ラウンド後、入浴を挟んでの集合時間までが短いと、正直ギョッとしますよね。時間までに汗を流してどこまで身だしなみを整えて出てこられるのか、接待やコンペなどでは余計にプレッシャーがかかります。
また、渋滞に巻き込まれる前にサッサと帰途につきたいのに、浴室に入ると妙にモタついて結局出遅れる……という人もいるでしょう。
そこで、“速”風呂自慢のゴルフコーチ・りたまるさんに、ラウンド後の入浴を時短、且つ快適にするためのテクを聞きました。その極意を紹介します。
教えてくれたのは:りたまるゴルフコーチ
1996年生れ、東京都出身。160cm。LPGAティーチングプロA級。三觜喜一プロのもとレッスン経験を積み独立。華奢な体格から生み出されるパワフルなショットにはギャップ萌え必須。わかりやすくロジカルなレッスンに信頼を置く生徒が多数。現在はフリーでゴルフレッスンを行いながら、各種メディアにも登場。Instagram(@ritamaru_golf)
りたまるコーチも本気で勝負!→関連記事:「え、もう出たの!?」が勲章です【ゴルフ女子の“速”風呂選手権】
【極意 その1】前日に仕分け&小分けし、モノを探す手間を省くべし
ゴルフ後の時短入浴を成功させるには、まずは前日の準備が重要だとゴルフコーチのりたまるさんは説きます。
「コーチという職業柄、生徒さんとラウンドレッスン後のミーティングやお見送りにできるだけ早く参加したくて、お風呂には最速で入れるよう努めています。そのため、荷物は前日の段階でめちゃくちゃ入念に準備しておくんです。仕分け小分けでモノに住所をつくると、探す手間が省けますので、ゴルフ場に着いてからの作業が簡単で済みます」(りたまるコーチ・以下同)。
たとえば、どデカバッグの中に着替えやスキンケア用品をぼんぼん詰め込み、「忘れ物ナシ、ヨシ」では時短的には不正解。それだと朝の着替え時にバッグ内のカオス化が進み、入浴時はさらなる混沌から必要な物を発掘しなくてはなりません。相当な時間のロスです。
ベストセラー『気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ』(著 リズ・ダベンポート)によると、平均的なビジネスパーソンは探しものをするためだけに1年間に1500時間を浪費しているそうですが、なにかと持ち物の多いゴルフシーンでも人ごととは思えないでしょう。
効率よく時短テクを発揮するには、ゴルフ場での動き方を想定して以下のように荷物を仕分けし、小分けして“モノに住所をつくっておく”ことがポイントです。
・到着後にすぐに必要なもの→ゴルフウェアなど
・コースに持っていくもの→ゴルフグッズ、カートバッグと中身(日焼け止め、小銭など)
・お風呂セット→着替え、スキンケア&ヘアケア用品など
特に着替えなど洗濯できるものは、100円ショップで売っている洗濯ネットに入れて持ち運ぶと便利です。帰宅後はそのままポイッと洗濯機に入れるだけでいいため、効率良し。最近の洗濯ネットは取っ手付きなど種類が豊富でかわいいデザインのものも多いので、いろいろ探してみるのも楽しいですよ。
【極意 その2】ただ置くだけじゃダメ!? ロッカーの使い方をひと工夫
ゴルフ場のロッカーの使い方にも、時短のワザがあります。
あーやれやれ無事ゴルフ場に到着したという安堵とともにロッカー内にバッグをポンと置いただけでは、スムーズに次の一手を打つことはできません。しかも、バッグの中がしっちゃかめっちゃかだと、物を取り出しながらちまちま探すか、またはロッカールーム内にあるベンチにお店を広げるか。いっそボストンバッグごとお風呂場に持っていってしまうのも手ですが、とにかく荷物が多くて大変ですよね。
一方、「極意 その1」で前述したようなお風呂セットが準備できているなら、到着後にそれをバッグから取り出してロッカーの手前に置いておくだけでもかなりの時短につながります。朝はバタバタしていて余裕がないなら、昼食休憩の時に用意してもいいでしょう。
速風呂上級者になると、着替えはお風呂セットと一緒にハンガーにかけ、アフターゴルフ用の靴を持参したならそれをシューズバッグから出してロッカー内でスタンバイさせておきます。ちょっとしたことですがスマートでこなれ感があり、タイムロスの削減にもつながります。
りたまるコーチの“速”風呂セッティング例(イメージ)。着替えのワンピースをかけたハンガーの柄に、お風呂セットを引っ掛けておくとわかりやすくて便利。アフターゴルフ用のパンプスもシューズバッグから出しておく
【極意 その3】上がりり3ホールで、入浴に向けてさりげなく準備スタート
