こんにちは。ハウスキャディ歴●年のB子です。
先日、勤務しているゴルフ場ではなく、別のゴルフ場に遊びに行きました。移動手段は自家用車。ゴルフ場に到着し、トランクに積んだキャディバッグを下ろすため玄関前に車をつけると、そこには「荷物の積み下ろしはお客様ご自身でお願いします」と書かれた看板が。
このように、車からキャディバッグを下ろす作業をセルフ化しているゴルフ場が増えてきています。コロナ禍を機に一気に増えた印象もありますが、それだけではないのです。そこにはやむにやまれぬ事情があります。
◆玄関前でお客様の荷物を下ろす「ポーター」という仕事
ゴルフ場の玄関前で、お客様の車のトランクから荷物を下ろすスタッフを「ポーター」と言います。全てのゴルフ場に必ずいるわけではありませんが、名門と呼ばれるゴルフ場には必ずと言っていいほど配置されています。
彼らの仕事は、お客様の車のトランクを開け、キャディバッグやシューズケース、ボストンバッグなどの荷物を下ろすこと。お客様は車に乗ったまま荷物を下ろしてもらい、そのまま駐車場に行くことができます。下ろしたキャディバッグは、ポーターの手によってキャディバッグ置き場へと運ばれ、その他のシューズやボストンバッグといった荷物は、玄関前やクラブハウス内にある棚などで一時的に預かり、駐車場から戻ってこられたお客様に渡されることになります。
◆トラブルが原因! 積み下ろしがセルフ主流になった理由
ところが、ポーターはいるのに荷物を下ろしてもらえないゴルフ場が増えてきています。理由は、トラブルが非常に多いこと。例えばキャディバッグを下ろす場合の“車に傷をつけた、つけていない”といったトラブル。シューズなどの手荷物の取り違えによる紛失事故。そういったことが、実際に起こっているからです。
ポータースタッフに聞いてみたところ、キャディバッグを下ろす際、トランクが狭い場合やキャディバッグ以外のものが乱雑に入っている場合など、車の内壁や外側の塗装に傷をつけてしまいがちな場面は多いそうです。毛布を敷くなどして、傷をつけないよう万全の対策をしていても、クラブの入り方が甘くてクラブが飛び出してしまったり、スタンドバッグの足が開いてしまったり…といったように、思わぬ事故が起こることも。とくに、外車や高級車となればその補償も大変なことになるため、できれば手を触れたくないとポータースタッフは口を揃えます。
スタッフ側にはクラブを車に当ててしまった感覚がないのに「傷をつけられた」とクレームが入り、もとの傷が数か所あったため本当に当たったのか確認もできず、監視カメラを確認し、それでも補償を求められた――というケースも実際にあったそうです。
◆最も多いのは? 玄関前のトラブルを防ぐためにできること
玄関前のトラブルで最も多いのは、荷物の紛失です。ポーターが下ろした荷物は、玄関前やクラブハウス内の棚に一時的に置かれますが、自分の仲間の荷物と勘違いして他の方の荷物を持って行ってしまうお客様もいます。荷物を下ろしたポーターも引っ切りなしに入場してくる車の対応に追われ、お客様の顔をしっかりと憶えていられない場合も。そのため、「荷物が無くなった!」と騒ぎになることは珍しくありません。
そういったことを防ぐため、ポーターは車から荷物を下ろす際に、ネームタグの有無を確認しています。キャディバッグだけでなく、シューズケースやボストンバッグにもしっかりとネームタグをつけておくのが◎。ネームタグがあれば、もし誤って持って行かれてしまっても、探す際の目印になります。玄関前に紙のネームタグが用意されているゴルフ場もありますので、つけ忘れてしまったら、マジックでそれに名前を書いてつけておく、もしくは預けずに自分で管理するようにしましょう。
玄関前という人の出入りが多い場所では、さまざまなトラブルが起こりがちです。ゴルフ場側もそれらを防いでいく努力をしていますが、ゴルフのカジュアル化に伴って「お客様ご自身で」が主流となってしまうのも仕方がない流れかもしれません。スタート前にイヤな思いをしないためにも、我々ゴルファー自身も、自分の荷物はしっかりと自分で管理したいものですね。
◆キャディのB子 プロフィール
キャディのB子/あるゴルフ場のアルバイトキャディ。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、大学のゴルフサークルに所属。就職活動に失敗し、ハウスキャディのアルバイトをして就職先を探すはずが、キャディが天職と気づく。シャンクが一番の敵。