ここ2〜3年で、始める人がぐんぐん増加!プレーヤー人口が減り続けていたゴルフ界にとっては、うれしいニュースで間違いない、のだけれど…。初心者ゴルファーといざコースに出ると、「言いたい、教えたい。でも、言いづらい、教えづらい…」、そんな葛藤でもやもやするシーン、ありますよね。角を立てず、嫌われず、恐れられず、どう伝えるのがベストか。その道の“プロ”と考えます。
【1】人生初のラウンドデビューに付き添う際、どういう姿勢で臨むべき?
「まず最優先すべきは、ラウンドを楽しいと思ってもらうこと。ツライ、迷惑をかけたくない、という気持ちが膨らむと、そこでゴルフの扉がクローズしてしまいます。経験者は先回りして気遣いを」(吉本さん)
「経験の浅いプロのバッグを担ぐ際は、ラウンド中はゴルフの話をしないことで、緊張を解くようにしています。推し活、恋バナ、なんでもOK。全集中ゴルフでは疲れますから、会話でリラックスを」(伊能さん)
「コース到着後、クラブハウスでどんな手順を踏むのか。“わかるでしょ”と放置せず、寄り添ってあげることが大事。ラウンド中ではない場所での細かいフォローの積み重ねが安心感につながります」(近藤さん)
【2】素振り5回してからの、10秒間の地蔵タイム…。打つまでが長い!
「部活ではハーフ2時間を守ることが徹底され、遅れたら必ず注意されます。連帯責任なので、同組全員で時間を守るために、“2時間、超えるよー!”というこまめな声掛けで、”プレーファースト”を促します」(木村さん)
「ゴルフはリズムのスポーツ。長いルーティンがナイスショットにつながることは、ほぼありません(苦笑)。“私のイチ、ニ、サン、の掛け声と一緒に打とうね”と、スイングリズムを作ってあげるとテキメンですよ!」(伊能さん)
【3】OKパット、どのくらいの距離で出すのが妥当?
「たとえOKを出しても、満足感を得られなければ、ずっともやもやが残ります。実はカップインした際のあの音を聞くことは、満足感につながる大事な要素。コースでないと聞けない音だけに、数ホールに1回はカップインまで見守ってあげるのが効果的ですよ」(近藤さん)
「通常はワングリップがOKの目安ですが、初心者のうちは距離感を合わせるのが難しいと思うので、ワンクラブでOKと言ってあげたいですね。ただし、ファーストパットから“ワンクラブOK”を適用するのではなく、3パット目以降は、という条件付きでいかがでしょう」(吉本さん)
【4】バンカーにソールする、グリーン上でラインを踏むetc.明らかなルールマナー違反を目撃したら、どうすれば?
「部活では試合を想定してラウンドするので、すぐその場で注意します。グリーン上でのマナー、OB、池、ロストした際の処置など、頻度の高いシーンから順に教えると、覚えがいいです」(木村さん)
「ラウンドでは、未経験のことをゼロから学ぶ場。一度で覚えられる人は、そういません。同じマナー違反を何度か繰り返したとしても、言葉ではなく、“あちゃー”といったリアクションでNGであることを思い出させるのも効果的です」(近藤さん)
◆答えてくれたのはこの4人!
ゴルフインストラクター 吉本 舞さん…人気ツアープロコーチ、森守洋氏が主宰する「東京ゴルフスタジオ」(☎︎03-5314-1551)にて、レッスンを担当。ゴルファーひとりひとりの悩みに寄り添う、丁寧で分かりやすいレッスンが評判。Instagram(@maiyoshimoto_)
プロキャディ 伊能恵子さん…千葉県出身。2002年よりプロキャディとして男女ツアーで活躍。リンパセラピスト、フィジカルトレーナーとしての顔も持つ。現在はプロゴルファーの現役引退後のセカンドキャリアをサポートする活動を精力的に行っている。
メンタルコーチ、心理カウンセラー 近藤好己さん…3歳からゴルフを始め、15歳で米国に移住。UCLAに進学後は心理学を専攻。メンタルとフィジカルを組み合わせ、プロやアマチュアをサポートしている。主宰する「KIVUNE」では、パターフィッティングなどイベントも開催。
体育会系ゴルフ部所属 現役大学生 木村美霞さん…ゴルフ好きの父の影響で小さい頃からゴルフを始める。高校まではプロを目指すも、最後の試合で思うような結果が出せずに断念。現在は体育会ゴルフ部に所属し、卒業後はティーチングプロの資格取得を目指す予定。
Regina2023春号より転載 エディター/一寸木芳枝