【ゴルフのおともにマインドフルネス】ヨガの目的や効果って?

「ゴルフをする人にはヨガやピラティスがおすすめ!」そんなフレーズを良く耳にしませんか? ヨガが良さそうだとは思うけど、実際どんなものなのか、自分の言葉で伝えられるほど知らないという方も多いと思います。

今回は、ゴルファーにヨガがもたらす効果について、その歴史を紐解きながらお伝えします。知らずにやるのと知ってからやるのとではその効果に差が出るかもしれません。

目次

ヨガの目的や効果は?
ヨガの起源、名前の由来
ヨガとは何をすることなのか
八支則とは
ヨガがゴルファーに与える影響や効果
心への影響
身体への影響

◆ヨガの目的や効果は?

ヨガの起源、名前の由来

ヨガは、約4000年以上前のインドで「⼼を整える⽅法」として⽣まれたといわれています。ヨガの名前の由来は、サンスクリット語の「Yuj(ユジュ)」=軛(くびき)をつける。結合・調和を表し、暴れ回る感情と魂の入れ物である身体を結びつけ、ひとつの方向に向かわせる、という意味を持ちます。ヨガは当初、高貴な出家者が行うものとされていましたが、徐々に一般の人にも広く親しまれるものになりました。

ヨガとは何をすることなのか

柔軟性を高めるためや、運動不足解消のためにマットの上でポーズをとることもヨガですが、その実践方法や目的は、歴史を知ることでもっと理解が深まり、好奇心旺盛な方の心が刺激されるかもしれません。

ヨガが始まった当時の人々にとって、ヨガをする目的は、“瞑想によって悟りを開くこと”でした

具体的には、生きにくさを感じていた人々がそれを解消するため、聖者によって定められた『八支則』と呼ばれる悟りに通ずる8つのステップを実践することをヨガと呼び、現在『ヨガ』として広く知られている、マットの上で体を動かすハタヨガは、八支則の3番目のステップとして行われていたものです。

この八支則について少し触れておくと…

1つ目と2つ目のステップには、暴力をふるわない、執着しない、清潔であれ、あるがままの自分が幸せであることを知ろう、など日常生活における心の持ち方が、続く3つ目には、安定した姿勢、4つ目には呼吸のコントロール、5つ目に欲望や感情、外的要因から心を解放する方法、6つ目に、瞑想の始点である集中について、7つ目に瞑想、8つ目には最終段階である三昧(ざんまい)について伝えられています。

はるか昔のインドで生まれたヨガは、その後、源流となる思想は変えずにさまざまな側面がフォーカスされ、西洋経由で現在の『ヨガ』のスタイルやイメージを創り出しました。

とりわけワークアウト要素が強く運動量の多いヨガは、身体への意識が高い人々に好まれ世界中に広がっていますが、最近ではマインドフルネスブームも手伝って、瞑想・メディテーションという言葉も徐々に一般的に使われるようになってきました。

ヨガがゴルファーに与える影響や効果

心を整えることを得意とするヨガですが、身体にも多くのメリットをもたらします。

心への影響

私たちの生活の中には、人間関係やお金によるものや、時間に追われるストレス、SNSや動画配信サービスなどの便利なデジタルツールによるライフサイクルや心の乱れなど、自律神経が乱れる要素が多く存在します。

またゴルファーの場合、ラウンド中に調子が悪くなるとそこから気持ちが前向きになれなくなったり、失敗ショットをいつまでも引きずってしまったり、マナーを守らないゴルファーの振る舞いにイライラしてしまったりと、集中したいのにメンタルが乱れてしまうことがあると思います。

ヨガやメディテーションの実践では、呼吸をコントロールすることによって乱れがちな自律神経を整えることができますし、何度も繰り返し習慣化することで、自分の思考の癖に気づき、良い癖は伸ばし、変えたいところは調整していくという、パフォーマンスアップのためのメンタルトレーニングとしても活用できます。

自律神経が乱れる原因や思考の癖は多岐に渡るため、その効果実感も人それぞれですが、以下は私自身が実感したことや、生徒さんやヨガをしている人から耳にすることの多い、心持ちの変化やそれによる生活への影響です。

朝の目覚めが良くなった、集中力が高まり仕事や競技のパフォーマンスが上がった、他人や過去に執着しなくなり自分らしく生きられるようになった、ゆっくり眠れるようになった、精神的に自立した、落ち込むことが少なくなった、etc…

身体への影響

ヨガで体を動かすことによって、筋肉や関節の柔軟性の向上、筋持久力の向上、血流UPが期待できます。

このような身体の変化は、筋肉の柔軟性が不十分であることや、凝り、運動不足を原因とする、スポーツにおけるフォームのとりづらさや特定の部位の痛み、日常生活における姿勢の悪さや便秘、冷え性、肩こり、腰痛、偏頭痛などの解消やケガの予防に非常に効果的です。

特にゴルフのような体の回旋が行われるスポーツをする人で、股関節周辺の筋肉がかたい場合は、大好きなゴルフで腰痛を引き起こさないためにも、股関節周辺筋の柔軟性を高めるようなプログラムを探してみると、心身ともにメンテナンスができるので非常におすすめです。

身体にも心にも良い特効薬のように書きましたが、決してヨガを試した方全員が1時間のプログラムで即効果を感じられるというものではありません。

また、続けていればいつか講師や仲間が効果をもたらしてくれるというものでもなく、自分で自分を観察しながら実践していくため、効果を実感するまで人によっては長い長い道のりかもしれません。

ただ、今や世界中のトップアスリートやエリートビジネスマンが実践していることや、子どものスポーツクラブや介護施設で取り入れられていることからも、ヨガが身体やメンタルに良い影響を与えるものとして多くの人から認知されいることがわかるのではないでしょうか。

ゴルフ、スポーツを含む自分の生活そのものに目標や少し変えたいところがあるならば、ヨガはそれを達成する手助けを必ずしてくれると思いますよ。

次回はピラティスの効果についてその歴史とともにお伝えします。

参考文献:(著)B.K.S.アイアンガー(訳)沖正弘 後藤南海雄 玉木瑞枝『ハタヨガの真髄』,白揚社,2011
(著)スワミ・サッチダーナンダ (訳)伊藤久子『インテグラルヨーガ』,めるくまーる,1993
(著)フレデリック・ドラヴィエ,ジャン=ピエール・クレマンソー,マイケル・グンディル (訳)東出 顕子,『ストレッチング・アナトミィ』ガイアブックス,2016

◆構成/文 辻岡奈保美さん(ヨガインストラクター)

ヨガ講師、東京品川区プライベートスタジオ「Nahoyoga」主宰。ヨガ歴14年。2017年からヨガ講師として活動する傍ら、女性向けのWebメディアやブランドのコンテンツ・イベント企画などに携わる。常にリアルな女性のニーズやペインに触れ続けることを大事にしながら、得意分野であるヨガと美容について各種メディアでマイルドな発信を続けている。初めてゴルフクラブを握ったのは中学1年生、趣味で楽しむもののスコアは全く成長しない初心者ゴルファー。Instagram:@nahomitsujioka