「ゴルフをする人にはヨガやピラティスがおすすめ!」そんなフレーズを良く耳にしませんか? なんとなく良さそうとは思うけど、実際どんなものなのか自分の言葉で伝えられるほど知らないという方も多いと思います。
前編では、ヨガの歴史やゴルファーへのメリットをお伝えしました。
ヨガは、アーサナ(ポーズ・坐法)、哲学、瞑想などを用いて心身を整えるインド発祥の健康法。ゴルファーにとっては、安定した勝ちメンタルと柔軟な体、強いコアを作るのにとても効果的です。
前編はこちら→ https://www.regina-web.jp/style/34477/
後編では、ピラティスについてお話していきます。ヨガもピラティスも心身を整えゴルフのパフォーマンスを上げる良いツールになりますよ。
目次
ピラティスの起源、名前の由来
ピラティスの特徴
マットピラティスとマシンピラティスの2種類がある
正確性を重視する
ピラティスがゴルファーに与える影響や効果
身体への影響
心への影響
ヨガとピラティス、どちらからスタートする?
◆ピラティスの起源、名前の由来
ピラティスの誕生は、1900年初頭、第1次世界大戦下のイギリス。在住外国人として収容所に拘束されていたドイツ人のジョセフ・ピラティス氏が、他の勾留者に向けて指導したエクササイズプログラムが発端でした。
その後、病院勤務となったピラティス氏は患者向けのエクササイズ指導(リハビリ)を行います。その際、怪我をした人でもエクササイズができるようにベッドを改良して作られたものが、トラピーズテーブル(通称キャデラック)と呼ばれるエクササイズ器具です。
ヨガや体操、動物の動きを参考に作られたピラティス氏のプログラムは、当初「コントロロジー」と名付けられ、ニューヨークに渡ったピラティス氏のスタジオで多くのダンサーから評判をよびます。
現在は創始者の名前である「ピラティス」と呼ばれ、インナーマッスルを駆使し繊細な動きで姿勢改善を行うエクササイズプログラムとしてアスリートを始めとする多くの人に実践されています。
◆ピラティスの特徴
マットピラティスとマシンピラティスの2種類がある
大きく分けて、マットの上でおこなうものとマシンを使っておこなうものの2種類が存在します。
マットピラティスは、自重を使ったエクササイズ。スタジオなどでは、パーソナルセッション、グループセッションの両方で行われており、自宅でセルフで行うことも可能です。
マシンピラティスは、基本的にトレーナーのもとで指導を受けながら、さまざまな器具を使って、1対1、あるいはグループで行います。より効かせたい部位に集中できる効率的なエクササイズです。
正確性を重視する
ピラティスは、リハビリ由来ということもあり、受け手の状態に合わせて解剖学をもとにした正しいアライメントと呼吸法、正しいステップで安全に行うことが重要とされています。
このようなピラティスの正確なアライメントは、ヨガでの身体の使い方をより詳しく知りたいと思った時の解説書とも捉えることができます。
その動きは実に繊細で、使っている筋肉や呼吸を自分で意識しながら、体と心を調和させていく感覚はヨガ同様マインドフルネスな要素を十分に伴っています。
◆ピラティスがゴルファーに与える影響や効果
姿勢やコアを整えるのが得意なピラティスですが、メンタルにもアプローチしてくれます。
身体への影響
ピラティスの得意分野である姿勢の改善、インナーマッスルの強化によって、さまざまな健康効果をもたらします。
特にゴルファーに大切なコアの使い方や軸の安定の習得には効果的で、トレーニングによりスウィング時などの無理な力みを無くすことができれば、怪我の予防にも繋がります。
また、姿勢の改善による腰痛や肩こりの解消、鍛える・バランスを整える、などの動きによるボディメイクに効果が期待できる点でもメリットは多いといえます。
心への影響
ピラティスでは胸式呼吸を行いながらエクササイズを行います。この胸式呼吸は自律神経の中でも交感神経を刺激し身体を活性化させます。
エネルギッシュに過ごしたい、強さを取り戻したいという時に活力を与えてくれる呼吸法なので、セッションを終えた後には、パワフルな爽快感を味わうことができるでしょう。またこの呼吸法は、覚えておけばプレー中に落ち込んだ時、自分を鼓舞したい時などにも応用できます。
ヨガとピラティス、どちらからスタートする?
前後編にわたってお伝えした通り、ヨガとピラティスにはどちらもゴルファーにとって大きなメリットがあります。
「では、どちらが自分に向いてるの?」という疑問を持たれる方も多いと思いますが、本音をいえば「一番最初に行くのがゴルフコースなのか、練習場なのかでゴルフのパフォーマンスは変わる?」という問いと同じぐらい、どちらが最初でも良いものですし、どちらでも効果を感じられるものです。
例えば、柔軟性UPとコア強化が目的だったとして、ヨガとピラティスで迷っている場合には、ストレス解消もしたいからヨガに行ってみる、とか、マシンが面白そうだからピラティスに行ってみよう、とか、そのくらいのきっかけで良いと思います。
また、ゴルフとの共通点はもうひとつ、楽しむには繰り返しやることが大切ということ。
ゴルフを楽しんでいる方ならば、「(最初の1回がコースか練習場かに関わらず)1回の体験で、ゴルフがつまらない、自分には向いていないと判断するなんてもったいない!」と思いませんか?
ヨガとピラティスも、心身のトレーニングという分野の中では、”ゴルフコースと練習場”と同じような関係性。
最近では、大手のスタジオから個人運営のスタジオまで多くのプログラムがオンラインで気軽に体験できるので、ぜひプログラムやトレーナーとの相性を探りながら何回か試してみてくださいね。
ゴルフや生活全体のパフォーマンスを上げる便利なツールとしてのヨガとピラティス、活用しない手はありません。
参考文献:(著)B.K.S.アイアンガー(訳)沖正弘 後藤南海雄 玉木瑞枝『ハタヨガの真髄』,白揚社,2011
(著)スワミ・サッチダーナンダ (訳)伊藤久子『インテグラルヨーガ』,めるくまーる,1993
(著)フレデリック・ドラヴィエ,ジャン=ピエール・クレマンソー,マイケル・グンディル (訳)東出 顕子,『ストレッチング・アナトミィ』ガイアブックス,2016
◆構成/文 辻岡奈保美さん(ヨガインストラクター)
ヨガ講師、東京品川区プライベートスタジオ「Nahoyoga」主宰。ヨガ歴14年。2017年からヨガ講師として活動する傍ら、女性向けのWebメディアやブランドのコンテンツ・イベント企画などに携わる。常にリアルな女性のニーズやペインに触れ続けることを大事にしながら、得意分野であるヨガと美容について各種メディアでマイルドな発信を続けている。初めてゴルフクラブを握ったのは中学1年生、趣味で楽しむもののスコアは全く成長しない初心者ゴルファー。Instagram:@nahomitsujioka