「思うように飛ばない」「けがや腰痛が心配」……そんな“50代あるある”に、天沼知恵子プロが明朗アドバイス! けがを予防しながらスキルアップし、長く楽しくゴルフを続けるために必要なポイントを学びましょう。
第6回(最終回)は、「スイング力を高める体幹トレーニング」です。
Q.ティショットでたまに空振りをしてしまいます。(麻井さん)
A.「左右対称」の動きを覚えましょう!
ボールをよく見ていない、おなかの力が抜けている……など、空振りの原因はいろいろ考えられます。初心者だから空振りをする、というわけでもありません。
麻井さんのスイングを見たところ、テークバックはいいのですが、フォロースルーが小さいのが気になります。
一般的には、ドライバーショットのときには左足かかとの延長線上が正しいボールの位置だとされますが、フォロースルーの小さい人がボールを左足の前に置くと、クラブヘッドが届かないという現象が起こります。この場合は、少し右側にボールを入れてミート率を上げてから徐々に理想の位置に戻していけば解決すると思います。
しかし本来、クラブを左右対称に振れていれば、そもそもそういう問題は起こりません。
スイングは「左右対称」が基本。テークバックやフォロースルーの形ばかりを気にしないで、回転の大きさや力の配分を、右にも左にも同じように行うことを忘れている人が多いような気がします。フィニッシュの形は、フォロースルーの余韻でつくる、くらいのイメージでいいでしょう。
今回は、「ゴルフクラブを左右対称に振る感覚を身につける」ドリルを紹介します。体の動きは第1回「50代ゴルファーのための「飛距離アップ」大作戦同様で、右のおしりから左のおしりへパワーを移す動きが前提です。これに手が加わった場合も、どちらかの手だけに頼らずに両手を同じように動かすことを意識して行ってください。
●なわとびを持って、左右対称にビュンビュンビュンッ!
20cmくらい左右の間隔を空けてなわとびの両端を持ち、テークバックとフォロースルーを連続で繰り返す。ビュンビュンビュンビュン……と、リズミカルに振り続ける。5~6回目のフォロースルーのあと、フィニッシュしてピタッと止まる。
●アイアンを2本持って、左右対称にゆっくりスイング
アイアンクラブを左右の手に持ち、10cmくらいの間隔を保ったままテークバックしてフォロースルーをする。ゆっくり丁寧に行うことが大事なので、急がなくてOK。急ぐとクラブがガチャガチャと重なってしまう。最後まで重ならないように、体幹を使ってクラブを運んで。
右手が強いとインパクトでクロスしてしまう
左手が強いとフォローで左手がリードしてしまう
終始同じ幅をキープするのがコツ
●スイング棒で左右対称にビュンビュンビュンッ!
市販のスイング棒でゴルフ同様のグリップをし、左右にビュンビュンビュンビュン……と、リズミカルに振り続ける。8往復したら、フィニッシュしてピタッと止まる。スイング棒がなくても、クラブを上下逆さまして、ヘッド側をグリップしてスイングしてもOK。
自然にフィニッシュできるようになる
すべてのドリルに共通するポイントは、終始おなかに力を入れ続けること。実際にやってみるとわかりますが、おなかの力が抜けると、グラグラと振り回されてしまいます。
また、ゴルフのスイングは、両手を同じように使うことが求められます。テニスやバドミントンなどラケット競技を長く続けてきた人が、利き手だけで打つクセがなかなか抜けない場合にも効く矯正方法です。体幹トレーニングにもなりますから、ぜひ普段の練習に取り入れてくださいね!
撮影/山代厚男 取材・文/大津恭子 取材協力/PGMゴルフアカデミー銀座
◆教えてくれたのは…
天沼知恵子プロ あまぬまちえこ/1975年生まれ。静岡県出身。LPGAレギュラーツアー6勝、2001年賞金ランク3位、空手2段。2011年競技中に「腰椎分離すべり症」を発症。大手術と過酷なリハビリを経て2012年より現役復帰。その経験を生かし、東京・麻布にトレーニングジム「IMPACT A BODY」を開設。ゴルファーに必要なトレーニング・体づくりを指導している。