アイアンよりもやさしく飛距離が出て、フェアウェイウッドよりも振り抜きやすい。ユーティリティは、女性ゴルファーにとってコースで大きな武器となるクラブです。中でも、ヤマハの『inpres ドライブスター for レディース UT』とキャスコの『UFO AIR UT』は、高いボールでキャリーが伸びて、長い距離でもグリーンオンを狙える超おすすめなモデルですよ。
ユーティリティの追加で長い距離のショットが劇的に楽になる
女性ゴルファーにとって、スコアアップするために大きな壁となるのが長い距離を打つクラブです。ロフトの立ったアイアンは球が上がらずキャリーが伸びませんし、かと言ってフェアウェイウッドはシャフトが長い分、振りにくさが出てきます。そこでおすすめしたいのが、アイアンとフェアウェイウッドの中間の形状、スペックに調整された「ユーティリティ」です。
Victoria Golf 御茶ノ水店のゴルフクラブアドバイザー阿部利成さんは、「女性ゴルファーがスコアアップを目指す上で、ユーティリティにはメリットがいっぱいある」と話します。
「ティショットをミスしてセカンドで距離が残ったり、長いパー3に遭遇したとき、どんなクラブでショットを打ちますか? 女性ゴルファーの場合、100〜110ヤードほどであればアイアンでグリーンを狙うことも可能ですが、それ以上となると使うクラブが難しくなってきます。ロフトの立ったアイアンは打ちこなすのが難しく、パワーがないと高いボールは打てません。技術のある女子プロであっても5番や6番を抜く選手が増えているのは、それだけロングアイアンが難しく、距離や方向が不安定になるためです。一方で、フェアウェイウッドになるとシャフトが長い分、振り抜きにくくなります。そんなショットの悩みを解決してくれるのが、2つのクラブの中間の形状、スペックに調整されたユーティリティです。アイアンよりも長い分、飛距離を稼ぎやすく、ウッドよりも短い分、振りやすさがあります。ヘッド形状的にラフでの抜けやすさも備わっていて、非常に使い勝手の良いクラブなのです」(阿部さん)
Victoria Golf御茶ノ水店の阿部利成さん。最新ギアの性能に精通するゴルフクラブアドバイザーで、女性ゴルファーの接客経験も豊富です
ユーティリティのヘッドは小ぶりでも、最新テクノロジーでフェースの反発力はフェアウェイウッドと遜色ないレベルです
ラフなど、悪いライでも抜けるようにソール設計が工夫されていることも、ユーティリティの特徴です
ユーティリティを選ぶ時は番手ではなくロフト角をチェックしよう
絶妙なヘッドサイズ、スペックで使い勝手抜群なユーティリティですが、セッティングに組み込む時は番手選びに注意が必要です。
「例えば7番アイアンまで入っているとして、その上だから“6U”といった具合に番手の表記で選ぶのは危険です。メーカーやシリーズによって番手ごとのロフト設計が変わる場合があるからです。まずは自分が使っている7番アイアンのロフト角をチェックし、そこから3度ほどロフトの少ないものを選ぶと良いでしょう」(阿部さん)
一方で、2本のユーティリティを追加する場合は、あえて7番アイアンと同じロフト角のモデルを選ぶのもアリと阿部さん。
「長い距離のショットを攻略するためには、ユーティリティを2本投入するのもアリです。その際、3度ピッチで2本追加するのが基本ですが、弾道が低いタイプの方の場合は、あえて7番アイアンと同じロフトのものを追加してみると良いでしょう。同じロフトでも、ヘッド構造やシャフト長が違う分、しっかり飛距離差が出てくれます。ゴルフのクラブはロフトが立つだけ、ボールをつかまえにくくなり、打ちこなすのが難しくなりますので、自分が打ちやすいロフトのクラブを増やすことで、ショットが楽になるはずです」(阿部さん)
写真左はU6の表記でロフト角は24度、写真右は55の表記でロフト角22度となっています。番手ごとのロフトはモデルによって大きく変わるので注意しましょう
【おすすめモデル1】ヤマハ『inpres ドライブスター for レディス UT』
ここからは阿部さんが厳選してくれたユーティリティのおすすめモデルを紹介していきます。1つ目はヤマハの新モデル『inpres ドライブスター for レディス UT』です。
