ゴルフでのギブアップや宣言のタイミングって!ギブしたときのスコアはどうなるの?

ゴルフには、ホールを途中で放棄して次のホールに移ることができる「ギブアップ」という救済措置があるのをご存じですか? ゴルフ初心者にとって、コース外に打ち込んだり、砂の中から出られなかったりすることはよくありますよね。時には仲間から「落ち着いてギブアップしたら?」と突然おススメされても思い通りに進まないラウンドでは冷静にはなれるはずもなく。

せっかくのラウンド、窮地に追い込まれても焦らず楽しくプレーできるよう「ギブアップ」のルールについて説明します。

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◆叩きすぎで心も折れた。ゴルフでギブアップすることはできるの?

「このホール、終わる気がしない……」

あまりにもスコアを崩しすぎて発狂しそうになった経験はありませんか? プロでない限り一度切れてしまった集中力を、ホール内で立て直すのは至難の業です。同伴者や後続組を待たせてしまっていると余計にプレッシャーを感じ、さらなるミスを繰り返す悪循環が生じることも。まさに白旗を振って降参したい場面ですが、スコアを競うゴルフの公式ルールでは「ギブアップ」は存在しないのです。

とはいえ、初心者がラウンドで大叩きすることは珍しくないため、放っておけばスロープレーによって多くの人に迷惑をかけるケースも。このことから自他ともに気持ちよくプレーできるよう、独自で救済措置を定めているゴルフ場も少なくありません。ゴルフコンペなどでよく耳にする「ギブアップ」は、ゴルフ場やコンペが独自で定めているローカルルールだと覚えておきましょう。

厳しいゴルフの世界ですが「マッチプレー」でラウンドする場合、ルールとして「ギブアップ」の基準が定められています。「マッチプレー」ではトータルのスコアではなく、各ホールでの勝敗をカウントし18ホール合計の勝ち数を競います。よって、確実に負けが予想されるホールでは、棄権して気持ちをリセットすることが認められているのです。ただしマッチプレーにおいて「ギブアップ」は「コンシード」と呼ばれるので間違えないようにしてくださいね。

◆スギちゃんマコちゃんで覚えて!「ストロークプレー=ギブアップ」と「マッチプレー=コンシード」

大叩きをしてあきらめモードになっても、試合放棄をせずに救済措置があることは理解できました。しかし、「ギブアップ」と「コンシード」、どちらを使用するかに慣れるまで戸惑う方も多いでしょう。

ゴルフには、全ホールを回った時点での打数を競う「ストロークプレー」と、ホールごとに勝敗を決める「マッチプレー」の2種類の競技形式があります。「ストロークプレーではギブアップ」を、「マッチプレーではコンシード」を使います。

◆ギブアップを使いたいけど、どんなときに使えるの?

では実際にギブアップを使うためには、どのような点に注意する必要があるのでしょうか? あくまでもギブアップはローカルルールとなっていますので、ゴルフ場やコンペによって使える条件やスコア記入の仕方が異なります。一般的には「規定打数の3倍」とされていることが多いのですが、「規定打数の2倍」と定められている場合もあるため事前の確認は必須です。

またギブアップの基準を上回ったあとで宣言するのは、マナー違反だと言われています。OBやミスショットを連発してしまい、どう頑張ってもオーバーしそうな時は早めにギブアップすることでスロープレーの防止にもなるのです。もちろん必ずギブアップをしなければならないといった規定もないため、後続組との距離や同伴者への配慮をしたうえで上手に活用しましょう。

スコアカードに記入する場合は、ギブアップの基準となっている打数を記入してください。例えばパーの3倍がギブアップ規定となっている場合、パー4のホールでは12打、パー5では15打と記入します。規定に到達する前に宣言したからといって、少ないスコアを記入しないようにしてくださいね。

◆コンシードって聞き慣れないけど、実はOKパターと同じ意味?

「マッチプレー」も初心者から上級者まで、幅広いゴルファーが楽しんでいる一般的なプレー方式です。ルールを覚えておいて損はないでしょう。

「コンシード」は1対1で対戦相手とホールごとに戦うマッチプレーで使えるルールです。相手がそのホールで勝つことが明らかな場合、自分が負けを宣言することでコンシードが認められます。たとえば、相手がパーでホールアウトした後、自分がまだ3打目を打っていない場合は、コンシードを宣言してそのホールを終了できます。コンシードを宣言する際は相手の目を見てはっきりと声に出すことが重要です。相手にコンシードしたことが伝わらないと、無駄なストロークを余儀なくさせてしまい、相手への尊重を損ないかねません。お互いのプレーをスムーズに進めることも難しくなり、仲間としての信頼関係を壊してしまう可能性があるので『コンシードは明確に伝える』必要があることを覚えておきましょう。

さらに注意すべきは、コンシードは一度行ったら取り消せないこと。自分の勝ち目を考えながら慎重に判断する必要があります。コンシードを良好なコミュニケーションの一環と心得て、相手への敬意を忘れないフェアプレーが真のゴルファーへの分かれ道です。

ちなみにストロークプレーの場合は「コンシード」を宣言することはできませんが、似た意味で使用されるものとして「OKパット」が挙げられます。相手の技量であれば確実にホールアウトするであろうというときに、同伴者によって宣言されるものです。一般的にはワングリップ(20cm〜30㎝)以内のパットが目安となっており、相手への敬意を持って宣言します。ただし「ホールアウトするまで打ちたい」という人も多く、同伴者の気もちを聞いておくと良いでしょう。

ゴルフでの「ギブアップ」は、あくまでも救済措置やプレーの進行をスムーズにするためのもの。ギブアップは、打数を減らすことでスコアへの影響を最小限に抑えられますが、ホールの達成感が得られにくいというデメリットも。

一方、コンシードは相手の実力を認めて敬意を表することで、信頼関係を築くことができますが、自分の勝ち目を諦めることで、挽回のチャンスを失うデメリットがあります。これらをきちんと理解しておくと、絶体絶命の状況下でも多少はプレッシャーから解放されるかもしれません。

取材・文/夢書房

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