先週、千葉県にあるアコーディア・ゴルフ習志野カントリークラブにて「ZOZO CHAMPIONSHIP」が開催されました。普段開催されている日本ゴルフツアー機構(JGTO)による大会ではなく、USPGAツアーによる大会ということで、普段なかなか見ることができない世界的プロゴルファーのプレーを間近に見ようと、たくさんのギャラリーが訪れました。大会の結果は、最終日に7アンダーというビッグスコアを叩き出したコリン・モリカワ選手が、2位に6打差をつけて優勝。日本人選手も4位に石川遼プロ、6位に久常涼プロと平田憲聖プロが入り、USツアーでの日本人選手の活躍と、日本にゆかりのある選手の優勝という結果に、大変な盛り上がりを見せました。
さて、最終日のこと。私は、朝からテレビに噛り付いてその中継を見ていたのですが、コースを取り囲む大ギャラリーを見ていて「???」と思うことが……。それは、ギャラリーがスマホを片手に選手たちを撮影していたことです。プロの大会では、たまに例外はあってもほぼ撮影禁止だと思っていたのですが。PGAツアーのX(旧Twitter)を見てみても、動画撮影をしているギャラリーのスマホ画面が映されていたり、プロがギャラリーから渡されたスマホを受け取ってファンの子と自撮りをしたりとどうやらスマホによる撮影はOKらしい。ということで、トーナメント会場でのスマホによる撮影行為について調べてみました。
◆USツアーは、スマホでの撮影OK
まず、ZOZO CHAMPIONSHIPの大会公式ホームページを確認してみました。そこには、ビデオカメラ、カメラ、自撮り棒の持ち込みは禁止でも、スマホでの動画撮影は可能と書かれていました。選手がショットする時に、動画撮影開始や終了時の音が鳴るような動作をすることは禁止とされていますが、全てのエリアで動画撮影が可能とのこと。写真の撮影も、決められたエリア内では可能となっていました。
実は、USPGAツアーは2017年に携帯電話による撮影について規制を緩和していました。その理由のひとつとして挙げられているのが、SNSによる拡散が期待できるということ。フラッシュやライブ配信といったものは禁止されていますが、SNSへの投稿は自由。ZOZO CHAMPIONSHIPの様子も、SNS上でたくさんの動画や写真がUPされていました。その楽しそうな様子に、思わず「羨ましい!」と思ってしまうほど。
携帯電話が普及し始めたばかりの頃、USツアーではコース内への持ち込みが禁止だったそうです。世界最高峰の大会であるマスターズは、今でも持ち込み禁止であることは有名な話ですね。2012年に、携帯電話の持ち込みは可能になりましたが、電源を切るかマナーモードにしておくことを求められ、撮影は全て禁止となりました。それが、2017年に規制が緩和され、一部撮影可能に。年々、携帯電話に対しての規制が緩やかになっているのがわかります。
◆日本のトーナメント会場での撮影は?
では、日本のツアーはどうでしょうか。撮影の可否については大会ごとに決められており、会場入り口で配られるペアリング表に書かれています。私がトーナメントでキャディをしていた頃(20年ほど前)は、まだガラケーの時代。カメラ機能を使って撮影をしようとすれば必ず音が鳴るようになっていて、その音にプレーを中断せざるをえず泣かされたこともしばしば。プレーの妨げになることから、男子女子共に携帯電話での撮影は禁止となっていました。しかし、USツアーの影響もあってか、男子ツアーは規制を緩和しつつあります。現在、男子のほとんどの大会で、練習グリーンと練習場での撮影が可能になりました。
では、女子ツアーはというと、会場内での動画や写真の撮影は全面禁止のまま。肖像権の問題から、規制はより厳しくなっていると言えます。たまに動画撮影や写真撮影を一部許可している大会はありますが、極稀なこと。関係者でさえ、撮影することもSNS上にUPすることもほぼできない状況です。(選手がSNS上にUPすることは別途認められています。)
選手の肖像権を守ることを大切にした女子ツアー。多くの人に見てもらうことに重きを置いた男子ツアー。どちらがツアーのあるべき姿なのかは、どちらが今後のためになるのか、今のところわかりません。ただ、1ファンの立場として考えると、観戦記念に映像を残したいなぁなんて思ってしまいますね。推しの選手と記念撮影とかできたら嬉しいですし、会場まで足を運んだ甲斐があったと考える人も多いのでは?
選手のためか、ギャラリーのためか。まだまだ、難しいところではあるようです。
◆おだみなプロフィール
おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。