ゴルフコンペなどに参加すると耳にする「6インチプレース」という言葉。ディボットにボールがはまって悩んでいると、同伴者から「6インチOK!」と声をかけてもらったけど、どうしたらよいのか困った…なんてゴルファーも少なくないでしょう。
6インチプレースとは、コンペなどを円滑に進行するために適用される救済措置であり、ローカルルールのひとつです。どんな場面で6インチプレースが適用できるのか、知っておくと同伴者にも迷惑をかけることなく、スムーズにラウンドをすることができるようになります。
6インチプレースについて詳しく理解していきましょう。

1. 6インチプレースとは?
2. 6インチは何センチ?どうやって測る?
3. 6インチプレースの適用条件と範囲
4. 6インチプレースをしてみよう!注意点はある?
5. 6インチプレースは賛否両論?!
6. 6インチプレースと6インチリプレース、ドロップの違い
7. まとめ
1. 6インチプレースとは?
「6インチプレース」とは、ゴルフの救済措置のひとつで、ボールが動かせる範囲のことを言います。この救済が受けられるのは、ボールが障害物やライ(地面の状態)が悪く打ちにくかった場合です。この場合は、ペナルティなしでボールを6インチ動かすことができます。
例えば、ボールに泥が付いたり、ディボットにはまっていてボールを打つことが難しい場合、ボールを6インチ打ちやすい場所に動かしてプレイしやすくすることが可能です。とは言え、ライが悪かったら必ず6インチプレースをして打たなくてはならないという訳ではありません。あくまでも、6インチプレースが適用できるというだけであって、利用するかどうかはプレーヤーの判断によります。
また、6インチプレースは公式のルールではありません。あくまでもこのルールはプライベートラウンドや、コンペなどで競技進行を円滑にするなどの目的で使用されるルールです。そのため、公式競技で6インチプレースをするとペナルティの対象となりますので注意しましょう。ただし例外的に、公式競技でも悪天候の時など、ゲーム進行に支障をきたす場合に採用されるケースもあります。
2. 6インチは何センチ?どうやって測る?
ところで6インチプレースの「6インチ」とは、何センチでしょうか?1インチが約2.54センチのため、2.54センチ×6で約15.24センチとなります。
ですが、プレー中に6インチ以内の移動がOKと言われても、15.24センチってどれくらいか判断するのは難しいですよね。そこで6インチを測るのに分かりやすいのが、ゴルフ場で配られるスコアカードです。スコアカードを開いた時の横幅が6インチになっていますので、6インチを測ってプレースしていきましょう。6インチプレースをしたいときにすぐスコアカードを出せるように、ボトムのポケットなどに準備をしておくと安心です。
また、スコアカードをすぐに準備ができない場合は、手で簡単に測ることもできます。手をグーにして親指と小指を立てて、アロハのポーズをとります。その親指から小指までの長さが15センチ前後となります。もちろん、人によってサイズは異なりますので、あらかじめ測っておくと万が一の時に役に立つでしょう。
3. 6インチプレースの適用条件と範囲
前述したとおり、ボールが障害物やライ(地面の状態)が悪く打ちにくい場合に6インチプレースで救済を受けることができます。ただし、ゴルフコース内であればどこにあるボールでも救済が受けられるかというと、そうではないので注意が必要です。
ここでは、具体的に6インチプレースが使える適用条件と具体的な状況について詳しく解説します。
3-1. 6インチプレースが使える適用条件
6インチプレースが適用できるのは、ボールがジェネラルエリアにあるときです。ジェネラルエリアとは、ゴルフコースの中でボールが通常プレイされる場所のことを指します。
具体的には、
・フェアウェイ
・フェアウェイの外側にあるラフ
・木々の間や道の脇
などがジェネラルエリアに含まれます。
次にあげる場所は、ジェネラルエリアには含まれません。
・カップのあるグリーン
・バンカー
・池
・最初にボールを打つティーイングエリア
・赤または黄色の杭で囲んであるペナルティエリア
・OBエリア
以上のジェネラルエリアに含まれない場所では、6インチプレースを適用することはできません。それぞれの場所によって、異なるルールが適用されるので注意しましょう。
3-2. 6インチプレースが使える具体的な状況
前述したとおり、6インチプレースはジェネラルエリア内であればどこでも適用ができます。
通常、ボールのライ(地面の状態)が良くないときや、周りの環境が悪くてスタンスがとりにくいときなどにプレーヤーの判断で6インチプレースを適用し、ボールを動かしてプレーをします。
具体的に6インチプレースが使える状況は、以下のとおりです。
・ボールが石、枝、大きな木の根、または他の障害物の近くにある場合
・ボールが非常に柔らかい芝や泥で埋まっているような場所にある場合
・芝が非常に短くなっている、または壊れている(靴跡やディボットなど)場所
・雨などでコースが湿っていてボールが泥だらけになった場合
・ボールが草の間に埋まっていて、打つのが難しい場合
以上のような状況下にボールがある場合は、ペナルティなくボールを6インチ動かすことが可能です。
4. 6インチプレースをしてみよう!注意点はある?
実際に6インチプレースの救済措置を受けるときには、いくつか注意点もあります。
6インチプレースはあくまでもローカルルールです。ゴルフラウンドを楽しむために注意点をしっかり押さえていきましょう。
4-1. 6インチ以上ボールを動かすのはNG!
