立つ鳥跡を濁さず! バンカーでの正しいマナーは? 

ゴルファーなら誰もが、バンカーにボールが入る状況は避けたいと思うもの。しかし、そうなってしまったら、脱出を試みるしかありません。成功してバンカーから脱出しても、次のショット(パット)へと進む前に大切な作業が待っています。それは、バンカーの整備です。バンカーには「レーキ」と呼ばれる砂を均す道具が用意されており、バンカーでのプレーにはフェアウェイとは異なるマナーが求められます。バンカーショットが得意な人は少なく、迅速にプレーを進めようとするあまり、焦りながら適当に砂を均してしまうと、ゴルファーとしての評価が下がってしまうことも。

苦手意識しかないバンカーショットも、正しいマナーを学ぶことで、ゴルフをより楽しく、かつスムーズに進めることができます。エチケットを身につけたゴルファーはコース上での優雅な振る舞いが魅力的。正しいマナーを守ったバンカーでの一連の動作は、ただの作業ではなく、ゴルファーとしての品格も高めるものです。初心者からベテランまで、エチケットを心得たら、あなたも洗練されたゴルファーの仲間入りです。

◆バンカーに入る前の準備

バンカーに入る際、最初に心掛けるべきことはレーキを持ったまま入ること。まずはレーキの持ち方とバンカーに入る位置からおさらいしましょう。

レーキの持ち方

ゴルフ場でよく見かけるレーキは片側がギザギザになっており、もう片側が平らなタイプです。バンカー整備におけるレーキの持ち方は、グリップをしっかり握り、柄を垂直に立て、身体のバランスを保ちながら、手首を柔らかくして腕で砂をならすことがポイントです。安定感を持ちつつ、無理なく作業することで、バンカーを均一に整えることができます。力を入れすぎないのがポイントです。

バンカーに入る位置

撮影/Regina

バンカーに入る際は、あご(バンカーのふち)が最も低い位置を選びます。バンカーのふちは崩れやすく、高い場所からの入場は砂の崩壊を招くため、低い位置から入るように心掛けましょう。砂が崩れにくく、ボールに近い位置が理想的です。また、後方から入ることで足跡を残さず、プレーの妨げにならないようにします。また、後方から入ることで、ボールの進行方向に足跡を付けることもなく、ボールの位置を変えるリスクも避けられます。

◆バンカーショットの後のお作法

バンカーから出る位置 

バンカーから出る際には、あご(バンカーのふち)が崩れないように注意が必要です。入る時は問題なくても、出る際にふちに足を掛けると壊れてしまうことがあります。バンカーショット後の「原状回復」はバンカー作法の基本であり、縁が崩れてしまうと、適切な状態に戻すことができません。バンカーから出る際は、最も低い部分のあごを選び、砂が崩れにくい位置から出るようにしましょう。

あごの高い位置からの出入りはNG( 撮影/Regina)

バンカーの均し方

バンカーの砂を均す際は、まずレーキの歯で大まかに整え、最後にレーキの裏側で仕上げます。レーキは押して使うことで、力が均等に分散し、砂を平らにならすことができます。引くとムラができやすいため、凹んだ部分に砂を集めてから押し出し、最後にレーキの裏で表面を優しくなでると、きれいに仕上がります。

レーキを押す動きで砂を均す(撮影/Regina)

レーキの裏も押して使う( 撮影/Regina)

◆ラウンド中とは違う!バンカーでの注意点

レーキの置き場所

バンカーでのレーキの置き場所は、プレ―の妨げにならないと同時に、次のプレーヤーが簡単に見つけられる場所にすることが重要です。一般的には、バンカーの外側、とくに入口付近に置くことが推奨されています。レーキを置く際には、ホールの進行方向に対して垂直にならないように注意し、必ず他のプレーヤーのプレーライン上にないことを確認します。

撮影/Regina

「外置き」とは異なり、バンカーの中にレーキを置く「中置き」もあります。中置きでは、レーキはバンカーの縁にかけて浮かせるように置かれ、ボールがレーキに当たる可能性が非常に低くなります。中置きはビギナーにも分かりやすく、ならし忘れが少なくなるメリットがあります。ただし、レーキの置き方はゴルフ場のルールによって異なるため、プレー前には必ず確認するようにしましょう。

Adobe Stock

後続組への配慮

バンカーショットを行った後、後続のプレーヤーへの配慮として、バンカーを元のきれいな状態に戻すことが重要。これは次にプレ―する人たちがフェアな条件でショットを行えるようにするためのエチケットです。バンカー内の足跡やボール跡をレーキでならし、砂を均一に整えることで、後続組が不利な状況にならないようにします。足跡の中にボールが落ちた場合、砂を整えることはボールの位置の改善とみなされ、ペナルティの対象にもなり得ます。適切なマナーは、他のプレーヤーへの最大の配慮です。ゴルフはマナーを重んじるスポーツであり、自分たちがプレ―した後のバンカーを、来た時よりもきれいな状態、または少なくとも同じ状態に修復することは、ゴルフを楽しむ上での最低限のマナーとされています。

バンカーでのマナーは、洗練されたゴルファーの証しです。苦手な瞬間であっても、美しいエチケットで気品あるプレーを心掛けましょう。ゴルフは単なるスポーツ以上のものであり、プレーヤーの意識を映し出すものです。バンカーでのマナーを大切にし、優雅でエレガントなゴルフライフを送ってくださいね。

取材・文/夢書房

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