集合時間に遅れた際の「お待た~」が通用しそうにない接待やコンペなどのシチュエーションでは、幾重にも時短入浴テクを投入しておくが得策。そうしたシーンでは入浴後の仕上がりクオリティもある程度求められますから、なおさらです。ホールアウト~入浴~集合の行程における時間配分を見誤ると、やむなく髪びちょびちょのままパーティーに参加せざるを得ないこともあります。
そんな事態を避けるためにも、りたまるコーチはこんなワザを実践しています。
「最終ホールに向けてどう動けばいいかを考えて、上がり3ホールくらいで逆算するんです。『このあとショートティーは要らないかな』と思ったらしまって、ポケットの中も順次整理していきます」
マスター室前に戻ってからティやマーカーなどを整理し始めると、それだけで手持ちの入浴時間が短くなっていきます。こまごまグッズの片付けは家に帰ってからやる人もいるでしょうが、正直面倒ですよね。早く寝たい、しかし、そのまま放置すると次回のゴルフの際に自分を呪いたくなるジレンマ。
「時短入浴の戦い(?)は、ラウンド中に始まっているんです。すべてのティは最終ホールのセカンドまでにしまう。ポッケの中身はラウンド後、クラブハウスに向かうカート内でしまってしまいます」
身の回りの物を整理しつつプレーすれば、まさに一石二鳥。時短になるうえ、帰宅後も楽チンです。
とはいえ、いかにも「私、片付けてますんで」という態度にならないようご注意を。あくまでもさりげなく、がコツです。
【極意 その4】物理的な距離を設けることで、会話に花を咲かせすぎない
お風呂場では、皆が裸のお付き合い。あらゆるものが“素”になるので、互いにマナーやコミュニケーションのスキルが求められます。
特に女湯は女の園ですから、「その美容液どこのメーカー? すごく良さそう~!」などスキンケアに関して盛り上がったり、ゴルフ談義に花が咲いたりもするでしょう。しかし、時短を目指すのであれば、女子トークはほどほどにしたいもの。
また、普段はカラスの行水の人も、長風呂の人がいたらその人に対する気遣いからあえてペースを落とすことがあると思います。一種のやさしさでしょうが、それだと共倒れ状態となり、揃って集合時間に遅れるかもしれません。みんなで遅刻すれば怖くない点は否めませんが、心の中では「本当は私、時間に間に合っていたのに」とモヤモヤした気持ちが渦巻くのではないでしょうか。
「女湯には気遣いや遠慮をして相手に合わせたり、女同士のコミュニティづくりに一生懸命になりすぎたりする方がいますよね。でも、集合時間が際どい時に注力すべきは、身だしなみを整えて遅れず出ていくことです」(りたまるコーチ)
そのためにも実践してほしいのが、「私は風呂が速い人間です」という姿勢をアピールことです。
「脱衣所の場所も浴室内の洗い場も仲間からできるだけ離れたところを選ぶ、もし立って入れるシャワーブースがあればそこを利用する。するとお互いが見えずゆっくりおしゃべりもできませんから、お風呂に集中することができます」
誰かが速風呂テクを炸裂させ素早い行動をしていると、まわりにも「急がねば」というバイブスが波及し、相乗効果が起きてウィンウィンです。女子トークは時間のある時に、じっくり堪能しましょう。
【極意 その5】時間泥棒のスマホはお風呂場ではノータッチでよろしく
ゴルフ場によっては個別ブースに分かれた快適なパウダールームがあって、そこの椅子に座ってスマホに没頭……そんなゴルファー、いますよね。長居したくなる気持ちはよくわかりますが、そもそも公共のブースを長々と占領するのはいただけません。且つ、お風呂場にスマホを持っていくこと自体ちょい待て感がありますが、それはここでは置いておくとして、急いでいる時にスマホは鬼門です。一度見たら最後と心得ましょう。LINEを少しチェックするつもりが返信し始めたらキリがなくなり……ということはあるあるだと思います。
記憶がフレッシュなうちにゴルフのスコア管理アプリに入力したい、という人もいるでしょうが、時間がある時に落ち着いてやったほうが中途半端になりません。
スマホをいじっていると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。緊急時以外スマホはノータッチ、通知もスルーでいきましょう。
まとめ
じっくり満喫できる時もあれば、駆け足で入らなくてはいけない時があるのがゴルフ場のお風呂事情。ゆったりたっぷりのーんびりのテクニックは皆さんご存じでしょうから、もう一端の時短入浴テクを知っておいて損はありません。
ゴルフ歴を重ねるごとに、自分なりの入浴テクが磨かれていくはずです。
取材・文/相田英子 撮影協力/赤羽ゴルフ倶楽部