現在ツアープロとして活躍中の林菜乃子プロ。今季はトップテン入りが5回と初シード獲得に向け、成長著しい姿を披露しています。身長154センチと小柄な林プロですが、パーセーブ率は86・45%と高い数字を残しています。堅実なゴルフスタイルはまさにアベレージゴルファーのお手本といってもいいでしょう。そこで、スコアメイクに必要な12個のエッセンスを林プロに紹介してもらいます。
第9回は50~60ヤードからの打ち方です。
お悩みポイント→50~60ヤードの距離からグリーンに乗せることができない
お助けポイント→右手首の角度を変えずにボールを打ちましょう
パー5や長いパー4を迎えると、3打目、あるいは4打目で50~60ヤードの距離が残りがちです。ウェッジで打つだけに本来ならピンに寄せたい距離ですが、なぜかダフリやトップなどのミスが出てグリーンにすら乗らない場面を多く見かけます。このようなミスの原因は右手首の角度にあります。
よく見るのがボールを上げようとして、下からすくい打つ人です。このとき右手首は手のひら側に折れています。リーディングエッジから先にボールに当たるのでトップが出たり、インパクトのタイミングが早いとザックリなどのミスも出ます。
アドレスでの右手首の角度をフォローまでキープできていれば、ロフトどおりにボールをとらえるため、ボールは自然と上がります。まずはボールを上げようという意識を捨て、右手首を変えないように心がけましょう。
また、50~60ヤードの距離を打つのに、ドライバーショットと同じぐらい広いスタンスで構え、体重移動を行っている人もいます。飛距離を稼がなくていいので、どちらも必要ありません。肩幅よりも狭いスタンスで構え、体重を左足に多く乗せたままクラブを上げて下ろしましょう。
右手首が手のひら側に折れるとリーディングエッジから下りてくるのでトップやダフリが出ます
右手首の角度をキープしたままクラブを上げたら、フォローまでその角度をキープしましょう
お悩みポイント→どうしても右手首の角度が変わってしまう
お助けポイント→右手1本でクラブを持ち、8時から4時までの振り幅で打ちましょう
右手首の角度が変わらないように心がけても、いつの間にか変わってしまう人もいると思います。そのような人には次のドリルが有効です。
まず右手1本でウェッジを持ちます。スタンスは肩幅よりも狭めです。目標とボールを結んだターゲットラインに対してスクエアに構えましょう。よく最初からオープンスタンスで構える人がいますが、手順としてはスクエアなスタンスから左足ツマ先を開き、それからボール1個分左足を後ろに下げるイメージです。これで体重移動をしなくてもクラブを振り抜ける通り道の完成です。
あとは、右手首の角度を変えないことですが、振り幅を小さめにして打つのがポイントです。時計の針でいえば8時→4時までの振り幅で十分です。それでも5~10ヤードぐらいは飛びます。右手首の角度がキープで来ていれば、クラブフェースの芯でボールをとらえた感触を得られはずです。逆にすくい打ちのように右手首の角度が変わると、ボールの頭を叩いたり、手前をダフったりします。もちろん、右手に伝わる感触も大きく異なります。
ある程度ボールをフェースの芯でとらえるようになったら、右手首の角度をキープで来ていると考えましょう。そのイメージをしっかりと残しながら、普通に両手でクラブを握り、スリークォータースイングでボールを打ちます。何回もミスが出るようでしたら、最初のドリルに戻りましょう。振り幅に関しては個人差があるので、自分なりの50~60ヤードの距離を練習場で確認し、それをコースで実践してください。
右手1本でクラブを持ち、8時→4時の振り幅でボールを打つ練習を行いましょう
右手の角度をキープできるようになったり、両手でクラブを持ち、スリークォータースイングを行います。距離感は個人差があるので、自分なりの振り幅を見つけておきましょう
撮影/村上悦子 取材・文/山西英希 取材協力/太平洋クラブ御殿場コース、チームセリザワゴルフアカデミー
◆教えてくれたのは…
林菜乃子プロ はやし なのこ/1997年生まれ。神奈川県出身。ユピテル所属。現在ツアープロとして活躍中。今季はトップテン入りが5回と初シード獲得に向け、成長著しい姿を披露。身長154センチと小柄だが、パーセーブ率は87・1%と高い数字を残す。