現在ツアープロとして活躍中の林菜乃子プロ。今季はトップテン入りが5回と初シード獲得に向け、成長著しい姿を披露しています。身長154センチと小柄な林プロですが、パーセーブ率は86・6%と高い数字を残しています。堅実なゴルフスタイルはまさにアベレージゴルファーのお手本といってもいいでしょう。そこで、スコアメイクに必要な12個のエッセンスを林プロに紹介してもらいます。
第7回はラフからのクラブ選択についてです。
お悩みポイント→パー5の2打目などまだ距離が残っているときに、ラフから打つ場合のクラブ選択を知りたい
お助けポイント→ボールと同じ高さにソールできるかどうかが判断基準になります
パー5や距離の長いパー4でティショットをラフに入れた場合、セカンドショットのクラブ選択に迷うことってありますよね。フェアウェイからなら文句なしに4番ウッドや5番ウッドで打ちますが、ラフからだと途端に難易度が上がるので、フェアウェイウッドよりもアイアンを選択する人もいるでしょう。でも、ちょっと待って下さい! その選択って本当に正しいんですか?
フェアウェイウッドにはある特徴があります。それはソールが広いことです。ボールの手前にクラブヘッドを下ろしても、そのまま芝の上をソールが滑ってくれるので、意外にラフからでもクラブフェースの芯でボールをとらえることができるんですよ。
ただし、これには条件があります。ボールが芝の中に沈んでいないこと。目安としては、ソールしたときに、ボールの最下点と同じか、もしくはそれよりも低い位置にソールできるような状況です。この場合は、迷うことなく4、5番ウッドで打ちましょう。
仮にボールが芝に沈んでいて、ヘッドをソールしても、ソールがボールの最下点よりも高い位置にある場合は、4、5番ウッドだとダフリやチョロといったミスが出てしまうので持たないほうがいいでしょう。そうかといって、6、7番のミドルアイアンを選択するのもお勧めしません。
アイアンの場合、ソールが狭いので芝の上を滑りにくいからです。しかも、フェース面に高さがあるので、芝の抵抗を受けやすくなります。その結果、思ったよりも距離が出ず、4番ウッドでのミスショットと大して変わらなかったりします。
そこでお勧めなのが、7番もしくは9番ウッドです。この場合、ソールが広いので芝の上を滑りますし、フェースも薄いので芝の抵抗もアイアンより小さくなります。グリーンまで届かなくても、ある程度の距離を稼いでくれるので、3打目勝負に臨めます。ラフに沈んだ=アイアンと考える前に、7、9番ウッドを選択してみましょう。
6番アイアンのほうが7番ウッドよりもフェースに高さがある分、芝の抵抗を受けやすくなります。ラフに沈んでいるときは芝の抵抗が小さい7番ウッドのほうがお勧めです
ボールがラフにあるときは、ソールしたときに、ソール面がボールの最下点よりも下にくるかどうかで判断します。ボールの最下点と同じか下なら4、5番ウッド、ボールの最下点よりも上なら7、9番ウッドを選択しましょう
お悩みポイント→ラフにボールが沈んだときの打ち方が分からない
お助けポイント→クラブを短く持って、フィニッシュまで振り抜きましょう
それでは具体的に、ラフに沈んだボールを7、9番ウッドで打つにはどうしたらいいのかを説明しましょう。まず、クラブはいつもより短めに握ります。最低でも1インチ(約3センチ)は短く持ってください。また、6、7番アイアンよりも芝の抵抗が小さいとはいえ、芝に浮いている時よりは大きく感じるはずです。そのため、インパクトでフェースの向きが変わることもあるので、グリップは通常よりもしっかり目を心がけます。
手だけでクラブを上げようとせず、肩と腕でできる三角形を崩さずに体の回転でクラブを上げましょう。大振りは禁物ですが、スイングスピードは緩めないこと。フィニッシュまで一気に振り抜きましょう。
ラフに沈んでいるからといって、ボールの上からヘッドを打ち込む必要はありません。ソールを滑らせるつもりで、ボールの横から払うように振り抜きます。頭の位置や高さが変わらないように、前傾姿勢をキープすることも大切です。飛距離を稼ごうとして力むのは禁物です。あくまでも3打目を打ちやすいところに出す意識を忘れないようにしましょう。
いつもより1インチ(約3センチ)ほどクラブを短く持ち、しっかり目に握りましょう
肩と腕でできる三角形を崩さずに体の回転でクラブを上げます
コンパクトなトップを心がけますが、インパクトで芝の抵抗に負けないようにダウンスイングではスイングスピードを緩めないこと。ボールの横から払うイメージで打ちます
フィニッシュまでしっかりと振り抜きましょう
撮影/村上悦子 取材・文/山西英希 取材協力/太平洋クラブ御殿場コース、チームセリザワゴルフアカデミー
◆教えてくれたのは…
林菜乃子プロ はやし なのこ/1997年生まれ。神奈川県出身。ユピテル所属。現在ツアープロとして活躍中。今季はトップテン入りが5回と初シード獲得に向け、成長著しい姿を披露。身長154センチと小柄だが、パーセーブ率は87・1%と高い数字を残す。