こんにちは、佐伯三貴です。コロナ禍でゴルフ人口が増えたと話題になっていますが、同時に増えたのがスループレー。日本では、これまで9ホールプレーすると昼食休憩が入って、残りの9ホールを回るスタイルが主流でした。けれども、感染リスクを減らす意味もあって、スループレーのスタイルを取り入れるコースが増えたのです。
◆上手にエネルギー補給!プロのバッグには何が入ってる?
私たちプロは、試合ではいつもスループレーです。悪天候によって中断したり、日没サスペンデッドなどイレギュラーなことがあったり。1日に18ホール以上プレーするときには、休憩して食事をすることもありますが…。コース内のプレーの進捗状況によってはハーフで少し待たされることもあります。けれども、通常は18ホールをリズムよく回っています。なのでスループレーには慣れている、と言うわけです。
18ホールにかかる時間は、4時間から5時間程度。その前に練習もしていますから、ラウンド中エネルギーが切れてくることもあります。そんな時、どうするか。北京オリンピックで頑張っているカーリングのロコ・ソラーレの選手たちのように、上手に”モグモグタイム“を摂ることが、いいプレーをするコツです。
カーリングと違って、ゴルフは流れるように試合が進んでいきます。ハーフタイムのようなことは、ありません。ですから、上手にタイミングを計って、自分でエネルギー補給をする必要があります。
私の場合は、3ホールに1回は何かを補うように心がけていました。疲れてくると食が細くなってしまう傾向にあるので、積極的に補給するようにしたのです。私たちは歩きでのプレーなので、ホールとホールのインターバルや、ティーイングエリアで前の組のプレーが終わるのを待っている間、ハーフターンなど、スキを見て、と言う感じです。
何を食べるかは人それぞれですが、プロのバッグにはチョコレートやナッツ、栄養補助のスナックバー、ゼリーなどが入っています。ハーフターンではバナナやおにぎり半分を口にすることもあります。
最近では、コンビニのラインナップが充実してきて、プロゴルファーにとってはありがたい状況になっています。スティックサラダやゼリー、プロテインバーなど、手を汚さずに補給できるものがどこでも簡単に手に入るからです。
みなさんの場合は、カートでプレーすることが多いかと思いますので、カートに乗って移動するタイミングで何か口にするのがいいでしょう。くれぐれも落とさないように気をつけながら、ですが。
◆水分補給も重要!タイミングは?
フードだけでなく、水分補給も意識してするようにしましょう。熱い夏場は、放っておいても喉が渇くので水分を摂ります。気をつけなければならないのは、むしろ涼しくなってからなのです。脱水症状を防ぐには、のどが渇いてから飲むのでは遅い、と言われているように、こまめに水分を口にすることが大切です。
私の場合は、ティーイングエリアやグリーン上で必ず少量の飲み物を飲む様にしていました。グリーン上ではボールを拭いて手渡してくれるタイミングで、キャディーさんが飲み物を手渡してくれるという事をルーティンにもしていました。
ちびちびと水を飲む行為は、脱水症状を防ぐほかにも大きな意味を持っています。皆さんはプレー中に喉がカラカラに乾いたり、唾液の分泌量が減って、口の中がネバネバしたような経験はありませんか?
これは人間が緊張してストレスがたまると、交感神経の働きが悪くなり体調に影響が出るからです。
私たちプロなら、難しいホールや優勝がかかった大事な場面。みなさんの場合なら池越えの難ホールや、ベストスコアがかかった場面、仲間との勝負どころなどでしょうか。そんな時、水分を少し口に含むことで、乾いた喉や口の中の状態がよくなり、精神的にも一息入れることができるのでお勧めです。
余談ですが、スループレーではなく、ハーフでランチ休憩が入るプレースタイルの時には、食べ過ぎないように気をつけましょう。眠くなってしまったりして、集中力がなくなります。おなか一杯過ぎると、体も回らなくなるので、腹八分目を心がけてください。
競技時間が長いゴルフならではのエネルギー補給。ほんの少し気をつけるだけで、ずいぶん違いますよ。些細なことのようですが、試して損はないはずです。
取材・文/小川淳子 写真/Getty Images