練習を重ねて、スイングが上達すると気になってくるギアの一つが「シャフト」です。特にパワーのあるアスリート女子が弾道を安定させ、効率良くボールを飛ばすには、ヘッド以上にシャフトの性能が大切になってきます。今回は女性ゴルファーにおすすめのシャフトメーカー「三菱ケミカル」をご紹介していきます。
◆ドライバーの「飛ばない」や「曲がる」はシャフトを替えれば直せる!
しっかり練習しているのに飛距離が伸び悩んでいたり、コースで方向がどうしても不安定になるなど、ドライバーに悩みを抱えているとしたら、「シャフト」を替えることで改善されるかもしれません。
ゴルフクラブは、ヘッドに重量が集中する作りになっているため、スイングするとヘッドに引っ張られるようにシャフトがしなります。このしなりは、上手く活用できればヘッドスピードを上げたり、ボールを強く叩いて飛ばすことができますが、一方でスイングとしなりのタイミングがズレていると飛距離をロスしたり、思わぬミスが出てしまいます。
特にレディスクラブを購入し、標準装備の純正シャフトをずっと使っている人は注意が必要です。レディスの純正シャフトは、パワーのない女性でもやさしくボールがつかまり、球の高さが出るように設計されています。その分、シャフトのしなり量が多くなりますので、練習量が多かったり、スポーツ経験があってパワーのある女性ゴルファーが使うと前述したようなミスショットにつながる可能性が高くなります。
日々の練習の成果をしっかり結果につなげ、ポテンシャルを最大限に引き出して飛距離を伸ばすためには、自分に合ったシャフトを選ぶことが何より大切です。そして、女性ゴルファーがシャフトを選ぶ上で最適なモデルを揃えているメーカーが「三菱ケミカル」です。
◆女性からツアープロまで、あらゆるゴルファーのニーズに応えるシャフトが揃う
ドライバーのシャフトは炭素繊維、つまり「カーボン」で作られ、多くのメーカーは他社が開発したカーボンを使用してシャフトを開発しています。一方で、三菱ケミカルは自社で素材の開発からシャフトの設計、製造までを一貫して行うことのできる世界で唯一のメーカーです。『Diamana™』、『VANQUISH™』、『TENSEI™』といった人気ブランドを展開し、その飛距離性能や安定性、フィーリングの良さが多くのゴルファーに支持されています。
三菱ケミカルと聞くと、男性のアスリートゴルファー向けというイメージを持つ方もいるかもしれません。もちろん、素材や設計にこだわることでパワーのある男性が安定して飛ばせるシャフトも作っていますが、軽量かつしなり量を最適化した女性ゴルファーにピッタリなシャフトもラインナップしています。今回は三菱ケミカルのシャフトに精通するフィッターの市川貴雄さんに、女性ゴルファーにおすすめのモデルを聞きました。
◆女性の感性、振りやすさにこだわった専用設計の『ELDIO™(エルディオ)』
市川さん(以下、市川)「まずおすすめしたいのは、女性専用に設計された『ELDIO™(エルディオ)』です。女性の感性、振りやすさにこだわって開発されたシャフトですので、純正シャフトから移行する上で最初の選択肢になるモデルです。先端の動きを安定させることで方向性を高めた『No.03』とスムーズなしなり戻りで飛距離を伸ばせる『No.06』の2タイプが用意されていますので、目的に合わせて選びやすくなっています。重量やフレックスを豊富に揃えつつも、全てのスペックで「ターコイズ」、「シャンパーニュ」、「マゼンダ」という3つのカラーを選べるようになっています。ヘッドに合わせてカラーコーディネートを楽しめることもポイントですね」
◆最新モデル『Diamana™BB(ディアマナBB)』も女性におすすめ
市川「桑木志帆プロが今季の途中から『Diamana™BB 53(S)』を使用して2勝を挙げています。とにかくクセのないしなりが特徴のシャフトで、フェースを真っすぐ戻しやすいので方向性が安定しやすいですし、先端にしっかり感があるのでインパクト効率を高めて飛距離を伸ばすこともできます。40グラム台のR2から用意されていますので、間違いなく最適なスペックのモデルが見つかるはずですよ」
◆±1gの製品公差を実現する軽量高品質モデル『VANQUISH™(ヴァンキッシュ)』
