ツアー通算７勝を挙げ、2013年には賞金女王となった森田理香子プロによるレッスン連載、今回はフェアウェイウッド編です。飛距離が出るクラブなので、打ちこなしたいフェアウェイウッド。長くて難しいクラブですが、うまく打つコツを教えてもらいました。
ボール位置や手元の位置など構えの確認で払い打ちやすくなる
地面の上から打つクラブで一番飛距離が出るのは、フェアウェイウッド。うまく使いこなせれば大きな武器になります。しかし、クラブが長い分、難しいですよね。打ちこなすコツは、払い打ちです。ほうきではくように、ヘッドをボールの手間から滑らせるイメージです。うまく打てない方のほとんどは、ちゃんと芯に当てたいとか、ダフるのが嫌だという意識が強いのか上から打ち込んでいます。
構え方を変えるだけで払い打ちやすくなります。まずはボール位置です。私はドライバーと同じで左足カカト線上ぐらいに置きます。スタンスの真ん中とか、中に入りすぎると打ち込みやすくなります。そして手元の位置も大切です。グリップエンドが左足太ももの前に来る位置で握ります。自分の体の中に手元を収めるのがいい構えです。グリップエンドがそれより左にあって、ボールよりも手元が左側にあるハンドファーストや、グリップ中に入りすぎて、手元がボールよりも右側にあるハンドレートになると、バランスよくスイングできません。さらにボールは右から見てください。右肩が下がるぐらいの感覚で払い打つ準備ができます。真上から見るとどうしても右肩が前に出て、打ち込みやすくなるので注意しましょう。
フェアウェイウッドは、ボールの手前からヘッドを滑らせるイメージで払い打つ方がうまく打てる。ダフリたくないと思って上から打ち込むとミスしやすい
ボールはドライバーと同じ位置に置いて、手元は左太ももの前が基本。手元が前に出るハンドファーストや中に入るハンドレートはバランスが悪い
ボールを右から見て右肩が下がるように構えると払い打ちしやすい。ボールも上がる。ボールを真上からみると打ち込みやすくなるので注意
どうしても打ち込んでしまう人は、グリップを見直してください。特に右手です。真横から添えるようにして、グリップの下側から握ります。そうすることで右肩が出ずに、右肩が下がった構えを作りやすくなります。右手を上からかぶせるように握ると、右肩が前に出やすくなります。
スイングのポイントは、ドライバーショットと同じで、お腹や背中など体の大きな筋肉を動かすことです。私の場合は、ヘソ（お腹）を回すことを心掛けています。ヘソが回れば手は悪さしません。フォロースルーでは腕がしっかり伸びるように振りましょう。そうすると自然とボールの手前からヘッドを滑らせて、払うように打てます。
右手を真横から添えて下側から握るフックグリップだと払い打ちやすくなる。どうしても打ち込みやすい人はグリップを変えてみよう
深いラフの場合はＵＴのハーフショットがいい
アマチュアの方とラウンドをしていると、プロでも打たないような状況でフェアウェイウッドを持つケースも少なくありません。例えば、深いラフ。ボールが沈んでいる場合、芝の抵抗に負けてヘッドの抜けが悪くなるのでボールは飛ばないし、どこに飛ぶか分かりません。ラフの場合はボールの状況を確認します。ボールがラフに浮いていたり、ボールの手前に芝が少ない状況のみ使えます。深めのラフやフェアウェイでも傾斜の度合いが強い場合は、ユーティリティがオススメです。フェアウェイウッドよりもヘッドが小さく、ソール幅も狭いので抜けやすくなります。
ユーティリティの打ち方のポイントはフェアウェイウッドと同じです。打ち込まずに払い打ちます。クラブが短くなる分、ボール位置は少し中に入っても構いません。ただ、傾斜地や深いラフの場合は、フルショットせずに、バックスイングもフォロースルーも手元が肩の高さぐらいまでのハーフショットで打ちます。その方が確実に芯に当たるので、しっかり飛距離を出せます。ハーフショットといっても、体の大きな筋肉をしっかり回してください。テークバックでヘッドを低く長く上げる意識を持つと体を使いやすくなります。
フェアウェイウッドもユーティリティも打つイメージは同じでいい。ラフや傾斜地などはユーティリティがオススメ。ラフに入った場合はボールの状況確認が大切
ラフでもボールが浮いていたり、ボールの手前に芝が少なければフェアウッドでも打てる。ラフで沈んでいたり、ボールの手前に芝が多くある場合はユーティリティの方がいい
深いラフや傾斜地から打つ場合、ユーティリティのハーフショットで打つ。バックスイングもフォロースルーも手元が肩の高さまでに抑えるのがポイント
森田理香子プロフィール
もりた・りかこ／1990年1月8日生まれ、京都府出身。ツアー通算7勝。2008年にプロ入入り。10年の「樋口久子IDC大塚家具レディス」でツアー初優勝。13年には年間4勝を挙げ、23歳で賞金女王に輝いた。18年を最後にツアーから撤退し、現在はゴルフウェアのプロデュースや、ゴルフ中継の解説などで活躍している。スイングの動きを見直したら、ドライバーの飛距離は現役時代より10ヤード伸びたという。
撮影／福田文平 取材・文／小高拓
