高校一年生でプロツアーに優勝するなど、アマチュア時代から注目されていましたが、その実力は、プロになってからも衰えることなく進化している勝みなみプロ。コロナ禍の中始めた筋トレで鍛え上げた強靭なカラダから放たれる、ビッグドライブが特徴です。
実際、ドライビングディスタンスは19年度の249.60ヤード(9位)から、254.31ヤード(2位)とランクアップ。身長157cmと決して大柄ではないのに飛ばせる理由は、柔軟性と体幹の強さにほかなりません。なかなかマネできるスイングではありませんが、参考になるポイントもあるので、ぜひ見てみましょう。
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アドレス
ひじを締めるようにアドレスしています。ひじが柔らかいからと思いますが、締めたままテークバックしていく動きも、注目してください。
テークバック
締めたひじをキープしたままテークバックしています。
カラダが硬い人はひじが曲がってしまうので、このカタチは難しいと思いますとはいえ、締めることを誰でもまねすべきと言えば違い、締めることによって肩に力が入ってしまっては危険です。
ですが、ひじが緩みすぎてもスイングがブレやすいので、軽く締めるくらいがいいでしょう。
コックは少なめ。腕やクラブをねじるような細かい動きは少なく、“体幹をねじる”というとてもシンプルな動き。シンプルと言っても、これは相当カラダが柔らかくないとできません。
トップ
腕に頼らず、カラダの捻転だけで完成されたトップ。背中が見え、顔も右を向くくらい、上半身が捻転しています。
切り返し
左ひざが正面を向いたまま、上半身が捻れています。アドレスからここまで、下半身はほとんど動かず、股下の三角形がキープされています。
ダウンスイング
切り返し後は、両ひざを使って地面に踏み込みます。クラブを振っているというより、腕をキープしたまま踏み込むというイメージです。
腕の三角形が胸の正面にあります。腕を使っていない証拠。再現性の高いインパクトへ導きます。腕が胸の正面からずれたりすると、振り遅れにもつながります。
インパクト
インパクト直後も胸の正面に三角形があることで、直進性の強いボールを打ったことが分かります。曲げたりせず、ストレートなボールを打ちたいタイプのフォローです。
フォロースルー
カラダの左も右も、うでも足も、全身の関節が遠心力によって伸ばされています
クラブの位置が高いところにあります。フォローでひじを引いてしまう人には、ぜひマネしてほしいカタチ。高いフィニッシュを目指すと、ひじの抜けを解消できるでしょう。
肩がしっかり回り切り、クラブヘッドは目標を指しています。
勝みなみプロ/Minami Katsu
1998年生まれ、鹿児島県出身。157cm。AB型。6歳でゴルフを始める。アマチュア時代から数々のタイトルを獲得。高校1年生の14年、「KKT杯バンテリンレディス」で、女子ツアー史上最年少優勝(15歳293日)を達成。17年プロテスト合格。2020-2021シーズンは「リゾートトラスト レディス」優勝と、「日本女子オープン」でメジャー初制覇。ツアー通算5勝。昨年度賞金ランク7位。クラブ/ダンロップ ウェア/チャンピオン 所属/明治安田生命 Instagram(@minami_katsu)
解説/伊藤祐子プロ
代官山の「K’s Island Golf Academy」インストラクター。豊富なスポーツの経験を生かした一人ひとりに寄り添うレッスンは、予約解禁日に即日満了するほど人気。とくに女性からの信頼が厚い。フォロワー5万人以上の Instagram【@yuko_ito630golf】でレッスン動画などを配信中。会員制サロン「YUKO Premium salon」や、YouTube動画も展開。
「ツアープロにティーチングプロがついているように、アマチュアにも同じ方向を見て寄り添い、目標に導いてくれる人が必要です。その存在になれれば幸せです」
取材・文/たかはしよし子 撮影/Getty Images、ALBA.Net