国内女子ツアー第22戦北海道meijiカップで2年ぶりの優勝を飾った鈴木愛プロ。優勝スコアは大会最少ストロークタイ記録となる15アンダーでしたが、なんとボギーを1度も叩かないという快挙を演じました。調べてみるとこれまでに15人も達成しており、意外と多い感じですが、それでも優勝争いのプレッシャーもある中でノーボギーはすごい記録ですよね。
◆アニカ・ソレンスタムプロは最多アンダー記録も達成
記録として残っているのは90年以降になりますが、ノーボギーでの優勝第1号は99年NEC軽井沢72ゴルフでの韓 熙圓プロです。本来は3日間大会でしたが、2日目が豪雨のため中止になったので36ホールに短縮されました。韓プロは初日に68、最終日に67をマークし、通算9アンダーでツアー初優勝を飾っています。ちなみに、2打差の単独2位に入った新井敬子プロも2日間ノーボギーでした。
3日間競技でノーボギー優勝を初めて達成したのは、03年ミズノクラックでのアニカ・ソレンスタムプロです。言わずと知れたメジャー10勝、賞金女王8回、元世界ランキング1位のレジェンドです。すごいのはその内容で、初日にバーディを9個、2日目も9個、最終日に6個獲得しています。通算24アンダーは今でもJLPGAツアーの最多アンダー記録となっています。
日本選手で最初にノーボギー優勝を達成したのは、04年ヨネックスレディスでの馬場ゆかりプロです。3日間でバーディを10個奪い、通算10アンダーの優勝でした。
その他、ノーボギー優勝を達成した選手を年代順に並べていくと、05年NEC軽井沢72ゴルフでのポーラ・クリーマープロ、09年大王製紙エリーエルレディスでの有村智恵プロ、10年NEC軽井沢72ゴルフでの李知姫プロ、15年TOTOジャパンクラシックでのアン ソンジュプロ。16年サマンサタバサレディースでの全美貞プロ、20年デサントレディース東海クラシックでの古江彩佳プロ、20年TOTOジャパンクラシックでの申 ジエプロ、21年ヨネックスレディスでの笠りつ子プロ、22年ニチレイレディスでの西村優菜プロ、22年楽天スーパーレディースでの勝みなみプロ、22年スタンレーレディスホンダでの小祝さくらプロ、23年Tポイント×ENEOSでの青木瀬令奈プロ、そして23年北海道meijiカップでの鈴木愛プロとなります。
◆今週もノーボギー優勝を期待できる!?
これまでの記録を振り返るといくつか気づくことがあります。まず、同じ大会が多いこと。軽井沢72ゴルフで3回、TOTOジャパンクラシック(ミズノクラシック)が3回、ヨネックスレディスが2回です。軽井沢72ゴルフとヨネックスレディスは同じコースで開催していますが、TOTOジャパンクラシックはすべて異なるコースで開催しています。たとえ同じコースといえども、その年によって天候も異なれば、コースセッティングも微妙に変わるだけに一概にはボギーを打ちにくいコースとは言えないでしょう。同じ大会が多いのは偶然性が高いだけかもしれません。
また、ノーボギー優勝を達成した選手は皆複数勝利を挙げています。やはり単なるラッキーで達成できる記録ではなく、本当に実力のある選手が好調なゴルフを展開して初めて達成できる記録なのでしょう。ただ、そんな難しい記録が昨年と今年だけで5人も達成しています。20年以降まで広げると達成者の半数である8人となります。これはクラブやボールの進化もありますが、ツアー全体のレベルが上がってきていることの証明ではないでしょうか。
今週は過去3人のノーボギー優勝者を輩出している軽井沢72ゴルフが開催されます。全英女子オープンに出場する選手も多数いますが、ひょっとしたら4人目の達成者が出るかもしれませんね。
取材・文/山西英希