冬のゴルフは飛距離が落ちると言われますが、その理由はウェアの重ね着による体の回転不足だけではありません。ボールにも冬ならではの変化が起こっているのです。一体何が原因なのか、飛距離ダウンの理由と対策を見ていきましょう。
◆ボールが飛ばないのは気温の低下が原因
冬になるとゴルフボールが飛ばなくなるのは、なぜでしょうか? まず大きな理由として、厚着による体の回転不足があげられます。重ね着で動きにくくなると、スイング時に体が十分に回転できず、クラブのシャフトのしなりを活かせません。その結果、ヘッドスピードが落ちて飛距離がダウンしてしまうのです。
さらに、冬は空気の密度が高くなるため、暖かい時期よりも空気抵抗が増すことも、飛距離が出ない原因です。一般的に、気温が10℃下がると飛距離は2~2.5ヤードほどマイナスになると言われています。
これらの要因に加え、冬はボール自体の弾力が低下することも大きな要因です。ゴルフボールは、主にゴムなどでできたコア部分と、表面を覆うウレタンカバーでできています。インパクトの瞬間にボールは圧縮され、その反発力で前へ飛びますが、気温が低いと素材の弾力が低下し、反発力が十分に得られません。そのため、春や秋に比べて冬はボールが飛ばなくなるのです。
◆冬に適したボールの選び方
では、ボールの性能が発揮しにくい冬には、どのようなボールを使えば良いのでしょうか?
現在、ゴルフボールには「ディスタンス系」と「スピン系」の2種類があります。ディスタンス系は、コアが柔らかくカバーが硬い構造で、高反発で低スピン、風に強く直進性に優れています。一方、スピン系はコアが硬めでカバーが柔らかく、打感がソフトでスピン性能に優れており、繊細なボールコントロールが可能です。
冬はどちらかというと、スピン系ボールがおすすめです。スピン系ボールは、ディスタンス系に比べて高弾道でキャリーが出やすいという利点があり、飛距離アップが期待できます。また、ソフトな打感なので、寒さが苦手でインパクト時の衝撃を和らげたい方にもぴったりです。
◆ボールの保管も大切
飛距離が出ない原因には、ボールの保管状態も関係しています。高温になる夏の車内での保管は劣化につながりますが、10℃以下の寒い場所もボールにとって良い環境とはいえません。できるだけ20℃前後の快適な室内で保管しましょう。もしボールが冷たくなってしまったら、温めることで弾力が回復することもあります。ただし、熱湯をかけるのはNG。ボールを傷めてしまう原因になります。
冬のラウンド前には、ボールを室温で温めておき、プレー中はカイロなどで冷えないように工夫しましょう。予備のボールをいくつか用意し、使用するボールをローテーションで温めれば、急激な温度低下を防げます。
ただし、競技に参加する際は、プレー中にカイロなどでボールを温めるのは避けましょう。ルールで禁止されており、ペナルティの対象となる可能性があります。意図的に温めたと誤解されないように、取り扱いには十分注意が必要です。
寒い冬は、ボールの性能が落ちやすく、飛距離が期待できないこともあります。ウェアの重ね着や寒さで体が動きにくい状況は避けられないので、ボールを良い状態で保管し、少しでも飛距離アップを目指しましょう。
取材・文/夢書房