市川「『VANQUISH™』は三菱ケミカルが持つ技術を結集して生み出した超精密軽量ブランドで、鋭いしなり戻りと強烈な弾きによる飛びと安定した挙動による方向性の高さを兼ね備えています。24年の春には30グラム台の超軽量スペックもラインナップされました。軽量でもこだわりの素材でシャフトの挙動が安定しますので、30グラム台の超軽量シャフトでヘッドスピードを上げて飛ばすという選択もありですね」
◆三菱ケミカル独自のフィッティング「D-Fit」なら最適な特性やスペックがすぐ分かる
三菱ケミカルには、女性ゴルファーにピッタリなさまざまなシャフトがありますが、それだけにどのモデルで、どの重量、硬さを選ぶべきか迷ってしまいます。そんなときにおすすめなのが、三菱ケミカルが独自に開発したフィッティングシステム「D-Fit」です。
市川「『D-Fit』では、6軸センサーを組み込んだ重量、硬さ、キックポイント(調子)の異なる9本のシャフトをランダムに1球ずつ打っていただくだけで、最適な重さやフレックス、キックポイントが推奨されます。その効果は125本のシャフトを試打したのと同じレベルと言われていて、短時間でゴルファーそれぞれにピッタリなモデルを見つけることができます。三菱ケミカルのフィッティングでは、最初に『D-Fit』を使って推奨モデルを絞り、それらを中心に実打を行って、弾道やフィーリングをチェックしていきます。もちろん、推奨だけでなく、気になるモデルがあれば試すことができます」
現在、三菱ケミカルの『D-Fit』を使ったフィッティングは東京都目黒区のスイング碑文谷で受けることができます。1枠50分の完全予約制で、毎月第1・第3土曜日の10時から15時50分という日程で実施されていますので、気になる方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
◆Regina読者モデルが三菱ケミカルのフィッティングを体験
では、シャフトを替えることで結果にどれほどの変化が起きるのでしょう。今回はドライバーに悩みを抱え、シャフト交換を検討している2人のRegina読者モデルに三菱ケミカルのフィッティングを受けてもらいました。
◆右プッシュに悩むゴルファーは、A⇒ 『Diamana™BB』“5R” にチェンジで飛距離17ydアップ!
まずフィッティングを受けたのは杉浦さん、ゴルフ歴3年で平均スコア98の女性ゴルファーです。現在、海外メーカー製のレディスドライバーで、純正シャフトのAフレックスが装着されたものを使用しています。平均飛距離は170ヤード、右に飛び出すプッシュのミスが悩みだと言います。
杉浦「いろいろな人から“シャフトを替えたほうがいいよ“と言われて、シャフトカスタムにはずっと興味がありました。でも、種類が多いですし、重さや硬さなど、分からないことだらけで、どう選べばいいか全く分かりませんでした」
杉浦さんが『D-Fit』を使ってスイング解析を行うと、 最適スペックは「50グラム台・Rフレックス・中調子」と表示されました。
市川「解析結果を見ると、杉浦さんには手元がしなるタイプのシャフトが合いそうです。推奨スペックも50グラム台のRと重めですから、現在、お使いのレディスクラブの純正シャフトは特性的にも、スペック的にも相性は良くないですね。右のミスが出るのも、パワーに対してシャフトが柔らかすぎて、インパクトまでに戻り切らないことが原因のようです。ちょうど『Diamana™BB』の“5R”が合いそうですので、打ってみてください」
市川さんから渡されたドライバーを杉浦さんが打つと、つかまりの良い強い弾道で、飛距離も187ヤードを記録しました。
杉浦「打った感触がここまで変わるなんて驚きです! ゴルフを始めたときに購入したドライバーをずっと使っていて、シャフトを替えたこともありませんでしたが、ここまで振りやすくなるんですね。構えたときから適度な重さがあって、切り返しでもタイミングが取りやすいですし、弾道の強さが明らかに違いました」
市川さんは、挙動の安定するシャフトに交換したことで、飛距離も方向性も安定したと話します。
市川「お試しいただいた『Diamana™BB』の“5R”は硬さで言えば2ランクくらい上がった形になります。一般的にシャフトが重く、硬くなれば方向が安定すると言われますが、杉浦さんの場合はしっかりしたシャフトで思い切り叩けるようになったので、飛距離も伸びてくれました。自分に合うシャフトを使うことで、飛距離も方向性も確実に向上する良い例だと思います」
◆Sフレックス使用の競技ゴルファー、シャフトを変えて飛距離アップは可能?
