多くのプロゴルファーを選出している東北高校。ゴルフの名門校として有名なので、名前を聞いたことがある人もいるでしょう。なぜ東北高校から多くのプロゴルファーが誕生するのでしょうか?「優秀な選手が集まるから?」「ゴルフ部の練習に秘密が?」そんな疑問に迫ります。
◆東北高校ゴルフ部出身のプロゴルファーは?
宮城県仙台市にある東北高校は、宮里藍(沖縄県)プロや有村智恵(熊本県)プロなどを輩出しているゴルフの名門校です。東北高校出身のプロゴルファーは数多く、20名以上のプロゴルファーが卒業しています。東北出身者以外にも全国各地から集結しており「ゴルフの腕を上げプロになりたい」と思う中学生にとって、憧れの高校なのです。
東北高校出身のプロゴルファーを都道府県ごとに一覧にしてみました。
菊地絵理香:北海道
田村亜矢:北海道
佐藤のぞみ:宮城県
井浦舞子:宮城県
山路 晶:宮城県
和田委世子:山形県
大江香織:山形県
大和笑莉奈:山形県
千葉睦美:岩手県
森桜子:茨城県
柳澤美冴:群馬県
木戸愛:神奈川県
鶴瀬華月:神奈川県
原江里菜:愛知県
高島早百合:京都府
沖せいら:山口県
(敬称略)
トッププロの輩出人数はトップクラス。宮里プロ、有村プロ、菊池プロは主将をつとめています。
◆強さの秘密は宮里藍プロ!
東北高校が頭角をあらわしたのは、宮里プロの時代からといわれています。宮里プロは個人戦で2001年2002年2連覇(2000年は古閑美保プロでした)2003年は主将として団体優勝を達成しました。
宮里プロにあこがれて入学を決めた原プロも、2004年に個人優勝しています。その後、2005年に森プロが、2006年は菊池プロが優勝。個人女子では5連覇を達成した東北高校は、ゴルフの名門校として世間に広く知られるようになったのです。団体戦でも2003年、宮里プロが3年生の時に優勝してから2007年まで、5連覇を達成しています。
宮里プロにあこがれて入学を決意したとコメントしているのは、有村プロ、原プロ、大江プロなどです。
参考までに入学順に並べてみました。
・宮里プロ:2001年
・有村プロ:2003年
・原プロ:2003年
・菊池プロ:2004年
・木戸プロ:2005年
・大江プロ:2006年
菊池プロいわく、有村プロと原プロはとても面倒見のいい先輩だったそうです。
高い技術と熱意を持つ全国の中学生が集まる理由は、宮里プロの活躍が大きく影響していることは間違いないでしょう。宮里プロは沖縄の出身ですが、兄の優作さんが東北の大学で活躍していたこともあり、東北高校へ入学しています。
宮里プロの活躍は、高校生のゴルフ大会だけにとどまらず、3年生の時には「日本女子アマチュアゴルフ選手権競技」「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で優勝。10月には史上初の高校生プロゴルファーに転向しています。高校のころから英語も堪能で、この頃からすでに世界を見据えて準備していたのかもしれませんね。
◆高校生でこの環境!? 充実した設備と実戦練習
東北高校は設備と環境が充実していることでも有名です。構内にはパター、バンカー、アプローチの練習用があり、いつでも利用可能。ゴルフ部所有のバスで宮城ゴルフガーデンに移動し、200ヤードの開放感あふれる打席で練習します。構内にはトレーニングジムや2台のシミュレーターもあり、なんともうらやましい環境ですね。
部員は男子14名女子13名(2023年現在)と少数精鋭で、一人ひとりを大事に育てる部活動のようです。
東北高校の部活紹介動画では、ゴルフ部の練習メニューについて語られている動画があり、そこでは次のように説明されていました。
月曜日から金曜日は、通学前の7:30に宮城ゴルフガーデンでボール拾いを行ったあと、ゴルフ部のバスで学校に移動し15:00まで学業に励みます。15:05〜18:00までは構内や宮城ゴルフガーデンで練習メニューをこなし、そのあとは自主練習に励む人もいるようです。
土曜日は9:30から宮城ゴルフガーデンで練習し、12:30で終了。週に2回は8ホールのコースを回る練習もあり、実戦練習も欠かしません。
ゴルフ部に入部する生徒は東北高校の「スポーツコース」に入学し、通常の学科の他にスポーツ医学、メンタルトレーニング、など、アスリートに必要な「強いメンタル」「明晰な頭脳」「高い身体能力」を修得。心・頭・体のバランスの取れた人間形成をモットーにしています。
中学時代にジュニアで活躍していた生徒は、ほとんどが特待生やスカウトなどで入学しているようです。
◆ゴルフ部以外もすごい!
東北高校はゴルフ以外にも、多くのスポーツ選手を輩出しています。
フィギュアスケートでは羽生結弦さん、荒川静香さん、野球ではメジャーリーガーのダルビッシュ有さん、大魔神こと佐々木主浩さんなど、世界で活躍するトップアスリートが勢ぞろいです。
ダルビッシュさんは宮里プロの一つ下の後輩にあたり、2年生の時にエースで甲子園に出場しているので、この時代の東北高校は大いに盛り上がったことでしょう。
東北高校以外にも、渋野日向子プロの出身校である作陽高校(岡山)や三ヶ島かなプロの沖学園(福岡)、菅沼菜々プロや岩井姉妹プロの埼玉栄高校など、ゴルフの強豪校は続々と登場しています。
今や高校生の腕前は年々上昇し、2023年のプロテストでは現役高校生5人が合格。女子プロ会は選手の若年化がすすみ、ますます注目されています。2024年はいったいどのようなプレーを魅せてくれるのか、目が離せませんね!
取材・文/夢書房