賞金王争いは大逆転劇で決着! 2024男子ゴルフ閉幕

東京よみうりCCで開催された男子ゴルフ最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」。初日から首位に立った中島啓太プロ(欧州ツアー優勝の資格で出場)が、3日目を終えた時点でも首位を守り、そのまま完全優勝か⁉ と思われました。ところが、最終日に3オーバーと崩れて、結果は4位。1打差の2位でスタートしたショーン・ノリス選手の逆転優勝で幕を閉じました。

逆転と言えば、大混戦となっていた賞金王争いも大逆転劇で決着しました。賞金ランキング2位につけていた金谷拓実プロが同大会で3位に入り、賞金ランキング1位だった平田憲聖プロを逆転。プロデビューしてから常に賞金王争いに絡んできた金谷プロが、念願の賞金王の座に就きました。今季は、年間4勝した平田プロの年かと思われましたが、最終戦を迎えてみれば群雄割拠の大混戦。そんな男子ゴルフの2024年シーズンの結果を、最終戦の大逆転劇と共に見ていきたいと思います。

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◆大逆転劇で幕を閉じた賞金王争い

【最終戦に賞金王の可能性を残していた6名の選手】

平田憲聖(4勝) 金谷拓実(2勝) 今平周吾(1勝)

岩田寛(2勝)    木下稜介(1勝) 石川遼(2勝)

最終戦で賞金王の可能性が残っていた選手が全部で6人という大混戦となった今季の賞金王争い。年間の勝利数だけを見れば、今季4勝を挙げていた平田プロの独走状態かのように感じます。しかし、最終戦が始まる前の段階で、賞金ランキング1位だった平田プロと2位だった金谷プロの賞金差は約288万円ほどしかありませんでした。平田プロの出場試合数が24なのに比べ、金谷プロは19とかなり少ないにも関わらず、なぜそれほど獲得賞金に差が無かったのでしょうか?

それぞれの今年度の大会成績を見てみれば、10位以内に入った大会が9回の平田プロに比べ、金谷プロは11回。しかも、金谷プロは20位以下になった試合が3つしかないという安定感。出場すれば、しっかりと獲得賞金を加算していたと言うことができます。逆に、平田プロの今季4勝の内、2勝目の「フジサンケイクラシック」は、台風10号の影響で36ホールの短縮競技でした。加算賞金が規定の50%となり、0.5勝分の獲得賞金だったことも大きく影響したと言えるでしょう。複数優勝した選手に目がいってしまいがちですが、毎週の積み重ねがいかに大きいかがわかりますね。

◆今季の男子ゴルフは「若手vs中堅」

【今季(2024)の賞金ランキングTOP10】

1位        金谷拓実(26歳)

2位        平田憲聖(24歳)

3位        S.ノリス(42歳)

4位        岩田寛 (43歳)

5位        今平周吾(32歳)

6位        木下稜介(33歳)

7位        石川遼 (33歳)

8位        清水大成(25歳)

9位        桂川有人(26歳)

10位      小木曽喬(27歳)

賞金ランキングの上位を見てもわかりますが、20歳台の選手で溢れている女子ゴルフと違って、男子ゴルフは石川遼プロをはじめとする30代の選手も優勝戦線で活躍中。「名のある中堅選手」vs「若手」の構図は見ていて楽しいですね。大会を開催しているコースは、総距離を伸ばすなど、年々タフなコースセッティングになっていて、よりパワーが求められる状況になっています。そのためか、40代の選手は年々数を減らしている印象です。そんな中、賞金王争いに加わった岩田寛プロの活躍には驚きを隠せませんが…。

◆来季のシード権争いの結果は?

来季のシード権は最終戦のひとつ前の「カシオワールドオープン」終了時点で出場義務試合数が不足していた4人を除く同69位までの65人が確定していましたが、中島啓太プロが最終戦に出場したことで義務試合の3試合に到達。同47位で賞金シードを確定させ、来季のシード権保持者は全部で66名になりました。

賞金ランキング11位の杉浦悠太プロ、同29位の生源寺龍憲プロなど、全員20代という7名の選手が初シード入り。少しばかり世代交代を感じる結果と言えます。その代わり、小平智プロや上井邦浩プロなど7人がシード復活を果たしています。同74位の時松隆光プロや同77位の近藤智弘プロなど14人が賞金シード落ち。他にシードの資格が無い時松プロら8人が、出場権を失いました。 先に幕を閉じた女子ゴルフに1週遅れて、今季の男子ゴルフもとうとう閉幕。今年の国内プロゴルフツアーは、残すところ「日立3ツアーズチャンピオンシップ」のみとなりました。しかし、来季の男子ツアーの出場権を賭けたクォリファイングトーナメントは既に始まっていて、今週いよいよファイナルです。これで、来季のツアーに参戦する選手が決まります。例年通りなら、今月末に来季の日程も発表されます。ポイント制の導入もささやかれていて、今季が終わったばかりにも関わらず、既に来季が気になって仕方がありません。

◆おだみなプロフィール

おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。

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