ツアーでもトップクラスの飛距離を誇る渡邉彩香プロですが、最近はショートゲームの精度も上がっています。そこで、アベレージゴルファーでも対応できる状況別の寄せテクを紹介してもらいましょう。
第9回はバンカーショットの基本について説明します。
素朴な疑問1:バンカーからボールを上手く出せない理由を知りたいです!
私はこうしてます!1:極端なアウトサイドインを実践しましょう!
バンカーショットを苦手とする女性ゴルファーは多いと思います。手前のアゴを直撃したとか、アゴを越えるだけの高さが出なかったという話をよく聞くからです。ミスが続くとどうしても苦手意識が生まれますし、それが原因でよけいに脱出できなくなることもあるので、まずは、ピンに寄せることよりも、確実にバンカーから脱出してグリーンに乗せることを第一に考えましょう。
私がお勧めしたいのは、とにかくアウトサイドインのスイング軌道でサンドウェッジを振ることです。アウトサイドインのスイング軌道とは、ボールと目標を結んだライン(飛球線)よりも外側から内側に向けてクラブを振ることを言います。通常のショットでこのスイングを行うと、カット打ちになり、スライスが出ますが、バンカーショットでは多くのメリットが生まれます。
一つはクラブヘッドがボールの下を潜りやすいので、砂の抵抗が小さくなることです。逆にいえば、インサイドからクラブを下ろしてくると、砂の抵抗が大きくなります。距離や高さが出ない人はインサイドからクラブを下ろしていることが多いですね。
また、アウトサイドからクラブを下ろしたほうが、ボールの上からヘッドを下ろせるので、極端にダフることもなくなります。
アウトサイドインの軌道で振るためにも、バックスイングでは飛球線よりも外側にクラブを上げましょう。ただ、そうアドバイスしても、飛球線に沿って上げる人が多いので、極端にアウトサイドにクラブを上げてみることです。あとはそこから思い切って体の左サイドに向かってクラブを振り抜くだけです。最初のうちは極端なアウトサイドインのスイングを心がけてください。
アウトサイドインのスイング軌道でクラブを振り抜くと、ボールの下にヘッドが潜り、砂の爆発を利用してボールを脱出できます
素朴な疑問2:アウトサイドにクラブを上げるにはどうしたらいいですか?
私はこうしてます!2:オープンスタンスに沿ってクラブを上げてみましょう!
アウトサイドにクラブを上げるには、アドレスでのスタンスの向きを利用するのがお勧めです。基本的に、バンカーショットでは左足を引いたオープンスタンスで構えます。バックスイングではそのスタンスに沿ってクラブを上げると、自動的にアウトサイドに上がったことになるからです。
ゴルフ場でバンカーショットの練習をする機会があれば、一度自分がどこにヘッドを上げているのかチェックしてみましょう。飛球線を砂の上に書き、ヘッドが腰の高さぐらいまで上がった段階でスイングを止めます。そのときにヘッドが飛球線よりも外側にあるかどうかを確認します。飛球線よりも最低30度はアウトサイドに上げてほしいですね。
本来ならバックスイングでは上体をしっかり捻転したいところですが、どうしてもアウトサイドに上がらない人は手だけでクラブを上げても構いません。体の回転よりもアウトサイドインのスイング軌道で振ることを優先しましょう。
また、アドレスで大切なのは、クラブフェースをしっかりと開いておくことです。リーディングエッジが時計の2時か2時半ぐらいを指すぐらいが理想です。それだけ開いても10ヤードぐらいなら飛びますし、むしろフェースを開いた分、ボールが高く上がるので、手前の土手が気にならなくなります。さらに、いくら大きく振ってもグリーンをオーバーすることはないので、両手が右肩の高さに来るぐらいまではクラブを上げましょう。
あとは、スタンスの向きに沿ってクラブを振り下ろすだけです。ボールのどれぐらい後ろにヘッドを下ろすとかを考えるよりも、ボールの下にヘッドを潜り込ませる意識を持つと、スムーズに振り抜くことができます。
アドレスでは左足を引いてオープンスタンスに構えましょう。フェースはしっかりと開きます
バックスイングではスタンスの向きに沿ってクラブを上げます
フェースを開いていればグリーンオーバーはないので、安心して大きく振りましょう
ボールの下にヘッドを潜り込ませることだけ考えたほうが、スムーズに振り抜けます
◆教えてくれたのは…渡邉彩香プロ
わたなべ・あやか/93年生まれ、静岡県出身。初優勝は14年。15年は飛距離を武器に年間2勝。その後、シード落ちを喫したが、2021年は見事シード復活を果たし、賞金ランキング14位で20-21シーズンをフィニッシュ
撮影/村上悦子 取材・文/山西英希 取材協力 凾南ゴルフ倶楽部