いよいよ開幕まで、あと1か月! 必要なものの準備と各所の予約、そして様々な書類の確認といったように、慌ただしさを増してきました。今年ツアーデビューするルーキープロは、きっと落ち着かない日々を過ごしていることでしょう。
学生たちの卒業シーズンでもあり、誰しもが新生活への希望や不安を抱くこの時期、トーナメント業界にも新入社員達がやってきます。ちょっと縁遠く感じがちなトーナメントの世界ですが、意外にも身近な所に業界への道があるものです。
◆プロゴルフトーナメントに関わる様々な仕事
プロゴルファー周辺の仕事と言えば、キャディ、トレーナー、マネージャー、ゴルフクラブのメーカーのプロ担当などがあります。しかし、トーナメントではツアーを支える仕事のほうが断然多い! プロが所属する協会や、トーナメントを運営する会社、報道関係者…等々、トーナメント関係の仕事は多岐に渡っています。
トーナメントを運営している会社は、数社ほど。大会の企画や運営、諸設備の施工管理といったことだけでなく、試合が始まればギャラリーの誘導や競技の進行の管理なども行います。関係者の誰よりも早く会場入りし、最後に後にする——トーナメントの要の仕事と言えます。
報道関係であれば、スポーツ新聞や、ゴルフ系の雑誌の方が多いです。プロについて海外ツアーを転戦することもあり、会話をする機会も多いので、プロと親交を深めている人も少なくありません。しかし、スポーツ新聞の記者さんは担当の変更があるのか、数年でゴルフから他のスポーツへ異動になる人が多い印象。ゴルフだけに携わりたい人には、不向きと言えるでしょう。
ゴルフクラブを取り扱うメーカーや、ゴルフウェアの会社などからは、プロ担当という形でトーナメントに派遣されることがあります。大きなクラブメーカーはツアーバスと言われる、中が工房に改造されたトラックを会場に持ってきていて、そこでプロのグリップ交換といったフィッテング作業をしています。
プロに直接関わる仕事の場合、キャディやトレーナーなどはお互いに面識があったり、評判を知っていたりということがほとんど。マネージャーの仕事は、マネジメント会社からの派遣がほとんどですが、そういった会社はトーナメントに携わってきた人によって立ち上げられたものが多い印象。つまり、プロに直接関わる仕事はそれぞれ、それなりにプロとの面識が必要な職種と言えます。
◆プロキャディになった意外な経緯を紹介します!
プロのプレーを横で支えるプロキャディは、資格のようなものはありません。プロを多く輩出している学校のゴルフ部卒、研修生やゴルフ場でアルバイト、トーナメントのアルバイト…そんな経歴から、プロキャディに
転向している人が多い印象です。
ちなみに、私がプロキャディの道を歩むことになったのも、トーナメントのアルバイトから。速報本部やギャラリー整理などの仕事の中で、たまにキャディが足りないときにキャディをするようになり、そこでプロに声をかけていただいたことがきっかけでした。
キャディバッグを18ホール担いで運ぶという仕事柄、どうしても人並み以上の体力が必要条件に感じますが、電動の手引きカートの普及により女性のプロキャディも増えています。電動の手引きカートは、ネットで手軽に購入でき、折り畳み式のため持ち運びも便利。宅急便も利用できます。女性キャディに限らず男性キャディも使っている印象なので、いよいよ性別関係なく就ける職業になったと言えますね。
まだまだ少ないとはいえ、ずいぶんと増えた印象の女性キャディ。女性の方が相談しやすい…なんてこともあると思うので、これからますます増えるのでは?
◆トーナメント業界は狭い⁉
開幕戦ともなれば、新人さんの姿もちらほら。しかし、元々それほど大所帯でもない世界。同じ顔ぶれで会場を転々するだけなので、宿泊先も、ご飯を食べに行くところも、そこここに関係者がいるのは珍しいことではありません。
華やかに見られがちなプロゴルフ業界ですが、実際に経験してみれば、ただ毎週のように移動と宿泊を繰り返すだけ。週始めには現地に移動し、コース入りして練習ラウンド、プロアマ、そして本戦の後、帰宅。もしくは、次の会場へ移動……といったように、まともなお休みが無いまま試合が続いていきます。各地への移動が苦にならないことが、トーナメント業界で働くための大前提かもしれませんね。
◆おだみなプロフィール
おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。