次にフィッティングを受けた安達さんは、ベストスコア80の競技ゴルファーで、現在は海外メーカー製のヘッドに、40グラム台でSフレックスのカスタムシャフトを装着しています。ドライバーの平均飛距離は170ヤード。シャフトを替えることで飛距離を伸ばせないか気になっているようです。
安達「今、使っているヘッドはずっと愛用していて、シャフトも何度か交換しています。フィッティングをしてもらったシャフトなので、割とショットが安定しているのですが、競技への出場を予定していて、もっと飛ばせるようになりたいと考えています。三菱ケミカルのシャフトはツアープロの使用者も多くてずっと気になっていたので、自分に合うモデルがどんなものか気になります」
杉浦さんと同じく『D-Fit』によるスイング解析を行うと、最適スペックは「50グラム・Rフレックス・先調子」と表示されました。
市川「安達さんは切り返しがゆったりしているタイプですので、手元が硬く、先端が走るタイプのシャフトが合いますね。今は40グラム台のSフレックスを使用されていますが、重量を1段階上げて、フレックスを下げることで、よりタイミングが取りやすくなるはずです。ただ、飛距離を伸ばしたいという要望がありますので、ヘッドスピードが出るように重さは40グラム台にして、フレックスをSRに下げた『VANQUISH™』を試してみましょう」
安達さんが、『VANQUISH™』の装着されたドライバーを打つと、キャリーが167ヤード、トータル181ヤードという飛距離でした。マイクラブよりも高さが出て、キャリーが伸びるという結果になりました。
安達「自分が想像したよりもハードなスペックが推奨されたことがちょっと嬉しかったです。その結果を踏まえて、市川さんが選んでくれたシャフトはボールが上がりやすかったですし、キャリーも伸びてくれました。シャフトについて質問しながら試打をできたので、シャフトの重さや硬さ、特性で振り心地や弾道がどう変わるか知ることができましたし、これからゴルフを続けていく上で、新しい選択肢が増えた感じです」
市川さんは『VANQUISH™』の“4SR”を使用することで、弾道の高さが最適化されたことがポイントだと話します。
市川「飛距離を伸ばすと言ってもさまざまな考え方があります。重くしっかりしたシャフトに替えることで弾道を低く抑えれば計測上、ランが増えてトータル飛距離が伸びますが、アップダウンのあるコースでは飛距離にバラつきが出やすくなります。女性ゴルファーの場合、レディスティからプレーされることも多いと思いますが、打ち上げのホールなどはすぐ目の前に上り傾斜があるケースもあり、安定して飛ばすには高さを出すことが重要になります。安達さんも打ち出し高さをしっかり付けることでキャリーが伸びましたので、コースではより一層飛距離の変化が感じられるはずです」
シャフトは、ゴルファーとクラブヘッドをつなぐ重要なパーツですから、スイングの結果を大きく左右します。今回フィッティングを受けた2人のように理想的なモデルやスペックが見つかれば、間違いなくゴルフが楽になりますし、スコアアップもできるはずです。もし、ショットに悩みを抱えているなら、一度三菱ケミカルのフィッティングを受けてみましょう。自分に合うシャフトがどんなものか知れると、ゴルフそのものが変わりますよ。
取材・文/田辺直喜 撮影協力/スイング碑文谷