人気クラブメーカーの女性スタッフが本音トーク!フィッティングこそスコアメイクの近道です!

そもそもゴルフは、道具を使ってスコアを競い合うスポーツ。その道具=クラブが自分に合っていなければ、スコアを縮めるどころかスイングにまで影響を及ぼす危険性だってあるんです。“なんとなく”のクラブ選び、そろそろ卒業しませんか?

◆女性ゴルファーとフィッティングを真剣に考えます!

ONOFF…グローブライド 冨張里南さん

10歳からゴルフを始め、小中高とジュニアの大会に多数出場。アメリカの大学に進学後もゴルフを続け、卒業後に帰国。新卒でグローブライドに入社後は、販売店中心の営業を経験し企画に異動。入社5年目の現在は、主にレディスクラブを開発陣と一緒に企画。

PING…ピンゴルフジャパン 山崎瑠璃子さん

大学卒業後、一般企業に勤めるもゴルフに出合ってドハマり。ゴルフのことしか考えられない! と、2012年にゴルフ業界へ転職。その後、PING独自のフィッティングに興味を持ち、クラブフィッターとしてピンゴルフジャパンに入社。現在は武蔵浦和店に常駐勤務。

XXIO…ダンロップスポーツ マーケティング石坂翔子さん

学生時代はゴルフ部に所属。新卒でダンロップに入社し、現在6年目。販促宣伝部を経て、現在の部署へ。2022年にはJLPGAティーチングプロA級資格を取得。月3回ほどは、ダンロップクラブハウス新宿店にクラブドクターとして出勤も。

◆クラブセッティングから透けて見えるのは“愛”

人気クラブメーカー女性スタッフによるスペシャルトークをお届け!

編集部 みなさんは普段、試打イベントなどで女性アマチュアゴルファーを見かけると、まずどこに目がいきますか?

山崎 私はヘッドとシャフトの組み合わせですね。いいスペックだな〜なんて、ほれぼれしたり、その逆もまた然りですが。

石坂 私はスイングを見ちゃいます。とくにテークバックと切り返しですね。切り返しのタイミングとクラブに違和感があると、“そのスペック、合ってるのかな?〟なんて心配になってしまう(笑)。やはり、合っていない重さだと、クラブを下ろしてくるときの切り返しがスムーズじゃないので、見るとすぐわかるんです。

冨張 私はドライバーからアイアン、パターまでのクラブスペックを一通り。ゴルフは14本を使うスポーツなので、セッティングの“流れ〟が大事だと思うんです。でも、ドライバーは最新モデルなのに、フェアウェイウッド以下になると、10年以上前のモデルを使ってる人も多くて、すごくもったいない! とモヤモヤしたり。

山崎 わかります。クラブセッティングから透けて見えるのって、その人のクラブへのこだわり。つまり愛が見えますよね。

石坂 本当にそう!

冨張 ここ数年、若い世代でゴルフを始める人がまた増えましたが、見ているとお金を使うところって、ウェアやバッグ、アクセサリーが中心でクラブは二の次、三の次なんですよね。もちろん、それは悪いことではないですし、ゴルフファッションを楽しみたいという気持ちもわかる。でもやっぱりゴルフの醍醐味って、ボールが真っすぐ飛んで、飛距離が伸びて、ベストを更新するっていう、そこだと思うんです。だから、もっとクラブにも目を向けてほしい!

女性のクラブへの投資はドライバーに集中!

編集部 ちなみに、女性ゴルファーがクラブに求めているものって何だと感じていますか?

山崎 圧倒的に飛距離ですね。「思っていたより伸びない」と悩んでいる方は多くて、フィッティングに来られる方は「ドライバーはあとプラス10ヤードは欲しい」とみなさん声を揃えます。

冨張 そうそう。だからセッティングを覗いても、ドライバーだけは最新モデル、という人が多いんだと思います。

石坂 フルセット新調する、というのはなかなかコストがかかりますからね。どれかに絞って投資するとなったら、やっぱりドライバーになってしまう気持ちは、わからなくはないですから。

“女性=Lシャフト”はただの思い込み!

編集部 では、本題です。「飛距離アップのためにドライバーを買い替えたい!」と思ったら、まずすべきことは?

全員 フィッティング!

石坂 揃いましたね(笑)。ダンロップのフィッティングには、幅広い年齢層の方が来ますが、若い世代にももっと気軽に来てほしいです。

冨張 わかります。運動神経に自信があったり、学生時代にスポーツ経験のある人は元々打ててしまうんですよね、若い世代はとくに。なのに、レディスクラブ=Lシャフトだと思い込んでいる人も多くて…。

山崎 クラブって無数の選択肢があるんです! って声を大にして言いたくなります(笑)。

石坂 本当にそう。

編集部 “レディスクラブ=Lシャフトは思い込み〟、という話がありましたが、女性はアンダースペックの人が多い?

