女性ゴルファーがスコアを大きく縮めたいなら、アプローチとパットに磨きをかけるべき。ダブルボギーをボギーに、ボギーをパーにできれば、100の壁はもちろん、90の壁だって突破できる可能性が出てきます。
そこで、ショートゲームの上手さには定評がある村田理沙プロに、状況に応じた打ち方を教えてもらいましょう。こんなときはこうやって打てばいいと分かるだけで、アプローチやパットを成功できる確率は一気に上がります。
第1回はグリーンエッジに近いところからピンに向かって打つアプローチがテーマです。
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◆必要以上にテークバックを大きくしないことが成功の秘訣
グリーン手前の花道からのアプローチで、ボールからグリーンエッジまでが2ヤード、エッジからピンまでが6ヤードという状況です。私はアプローチをする際にまず考えるのが、ボールを転がせるかどうかです。なぜなら、ボールを高く上げたり、スピンをかける打ち方よりも簡単だからです。それだけアプローチを失敗する確率も低くなります。
この場合はライがいいので当然転がすことを考えます。使用クラブは60度のウェッジ。皆さんは自分が持っている最もロフトの大きなクラブを選択しましょう。
打ち方ですが、クラブをグリップエンドから指3本分ほど余らせるように握ったら、ボールを右足カカトの延長線上に置きます。両手は左足太モモ内側の前にセットするので、ハンドファーストの形になります。その結果、ロフトが立った状態になり、ボールを低く打ち出すことができます。
テークバックでは肩を回すことでクラブヘッドを低い位置に上げたら、今度は肩を左に回してヘッドを下ろします。その際、鋭角に下ろそうとせず、緩やかな角度で下ろしてきましょう。インパクト後はそのまま肩を左に回しますが、ヘッドをできるだけ低く真っすぐ出すイメージで振り抜きます。
ボールの落としどころですが、エッジからピンまでの距離に対して3分の1地点になります。この場合、エッジからピンまで6ヤードなので、エッジから2ヤード先にボールを落とします。グリーン面が上っているときや転がるスピードが遅いときはボールの落としどころを少し奥に設定し、下っているときや転がるスピードが速いときは少し手前に設定します。“少し”の部分は、傾斜の度合によって、自分なりに微調整しましょう。
このアプローチを行う上での注意点は、テークバックを大きく取りすぎないことです。テークバックが大きいと、スイングの途中でピンをオーバーすると判断し、インパクトで力を緩めてしまいます。その結果、正しい位置にヘッドが戻らず、トップやダフリといったミスが出ます。さらに、フェースの向きが変わり、狙ったところにボールを打ち出すことができません。自分の中でテークバックの位置を決めたら、それ以上上げないように心がけましょう。
ボールの位置は右足カカトの延長線上
両手の位置を左足太モモ内側の前にセットし、ハンドファーストに構えます
ヘッドを低い位置に上げたら、インパクト後は目標に向って低く長く出すイメージ
クラブは短く持ちましょう
距離に合わせたテークバックを心がけましょう。必要以上に大きく上げると、インパクトが緩む原因となります
ボールの落としどころはエッジからピンまでの距離に対して3分の1地点が基本。上り傾斜、下り傾斜、グリーンのスピードによって微調整しましょう
◆ピンが遠くにあるときはロフトの小さいクラブを使う
先ほどと同じ花道にあるライですが、ボールからエッジまでが3ヤード、エッジからピンまでが12ヤードある状況です。この場合、考え方と打ち方は変わりません。最も簡単なアプローチである転がしを選択し、ボールを右足カカトの延長線上に置いたら、ハンドファーストに構え、肩の回転でヘッドを動かします。ただし、転がす距離が長くなった分、クラブをサンドウェッジからアプローチウェッジに変更します。ロフトが立った分、同じ振り幅でもランが伸びるからです。
ボールの落としどころはエッジからピンまでの距離に対して4分の1地点になります。この場合、12ヤードなのでエッジから3ヤード先にボールを落としましょう。
ピンが遠くにあると、つい必要以上にテークバックを大きくしがちですが、ロフトが小さくなったクラブに考えていることを認識しましょう。サンドウェッジと同じ振り幅でも十分ランが出ます。また、ピンを見すぎてもテークバックが大きくなります。ボールの落としどころに意識を集中し、そこにボールを落とすことだけを考えてスイングすると、距離感が合ってきます。
ボールの落としどころはエッジからピンまでの距離に対して4分の1地点が基本
アプローチウェッジはサンドウェッジよりもロフトがあるため、同じ振り幅でもランが多めに出ることを頭にインプットしておきましょう
◆教えてくれたのは…
村田理沙 むらた・りさ/1995年6月22日生まれ、東京都出身。ゼビオホールディングス所属。
取材・文/山西英希 撮影/山代厚男 取材協力/イーグルポイントゴルフクラブ