1996～1997年に賞金女王となった福嶋晃子プロは、2013年の長男出産以来、岡山で子育て中心の生活を送っています。
49歳になった今も健在の圧倒的な飛距離（一緒に回った若手の飛ばし屋が、舌を巻くのは珍しいことではありません）を武器に、日本ツアー24勝、米ツアー2勝。2011年に、38歳で実業家のご主人と結婚し、2013年に授かった長男は、今年小学校3年生になります。
出産後は、出場試合数を減らし、子育てに比重を置いてきました。ご主人の住む岡山県に腰を据え、時折、家族のサポートを受けて試合に出場する。そんな暮らしです。
◆“普通のママ友”のはずが…まさかの賞金女王バレ！
どれだけ子育て中心の生活だったかは、周囲の”ママ友“との関係を聞くとすぐにわかります。週2回はラケットを握り、ママ友とテニスに熱中。「違うスポーツをするのは刺激になるし、トレーニングになります」と笑います。テニスの話でも負けず嫌いぶりがちらりと除くのは、福島プロがアスリートだからこそでしょうか。
周囲は、最初のうちは福嶋プロを“普通の”ママ友だと思っていたとか。のちに賞金女王にまで上り詰めた女子プロゴルファーだとわかってしまった大きなきっかけは、お子さんの運動会だったそうです。子供たちの両親だけでなく、祖父母も集まる運動会で、福嶋プロの活躍を知る祖父母世代に「あれ？」と気付かれて、どんどん広まっていったそうです。
ゴルフをするママ友とは、地元で一緒にプレーする機会も増えました。子供たちが学校に行っている間に、ママ友同士でゴルフ。その相手は、飛距離抜群で小技にも定評がある元賞金女王だとしても、楽しいゴルフに変わりはありません。
そうは言っても、福嶋プロのラウンド数はさほど多くはありませんでした。昨年はレギュラーツアー2試合、シニアのレジェンズカップ2試合に出場していますが、それ以外には「１年で20ラウンドですかねぇ」という程度。ゴルフ好きなアマチュアよりだいぶ少ないくらいです。
◆週末は息子のソフトボール応援
現在、プロが最優先しているのは、息子さんとの時間です。週末は、ソフトボールチームに入っている息子さんの練習や試合にでかけることがほとんど。全部で14人のチームの子供たちと一緒に過ごすことも多いそうです。
福嶋プロは実は以前から大の子ども好き。英国在住のすぐ下の妹、真弓さんのお子さんたちが、夏休みなどのツアーに応援に来ている時にも、会場で楽しそうにしている姿は何度も目撃しています。
元プロ野球選手の父（久晃さん、大洋ホエールズ、広島カープ）を持ち、幼い頃にはプロ野球選手になりたかった福嶋プロ。「女の子はプロ野球選手になれない」と言われてショックを受けて、ゴルフを始めた話は有名です。それだけに、お子さんのソフトボールの応援にも人一倍、力が入ります。
◆「私も子供に育ててもらっている」
岡山での子育てライフを満喫しているプロは、今年8月、ママであるプロゴルファー2人とジュニア1人が一緒にプレーするという競技「LaLaクイーンズ」に出場し、準優勝を飾りました。
「面白いですね。みんな子供がいる（プロだ）から、ジュニアとも親しみやすい。ジュニアの子たちはみんなうまいです。こういう大会は本当にいいなと思います」と、ジュニアに貴重な経験をさせつつ、プロ自身とっても新しい体験だったと笑顔で語ります。
夏休みとあって、福嶋プロの息子さんもコースに来て、用意されたキッズルームで遊びながら待っていました。準優勝したママを笑顔で祝福する微笑ましいシーンも。
「子育ては本当に楽しいです。子供と一緒になって楽しんでいます。私も子供に育ててもらっている感がありますね」と、ママとしての日々を全身で楽しんでいる様子がうかがえました。
◆沸き立つゴルフへの想い。これからの目標は？
一方で、2019年からレジェンズツアー（45歳から出場できる女子のシニア）に出場し始めたことで、ゴルフに対する気持ちが再び強くなったのも事実です。
「試合っていいな、と改めて感じました。今できる範囲でどうやってスコアを出そうか、って考えるのが楽しい。引き締まったゴルフがしたくなりました」と、これまでより、生活の中でのゴルフへの比重が高くなっていきそうな、ファンにとっては期待の高まるコメントも。
今年10月には、ディフェンディング・チャンピオンとして臨む「JLPGAレジェンズチャンピオンシップCHOFUカップ」もひかえています。
息子さんの存在は、福嶋プロの連覇への大きなエネルギー源になるのは間違いないでしょう。
取材・文／小川淳子