石坂 リシャフトしたクラブを持参される人は、全体を見ればまだまだ少ないので、アンダースペックの方が多い印象です。

山崎 ただ、大きく合ってない、ということは少ないですよね。ある部分では合っているけど、ある部分ではアンダースペックだったり、逆にオーバースペックだったり…。微妙にアンバランスな人が目立つ気がします。

冨張 そもそも、同じLシャフトでもメーカーによって、全然重量が違うんです。例えばうちのオノフレディは260g台ですが、外資系メーカーさんの中には280g以上のものもある。20gの差って、すごく大きい。それなのに「Lシャフト=女性用」とひとくくりにしてしまうのは、もったいないですよね(苦笑)。

編集部 確かに20gという具体的な数字を聞くと、そんなに違いがあるんだ! と驚きますね。

◆おじさんゴルファーが女性のクラブ選びを惑わせている!?

編集部 でも一方で、ゴルフ経験の長い人や競技志向が強い女性を取材すると、難しいクラブを使いすぎているのでは? と思うこともあるんです。

石坂 ある程度しっかり振れて、ボール初速が出ていれば、それはそれでいいと思います。自信を持って振れるクラブであることも大事なので。むしろ問題なのはフィッティングをせずに、よく一緒にラウンドするパートナーや会社の上司に「メンズクラブの方が合ってるよ」なんて軽いノリで言われて、それを鵜呑みにしてしまった人。そっちの方がまずいです。

冨張 おっしゃる通り! 体格もパワーも異なる男性のフィーリングに〝私に合うクラブ選び〟を全部委ねるなんて、絶対にやめてください(笑)。

編集部 “あるある〟すぎて、耳が痛い人も多いのでは…(苦笑)。クラブ選びの難しいところは、“かわいい〟や“好き〟といったフィーリングだけで選べないところですよね。数字やテクノロジーの話まで出されると、“もういいや〟となってしまいがち。

山崎 でも、“好き〟というフィーリングは、フィッティングでも重要視する部分なんですよ。数字が苦手なら、その部分は私たちフィッターが見ますから大丈夫。相談者のフィーリングと数字をどうマッチングしていくか、それがフィッティングですから。

編集部 そうなんですか!? それだったら、行ってみたいと思う人は多いかもしれない。

◆ミスショットの連続に悩んでいるなら相談に

編集部 では、そのフィッティングはどういうタイミングで行くのがベターですか?

冨張 まずは、現状で悩みがある場合。例えば、ボールがいつも右に出ているなら、それはクラブが合っていない可能性が高いと思いますね。赤信号かな。

石坂 合っていなくてもナイスショットが出ることって、あると思うんです。でもナイスショットよりミスショットの回数の方が多いのであれば、相談してみていいと思います。

山崎 「低い球しか出ない」というのもひとつの目安。転がっているように見えるけど、距離が出てないっていうケースはクラブを見直すことで解決できる可能性もあります。

編集部 フィッティングって、クラブを新調するとき以外でも行っていいんですか?

冨張 もちろん! 「クラブを一新したい」、「ドライバーを買い替えたい」など、購入が前提になっていなくたっていいんです。

山崎 いつものクラブに少し違和感を覚えたくらいで来てもらって全然いい。ただの気のせいであれば、ちゃんとその場で「大丈夫、合ってますよ」と自信を持ってお伝えしますから。微調整が必要であれば、サポートしますし。〝何が何でもクラブを買って!〟 なんて、押し売りみたいなことは絶対しないので安心してください。

石坂 お手持ちのクラブを微調整することで、違和感が解消できるなら、それが一番ですしね。

山崎 そうそう。不安を払拭して、安心してラウンドに臨んでもらえたら、それがベスト。合わないクラブを使い続ける方がデメリットだと知ってほしいです。

◆ミスショットの連続に悩んでいるなら相談に

冨張 “ミスショットは自分のスイングが悪いせいだ〟って、あまり思わないでほしいです。たとえば、初心者時代を経て上達していくとヘッドスピードが上がってきて、いい球が出てくる。でも“最近、左に出るようになったから右を向いて構えて、スイングを緩めてみよう〟…なんて、絶対にしないでください。

編集部 どうしてですか?

冨張 球が左に出るのはボールがつかまっている証拠。クラブを替えるだけで、むしろ飛距離は伸びる可能性を秘めています。

石坂 シャフトに関しても「上達したからA、その次はR」って決めつけないでください。上達するほど硬くするのが正解、というわけではないので。いい感じだったのに、シャフトを替えた途端にタイミングが取れなくなって、ボールがばらつくようになるっていうことは、全然あります。

冨張 しなり方も先調子、中調子、元調子とあって、種類によっても変わります。

編集部 では、合う、合わない、を左右するのはどこ?

冨張 しなり方と重量、そのバランスですね。重量はスイングスピードによって目安はありますけど、あくまで目安。だから、フィッティングに来てください(笑)。

石坂 かかりつけドクター、それくらいの感覚でフィッターを頼ってほしいですね。

山崎 まずはドライバーからでも、今の自分の状態を把握することで、得られるものがきっとあると思いますよ。

編集部 本当にそうですね。今日はありがとうございました!

2024年Regina春号より転載

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