「8軸カーボンフェース」で話題の『inpres ドライブスター』シリーズにラインナップされた最新ユーティリティです
「大きな特徴のひとつとして、カーボンクラウンが採用されていることが挙げられます。ヘッドの上部が軽くなることで、ソールに重さを集中させることができますので、いわゆる低・深重心化が可能になります。結果、ボールを高く打ち出しやすくなっています。そして、最新モデルではミスヒットに強いフェースが採用されたことも大きなトピックです。アマチュアゴルファーの打点はブレやすく、飛距離をロスしたり、方向のブレることが少なくありません。つまり、薄い当たりが大きくなりがちなのです。そこをケアするためにフェース下部の肉厚を極薄に仕上げて、どこで打ってもボールを弾くように設計されています。いわば、芯じゃなくてもたわむフェースなので、やさしく距離を出していくことができます」(阿部さん)
ヤマハの「inpres」ブランドは、アマチュアゴルファーがやさしく飛ばせる性能を追求して、開発されているシリーズです。最新の『inpres ドライブスター for レディス UT』は、寛容性の高さをしっかり持ちながら、これまで以上の圧倒的な飛距離性能を実現しています。また、レディスモデルはシャフト重量やヘッドバランス、グリップの太さなど、女性ゴルファーが振りやすいように細かくチューニングされています。
「飛びにこだわって開発されたユーティリティですので、長い距離のショットに悩む女性ゴルファーにとって大きな武器となることは間違いありません。シャフトフレックス(硬さ)としてはAとLが用意されていますが、LはAよりも0.75インチ短い設定になっています。長いクラブに苦手意識のある人は、Lを選んでおくと気持ち良く振り切れて、楽に飛距離を稼ぐことができるはずです」(阿部さん)
フェース面が大きく見えて、構えた時に安心感のある顔であることも特徴的です
U4(21度)、U5(24度)、U6(27度)、U7(30度)の4つの番手が用意されています
【おすすめモデル2】キャスコ『UFO AIR UT レディス by POWERTORNADE』
2つ目のおすすめモデルは、キャスコの『UFO AIR UT レディス by POWERTORNADE』です。
合理的なヘッド設計で、いかにやさしくグリーンに止まる球が打てるかを追求したキャスコ『UFO AIR UT レディス by POWERTORNADE』
「非常に個性的なデザインのユーティリティですが、打ってみると他にはない圧倒的な打ちやすさ、やさしさを持ったクラブです。まずソール面には大きな段差が付けられています。ソールの接地面積を減らすことで、ラフなどでもスムーズに抜けてくれて、楽にボールを打つことができます。ヘッド後方に突き出すような“ウイング”も特徴的です。これは重心を深くするための形状で、高い打ち出しでグリーンに止まる球が打ちやすくなっています。フェースには「鍛造スーパーハイテン」という航空宇宙用の特殊な素材を使っていて、圧倒的な反発力で飛距離も出てくれます」(阿部さん)
さまざまな特徴を持った『UFO AIR UT レディス by POWERTORNADE』ですが、最大の特徴と言えるのは、9つもの番手が用意されていることです。
「16度の33から46度のAAと番手が豊富に揃っていて、アイアンを全て抜いて置き換えることも可能です。お助けクラブとして1、2本入れるのもアリですし、セットとして使用することもできますので、活用の幅が非常に広くなっています。ぜひ、自分に合った組み合わせを見つけてほしいですね」(阿部さん)
ヘッド後方に伸びた“ウイング”があることで、ボールを上げやすく、つかまりも良くなっています
ラインナップは圧巻の9番手。苦手な番手を置き換えることでショットが劇的に楽になります
話を聞きに行ったのは「Victoria Golf御茶ノ水店」
1階から5階まである大型店舗で、地域No.1の品揃えを誇ります。最新ギアに精通する「ゴルフクラブアドバイザー」に話を聞きながら、自分に合ったクラブ選びを楽しむことができます。
撮影/近澤幸司 エディター/田辺直喜