ここまでお伝えしたとおり、6インチプレースは6インチ以内にボールを動かせる救済措置です。そのため、6インチ以上ボールを動かすことは、ルール違反となるので注意しましょう。
万が一、6インチ以上ボールを動かしてしまった場合は、「2打罰」のペナルティとなります。
4-2. 動かすときはカップに近づかないように注意
6インチプレースでボールを動かすときは、カップに近づいてはいけません。
プレースをするときは、元の場所よりカップから遠ざかる場所(後方)へプレースするように注意してください。
4-3. 6インチプレースはあくまでもローカルルールと考える
6インチプレースはあくまでもローカルルールであり、公式ルールではないことはしっかり理解しておきましょう。公式ルールではないからこそ、プレーヤーの中には「6インチプレースは邪道!」と嫌がる人もいます。ただし、スロープレーになりがちな初心者にとっては、6インチプレースをすることでスムーズなラウンドができることもあります。
一緒にラウンドする人と楽しくラウンドをするためにも、6インチプレースを適用したい場合はスタート前に適用OKか確認してからスタートすることがおすすめです。
5. 6インチプレースは賛否両論?!
6インチプレースは公式ルールではありませんので、6インチプレースで救済措置を受けることは、賛否両論あることを知っておきましょう。
ルールだからとは言え、ゴルフは自然相手のスポーツです。ボールが常に良いライの場所にあるとは限りません。そのため、ライが悪いからと言って毎度いいライに置き換えてプレーすることを嫌がるプレーヤーもいます。同伴者と楽しくゴルフラウンドするためには、6インチプレースをするときに同伴者の了解を得た上でボールを動かす配慮をすることも忘れないようにしましょう。
また、6インチプレースがあるからと言って、常にいいライでボールを打とうと考えるのは、あまりおすすめできません。なぜなら、6インチプレースがどんなコンペやラウンドでも採用されるわけではないからです。6インチプレースを適用し続けていると、いいライからしか打てなくなる可能性が大いにあります。そうなってしまえば、6インチプレースが使えないときに上手に打つことができず、スコアを大きく崩す結果となるでしょう。
先ほどもお伝えしたとおり、ゴルフは自然相手のスポーツであり、それがゴルフの醍醐味でもあります。少し難しいなと思うライも挑戦してみると、新たなゴルフの楽しさを見いだせるかもしれません。
6. 6インチプレースと6インチリプレース、ドロップの違い
ここまで6インチプレースについて詳しく解説をしてきましたが、ゴルフルールには「6インチリプレース」と「ドロップ」と言った似たようなルールが存在します。
この3つのルールは混同しやすいので、間違えないようにしっかり把握していきましょう。ひとつずつ詳しく解説します。
6-1. 6インチプレースと6インチリプレースの違い
6インチプレースは、ボールのライなどが悪くうまく打てない場合に6インチの範囲でボールを新しい場所に置いても良いというルールです。
一方、6インチリプレースとは、ボールが何かの理由で動いてしまったとき、そのボールを元の位置に6インチ以内で戻しても良いというルールです。例えば、ボールが風で動いたり、誰かがボールを触ってしまったとき、元の場所に戻すのではなく、元の場所から6インチ以内の範囲でボールを戻すことができます。
6-2. 6インチプレースと間違えやすいドロップとは?
プレースとは、違う場所に置くという意味ですが、ドロップは膝の高さからボールを落とすことです。
従来は、肩の高さからドロップをしていましたが、2019年の新ルールより膝の高さからボールを落とすことになりました。正確には、膝を曲げないようにまっすぐ立ち、膝の横からボールを落とすのが正しいドロップの方法です。膝の高さより低くても高くてもNGとなるので注意しましょう。
ドロップを使う場面は、ウォーターハザードや修理地などの障害エリアにボールが入ってしまった場合です。例えば、排水溝にボールがあった場合、そこからボールを打つことはできないため、1クラブの長さ以内にドロップをして救済を受けることができます。ドロップするときの1クラブの長さは、プレーヤーがそのラウンドのために持ち運んでいる最も長いクラブ(パターを除く)の長さとされています。
公式ルールでは、かなり細かくドロップの方法について決まりがあります。公式競技や試合などに出場する場合は、ルール違反にならないように正確なやり方を学んでおくようにしましょう。
7. まとめ
6インチプレースとは、ボールのライが悪い場合や、打ちにくい場所にボールがある場合に使うことができる救済処置のことです。しかし、6インチプレースはローカルルールであり、公式ルールではありません。あくまでもこのルールはプライベートラウンドや、コンペなどで競技進行を円滑にするなどの目的で使用されるルールです。そのため、どのようなラウンドでも6インチプレースが利用できるわけではないので注意しましょう。
プレーヤーの中には、6インチプレースを「邪道!」と思っている人も少なくありません。6インチプレースを適用したい場合は、スタート前に利用してもOKかどうか同伴者に了解を得た上でスタートすることがおすすめです。
ただし、ゴルフは自然相手のスポーツです。あるがままの自然を相手にプレーをすることがゴルフの醍醐味でもあります。毎度毎度、6インチプレースを使って良いライから打つのも悪くはありませんが、あるがままの自然を相手に本来のゴルフの楽しみを味わってみましょう!
取材・文/夢書房