「狙ったポイントにきっちりとボールを落としたい」というのが、女性ゴルファーの悲願! そしてアイアンショットにおける最大のテーマですが、それを実践しているのが稲見萌寧プロです。昨年はパーオン率第1位に輝いただけでなく、歴代最高の78.2079%をマーク。今季は史上初の80%超えを狙う“令和のアイアンマスター”。
なぜそこまで正確なアイアンショットを放てるのでしょうか。本人によれば、フェースの開閉をできるだけ抑えるのがポイントだといいます。今回はそのコツを聞いてみました!
◆どんなときもピンデッドが基本
私のパーオン率が高いことに対して、グリーンの真ん中を狙っているからだろうと思う人がいるかもしれませんが、ピンが左右に振られていてもデッドに狙っていきます。もちろん、そのときの順位やスコア、調子によって真ん中を狙うときもありますが、基本はピンデッドです。なぜなら、ピンを狙うことで目標がより明確になるからです。
ただし、縦の距離感に関しては、安全策を取るときがあります。例えば、グリーン手前にバンカーや池があり、中途半端な距離が残った場合です。ギリギリのクラブを持つと、少しでもミスをしたときにバンカーや池につかまります。それを防ぐために、大きめのクラブでコントロールショットを行います。この場合、フルショットよりも飛距離が落ちるので、ピンよりも奥を狙います。
また、私の持ち球はフェードボールですが、ピンが左に立っているときは、あえてグリーンの左サイドからボールを回します。右からドローボールで攻める方法もありますが、自分の得意球を極めたほうがショットの安定性は増すと思うからです。今季はパーオン率80%超えを目指しますが、昨年はカラーに外すことが多かったので、そのぶんをグリーンに乗せることができれば、難しい数字ではないと考えています。
【ポイント1】手首の角度を変えない
稲見プロのスイングを見ると、アドレスからトップ、トップからインパクトまで手首の角度をほとんど変えていません。その結果、正確な位置にヘッドが戻るため、ミート率が高くなります
【ポイント2】フェースを返さない
稲見プロがアイアンショットの高い方向性を生み出す肝がコレ。狙ったところへボールを打ち出すには、インパクトゾーンでフェースが目標を向いている時間を長くしたい。そのためには、フェースを返さないのが一番。フェースの開閉が大きいとインパクトでフェースが右や左を向くことが多くなるからです。
◆教えてくれたのは…
稲見萌寧 いなみ・もね/99年生まれ、東京都出身。ツアー1勝。昨年のセンチュリー21レディスゴルフトーナメントでツアー初優勝を飾る。最終的に賞金ランキング13位に入り、初シードを獲得。正確無比なアイアンショットはプロの間でも評価が高い。今季は出場する全試合で優勝を目指す
ALBAドライバー・アイアン・アプローチぜんぶ女子プロに教わろう! 2021年版掲載 編集/島村涼 撮影/相田克己 岩本芳弘 上山敬太 佐々木啓 鈴木祥 近澤幸司 福田文平 村上航 米山聡明 Getty Images