初心者からトップクラスまで幅広くアマチュアの指導を行う岩本砂織プロのショートゲームレッスン。最終回は傾斜からでもボールを狙ったところへ落とすコツを紹介します。
ゴルフ場には平らな場所がほとんどありません。極端な傾斜から微妙な傾斜までしっかりと対応してこそ、アプローチの精度が上がるというものです。まずは、バランスのよい安定感のあるアドレスをつくりましょう。
バックナンバーもチェック！「岩本砂織プロ直伝！ ワンランク上を目指すパッティング＆アプローチ」
◆バランスを崩さずにクッションの上でスクワット
ゴルフコースでは、練習場のように真っ平らなライからボールを打てるとは限りません。どんな傾斜にも対応できる準備をしておくべきです。そこで、今回はフィジカルトレーナーの槻舘歩さんと京矢彩希さんにお手伝い願います。
槻舘トレーナー「まず、クッションのように不安定なものの上に立ちましょう。体重を前後に移動しながら体を揺らします。おそらく、ツマ先寄りに体重が乗っている人は前に倒れ、カカト寄りに体重が乗っている人は後ろに倒れます。どちらにも倒れないポジションに重心を乗せることが目的です」
自分なりに足の真ん中辺りに重心を乗せるつもりで立つとバランスを取れます。
槻舘トレーナー「今度は体の揺れが止まった位置でスクワットをしてみましょう。不安定な足場で自分の重心を真ん中に保とうとしながら動くことがトレーニングになります」
京矢トレーナー「上級者編になりますが、スクワットの動作時に誰かに背中と胸を軽く前後に押してもらい、それでもバランスを崩さずにスクワットできれば、しっかりと足の真ん中に重心がきている証拠です」
岩本プロ「足場が不安定なところでバランスよく立てるようになれば、傾斜でもスイング中にバランスを崩すことがないので、ミスヒットしにくくなるというわけです」
普段から正しい重心位置を見つけるトレーニングをしておくことで、ラウンド中に傾斜から打つ場面を迎えても対応できるようになります。
マットの上に立ち、体重をツマ先寄りとカカト寄りに乗せながら、体を前後に揺らしてみましょう。どこに重心があるとバランスよく立てるのかを探します
バランスが安定するところを見つけたら、そこでスクワットを数回行い、バランスが崩れなければ、正しい位置に重心があります
上級者なら誰かに体を前後に押してもらい、それでもバランスを崩さないかを確かめます
◆重心は親指のつけ根と小指のつけ根、カカトを結んだ三角形の真ん中が理想
なかなか重心位置が見つからない人に対して、京矢トレーナーがお勧めのポジションを教えてくれました。
京矢トレーナー「重心位置は足裏の真ん中にあると、体を動かしやすくなります。その位置の見つけ方ですが、親指のつけ根と小指のつけ根、そしてカカトを結ぶと三角形ができます。その三角形の真ん中が正しい重心位置です」
岩本プロ「イメージとしては、そこに五寸釘が刺さっている感じですね」
槻舘トレーナー「傾斜はスケートリンクの上と同じです。バランスよく立てない状況なので、まずはそのことを理解し、バランスよく立てるようにすることが、平地と同じスイングをするための第一歩です」
岩本プロ「試しに吉澤さんにもやってもらいましょう」
吉澤さん「うわっ、思っていた以上に体が揺れますね」
京矢トレーナー「体が揺れるのはツマ先寄りかカカト寄りに体重が乗っているからです。地面を真下に踏んでジャンプ出来そうな位置が見つかれば、バランスが取れ、体の揺れは止まりますよ」
岩本プロ「バランスがよくなれば、傾斜だけでなく、平地から打ったときもミート率がアップします。ミスヒットがないので、それだけピンに寄る確率も高くなりますね」
実際に、吉澤さんがバランスよく立てる重心位置を見つけた後、普通にアプローチすると、クラブフェースの芯でしっかりとボールをとらえることができました。傾斜以外でも有効なトレーニングだといえます。
◆読者モデル吉澤早苗さんの感想
吉澤さん「アドレスしたときに何ともいえない安定感がありますね。土台となる下半身が動かないので、簡単にボールをヒットできた気がします」
写真⑥ ３４２５
親指のつけ根と小指のつけ根、カカトを結んだ三角形の真ん中に五寸釘が刺さっているとイメージでしてアドレスすると、傾斜でもバランスを失いにくくなります
クッションの上に立ち、両ヒザの向きを同じにしたまま、ヒザを曲げてもバランスを崩さないように立ちましょう
◆教えてくれたのは・・・
岩本砂織プロ◆LPGAティーチングプロA級。日本オリンピック委員会強化スタッフでもあり、JGAナショナル強化部会の指導者もつとめるスゴ腕コーチ。
2019年12月に「SALTO GOLF 横浜元町 BY Saori Iwamoto」をオープン。“ゴルフとカラダの融合”をコンセプトに、世界基準のゴルフレッスンを提供。
京矢彩希トレーナー◆BESJ マットピラティス・マスターストレッチトレーナーをはじめとした各種資格をもとに、アマチュアからプロダンサーまで体幹トレーニングやコンディショニングを指導。
また自身も舞台俳優として多彩に活動している。現在は「SALTO GOLF 横浜元町」でトレーナーとして活躍中。
槻舘歩トレーナー◆JATI認定トレーニング指導者、JGFO認定ゴルフフィットネストレーナー。フィットネススタジオやゴルフアカデミーにて身体機能改善をサポート。ひとりひとりに向き合う丁寧な指導でゴルファーからの信頼も厚い。
◆撮影協力／ SALTO GOLF 横浜元町bySAORI IWAMOTO
最新機器で世界水準のデータ分析を行い、ゴルフコーチとフィジカルトレーナーがチームとなって、テクニックとフィジカルを強化。今までのゴルフスクールでは体得できなかった「ゴルフとカラダの融合」で、ハンデアップ、飛距離アップを実現！ 住所 神奈川県横浜市中区山下町37-8 みなとみらい線元町中華街駅４番出口横 TEL 045-264-8568
取材・文／山西英希 撮影／山代厚男 読者モデル／吉澤早苗
