自然豊かなゴルフ場では、鹿やイノシシなどの動物に遭遇することはよくある話。池の水際で水を飲んでいたり、フェアウェイで草を食べていたり。見ているにはとてものんびりとしていて可愛いものですが、狙いを定めてショットするときに当たらないかとヒヤヒヤしますよね。思いがけず動物にボールが当たってしまった場合、ボールを持っていかれてしまった場合、正しい処置を知っていますか? 今回は動物にまつわるルールについてご紹介していきます。
【1】動物にボールが当たってしまった
ボールが当たってしまった動物にはおどろかせることになって申し訳ないですが、罰則はありません。当たってしまった1打を取り消して、再ストロークできます。これは同じ組で回るプレーヤーやキャディさん、キャディバッグやカートなどに当たってしまった場合も同じです。(規則11)
【2】ボールを動物や鳥が持って行ってしまった
これは動物よりも鳥(特にカラス)が持っていくケースが多いようです。この場合も罰則はありません。ただ、本当に動物や鳥が持って行ったことが確実だと分かっていることが必要です。この時の処置としては、元々あった場所にリプレース。ドロップしてプレー続行になります。(規則9.6)
もしも動物や鳥が持って行ったことが確実ではない場合には、「持って行ったのだろう」という憶測ではリプレースは適用されません。ボールが見つからなければ、「ストロークと距離の救済(規則18.2)」となり、ロストボールになります。
【3】動物のフンの上にボールがあるとき
フェアウェイにたくさんのフンが落ちていることもありますね。踏んだらイヤなものですが、ボールがフンの上にあったらどうしたらいいのでしょうか。
フンが邪魔でボールを打つことができない場合は「ルースインペディメント(規則15)」が適用されます。もしフンを取り除いているときにボールが動いてしまったら、元の場所にリプレースでOKです。罰はありません。(規則15.1b)
ルースインペディメントとはゴルフコースに存在する自然物のことをいいます。例えば、木の枝や枯れ葉、小石や虫の死骸など。注意したいのは「どこにもつながっていない障害物」という点です。つまり地面に根を張っている木や、めり込んで動かすことのできない石などは動かすことができないということになります。
ルースインペディメントにまつわるものの中で、これって本当? と目を疑ったものを紹介しておきましょう。バンカーで死んでいるカニの死骸は取り除くことができません。虫の死骸は取り除くことはできますが、ルースインペディメントにカニは含まれていないため、動かすと罰が科されることになるという、なんとも不可解なルールが存在しています(規則12.2b)。
また日本では見かけることはほとんどないかもしれませんが、アリ塚がボールを打つ際に邪魔になる時は、アリ塚を壊してもいいというルールになっているようです(規則16.1)。
【4】 動物の足跡
動物の足跡にボールが入ってしまった場合は、救済は受けられるのでしょか。この場合、救済を受けることができません。救済が受けられるのは修理地や一時的に溜まったカジュアルウォーター、そして動物の穴といった「異常なコース状態(規則16.1)」の場合です。
動物の穴というのは、穴掘り動物や鳥、爬虫類たちがコース上に作る掻き出した土や通り道のこと。例えばモグラが掘った穴にボールが落ちていた場合には救済が認められますが、足跡は含まれていません。足跡に入ってしまったボールは「地面の不整箇所」になるので、そのまま打つか救済を受ける場合には罰を受けることになります。
【5】危険な動物
当然のことですが、ボールの近くに毒ヘビや刺す蜂、熊などプレーヤーが危険にさらされる可能性があるときは、罰なしの救済を受けることが可能です(規則16.2)。
動物に対するゴルフルールがありますね。ゴルフ場で鹿を見かけると、真っ黒な瞳でこちらの様子を伺いながら草を食べる姿に癒されます。でもゴルフルールは動物に優しいのか、厳しいのか分からないものが多くありました。遭遇する機会は少ないかもしれませんが、ぜひ参考にしてみてください。
取材・文/加古浩子