ゴルフのパフォーマンスを上げるために自分でできることは、スイング練習や筋トレだけではありません。大里桃子プロをはじめ、アマチュアからプロまで食事指導を行っているアスリートフードマイスターに、ゴルフの底上げに役立つランチの摂り方を教えてもらいました。
◆ランチメニューは後半のプレーに影響大!
いよいよお楽しみのランチタイム。じつはここで、朝食を食べたかどうかの差が出ます。朝食を食べずにラウンドした人は「ああ、おなか空いた〜!」と、がっつり系のメニューを選ぶ可能性が高まるからです。すると、後半スタート後、胃の中の食物がなかなか消化されず、いつまでももたれたままだったり、おなかに違和感を覚えてプレーに集中できなかったり…と良い結果にはつながらないものです。
ランチのテーマも「エネルギー補給」。前夜や朝食と同様、「炭水化物」+「ビタミンB₁」+「アリシン」を意識してメニューを選べるとベターです。また、脂質は消化に時間がかかるので、揚げ物たっぷりのメニューは避けたほうが無難です。個人差はありますが、香辛料を多く含むメニューもラウンド中におなかに刺激を与えてしまい、集中力が低下することがあります。
ランチビールはダメとは言えませんが、何事もほどほどに。暑い日は熱中症や足をつるリスクにつながるので、同量の水を飲むようにしてください。
◆かつ丼より親子丼
揚げたカツが胃もたれや消化不良の原因になりやすい
◆ラーメンよりうどん
うどんのほうが消化しやすく、エネルギーに変わりやすい
◆洋食より和食
洋食でも悪くはないが、脂質の少ないあっさりした和定食がベター
避けたいメニュー
フライなど揚げ物、カレーライス、麻婆豆腐など、油や香辛料を多く含むメニュー
◆覚えておくと便利! アスリートのための基本の食事の形
アスリートフードマイスターが「基本の食事の形」として指導しているのが「主食」「主菜」「副菜」「汁物」「乳製品」「果物」の6品目。この6つを毎食そろえれば、アスリートに必要なエネルギーと栄養素を効率良く摂ることができます。右の写真のように、ご飯の上に肉や卵をのせ、野菜サラダを添えたプレートメニューの場合、この1皿で主食と主菜、副菜の3つが摂れます。これにスープ(副菜)、ヨーグルト(乳製品)、フルーツ(果物)を添えればパーフェクト。自分の日頃の食事メニューには何が不足しているか、見比べてみましょう。「バランス良く食べることで筋力が付き、疲労回復も早まります。また、脂肪を燃焼して痩せやすい体になるので、活用してください」(石村さん)
★主食…エネルギー源になる炭水化物。ご飯、パン、麺類など。
★主菜…身体の構成成分やエネルギー源になるタンパク質、脂質、鉄、カルシウム。肉、魚、卵、大豆加工品を使ったおかず。
★副菜(汁物を含む)体調を整える鉄、カルシウム、ビタミン類。野菜、きのこ、海藻などを使ったおかず。ひと品は汁物(スープやみそ汁など)で摂るとよい。
★乳製品…身体の構成成分となるタンパク質、カルシウム。牛乳やヨーグルトなど。
★果実…疲労を回復させて体調を整え、エネルギー源になる糖質、ビタミン、食物繊維。
◆教えてくれたのは…管理栄養士・石村智子さん
管理栄養士。アスリートフードマイスター1級、アスリートフードマイスター養成講座講師。ゴルフ場のメニュー開発の実績もあり、2019年10月から大里桃子プロの食事をサポートしている。
Regina2022春号より転載 撮影/石村智子(レシピ)、内藤サトル、Getty Images エディター/大津恭子