる
◆教えてくれたのは…
稲見萌寧 いなみ・もね/99年生まれ、東京都出身。ツアー1勝。昨年のセンチュリー21レディスゴルフトーナメントでツアー初優勝を飾る。最終的に賞金ランキング13位に入り、初シードを獲得。正確無比なアイアンショットはプロの間でも評価が高い。今季は出場する全試合で優勝を目指す
ALBAドライバー・アイアン・アプローチぜんぶ女子プロに教わろう! 2021年版掲載 編集/島村涼 撮影/相田克己 岩本芳弘 上山敬太 佐々木啓 鈴木祥 近澤幸司 福田文平 村上航 米山聡明 Getty Images