こんにちは、ハウスキャディ歴●年のB子です。先日、とある企業が主催した大きなコンペがありました。得意先を集めた大規模なコンペで、私もキャディをさせていただきましたが、とあるパー3でのことです。
お客様が8番アイアンで打った球は、大きく左に曲がってOB方向へ。けれど、ティーイングエリアからでは本当にOBかを確認できず、念のため暫定球を打つことになりました。同じく8番アイアンで打った球は、ナイスショット。ピン方向に飛んだ球はグリーン上で一度だけバウンドすると、なんと、そのままカップへ……!
暫定球なのでホールインワンではないけれど、カップインした状況を見てお客様は「ホールインワンじゃなくて、良かった……」と、胸をなでおろしていました。
その方は、最近ホールインワン保険をやめたばかりな上に、今回は知り合いばかりの大きなコンペ。あわや大出費となりかねない状況に、戦慄したそうです。
◆ホールインワンをした人がプレゼントをする理由
プロの大会を見ていると、「ホールインワン賞100万円」などの賞を目にすることがあります。ホールインワンをしたら貰える賞金ということですが、なぜプロの場合では賞金や賞品をもらえるのに、アマチュアの場合、ホールインワンをした人が誰かにプレゼントをする伝統が生まれたのでしょうか?
ゴルフ歴60年以上というベテランゴルファーさん達にお話を聞いてみました。
もともとは、ホールインワンという”人生で一度あるかないかの偉業”を記念するため、ゴルフ場で植樹をしたり、記念品を作ったりしたそうです。その際に「幸福のおすそ分け」、「皆さんへの感謝の気持ち」とか、幸運のあとには不運がやってくるという考えから「厄払い」という意味を持たせて、お祝いの会を開いたり、記念品を送ったりということが行われたそうです。もちろん、ホールインワンを達成したことをみんなに祝ってほしい、自慢したい、そんな気持ちもあったかもしれませんね。ゴルフがもとは富裕層の娯楽であり、社交の意味合いが強いスポーツだったことも、皆にプレゼントをする形になった大きな要因と言えるでしょう。
つまり、ホールインワンをすると、思わぬ出費が発生するわけです。そしてできたのが「ホールインワン保険」。そのおかげで、富裕層でなくても、ホールインワンをすればお祝いの会や記念品の作成に対して保険金が下りるようになりました。それにより、ホールインワンをした人にみんなでプレゼントをするのではなく、した人が皆に何かをプレゼントするという形が定着したようです。
◆保険金の請求に必要なものは?
「ホールインワン保険」とは、ホールイワンをした際にかかった費用に対して払われるものですが、ゴルフ場での事故や盗難などに備える「ゴルファー保険」に付随しているもの、もしくは特約として付けるものであって、ホールインワン保険単体のものは見たことがありません。そして、ホールインワンをしたから、必ずしも保険金が下りるというものではなく、そこには各社それぞれいくつかの条件があります。
例えば、同伴者と、同伴者以外の目撃者の署名があること。もしくは、その映像など、ホールインワンをしたことが証明できること。他にも、18ホール以上、またはパー72以上であることといった、コースについての制限がある場合も。そのため、保険金を請求する際には、そのゴルフ場の責任者の署名が必要であることがほとんどです。
保険金も、30万円のプランに入っていたから30万円が貰えるというわけではありません。祝賀会を開いたり記念品を作成した際にかかった金額が補償されるものになります。そのため、それらにかかった金額を証明するための領収書や請求書などが必要になる場合があります。商品券や現金は補償されない場合があるので、注意してくださいね。
嬉しいはずのホールインワンがプレッシャーになるなんて、なんだかなぁと思う人も多いかもしれませんね。実際にホールインワンを達成した人が、皆の期待通りにお祝い会を開いたのはいいけれど、保険金だけでは足りなかったという話も耳にします。ホールインワンで出費がかさみ、嫌な思い出になってしまうなんて、とても残念なことです。
ホールインワンをした人がお祝いをするかどうかは、その人の自由。身近な人がホールインワンをしたら、こちらがお祝いしてあげるぐらいの気持ちでいたいですね。
◆キャディのB子 プロフィール
キャディのB子/あるゴルフ場のアルバイトキャディ。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、大学のゴルフサークルに所属。就職活動に失敗し、ハウスキャディのアルバイトをして就職先を探すはずが、キャディが天職と気づく。シャンクが一番の敵。