いい季節になりましたね。佐伯三貴です。四季を通じて自然を身近で感じられるゴルフですが、過ごしやすい秋は、ひときわ落ち着いてコースと対話しやすい季節です。日々、高くなっていく空、徐々に色づいていく葉、頬に当たる風などの一つ一つが、秋の深まりを感じさせてくれます。
プレーしやすいのはもちろんですが、同時に楽しみたいのが秋ならではのファッションです。温暖化の影響で春や秋がだいぶ短くなった気もしますが、日本のように四季のある国だからこそ、小さなオシャレでも折々のシーズンを楽しむことをお勧めします。
プロゴルファー、特にツアーで活躍する女子プロの場合は、多くがウェアメーカーと契約を結んでいます。“広告塔”としての役割は、まず、結果を出してできる限りメディアに露出すること。強くなって人に見られる機会が増えれば、どんどん見た目の印象も強くなるものです。そのうえで、着こなしがかっこよく映れば、十分仕事をしているといえるでしょう。
ウェア契約にはいろいろなパターンがあります。上から下までのを何パターンも渡され「このセットで着てください」と言われる場合もあれば、渡されたものの中から自分でコーディネートを決める場合もあります。
タイガー・ウッズ選手のようなスーパースタークラスになると、マスターズの大舞台などでは事前に「タイガーの最終日のウェアはこれ」と言うように、ファンに知らされる場合もあります。“広告塔”としての価値がそれほど高いということですね。
メーカーさんは当然、シーズンのトレンドを取り入れたウェアを届けてくれます。制約の中でも工夫するのは楽しいものです。ベルトやソックスなどに差し色を合わせると、グンとオシャレ度が増します。これをトレンドカラーでやってみるとさらにグレードが上がるでしょう。
真夏のように汗をたくさんかくことも、真冬のように防寒が優先されることもない秋は、純粋にオシャレを楽しめます。女子プロの装いを見ればわかると思いますが、薄手のセーター姿が見られるのもこの季節くらいです。セーターの下にエリが絶対必要とされていた昔とは違い、今ではセーターそのまま、というスタイルも許容されるようになったので、よりファッショナブルな印象になっています。
ティーアップするときやグリーン上でボールを置いたり拾ったりするときなど、プレーに影響のないボトムス選びが必須なのは女子プロでも同じです。その中で、スカートやキュロット、ホットパンツから丈の様々なパンツまで、好みのスタイルでプレーしています。
セーターを着ているからと言っても、ボトムスはスカートだったりホットパンツだったりというのもキュート。以前はハイソックスやニーハイ(膝上ハイソックス)が多かったですが、最近では短めソックスでのかわいい着こなしも増えてきました。そのあたりを見るのも楽しいものです。
アマチュアのみなさんがプレーするときは、プロのような制約はないのですから、もっと自由に着こなしを楽しんでください。女性も男性も、ゴルフウェアの種類は本当に増えて、街にショッピングに行けるようなものもたくさんあります。
人気メーカーのシーズンものも悪くありませんが、それだと仲間とカブってしまうリスクもあります。売っているままではなく、先ほどお話しした差し色などを意識して、少しずつ自分のテイストを入れていくと、知らず知らずのうちにオシャレ上級者になれるかもしれません。
オシャレな男性ゴルファーもどんどん増えています。ただ、一つ気を付けてほしいのは、プロゴルファーがどんなに強くてかっこよくても、そのウェアをそのまま着るのはちょっと考えてからにしましょう。一時、あちこちのゴルフ場の赤いトップスに黒のパンツという男性がやたらに増えたことがありました。説明するまでもなく日曜日のタイガーの勝負服です。
もうひとつ、プロゴルファーには独特の雰囲気があります。言い換えれば、どんなウェアを着ていてもカッコよく見えるのです。仕事着だから当然とも言えますね。
でも、ゴルフが仕事というわけではないみなさんの場合は、しようとしているコーディネートが自分に似合うかどうかを、一度客観的な目で見ることをお勧めします。別に保守的にしろ、と言っているわけではありませんよ。ゴルフ場だからできる冒険心とシンプルさのバランスを、自分の個性と合わせたときに似合うかに会わないかを考えるのがいい、ということです。
トップスにもボトムスにも柄があるようなコーディネートは、なかなかの上級編です。プロならカッコよく見えても、アマチュアだと「パジャマかよ」と言われてしまうようなことがあります。「〇〇プロと同じなのに」とふくれるのではなく、まずはどちらか柄物なら、どちらかはシンプルという易しい組み合わせをしてみることをお勧めします。
これに帽子、ベルト、靴やソックスで差し色を合わせることで一気に上級のコーディネートになるはずです。
コーディネートが決まれば、気分もアガって、のびのびゴルフが楽しめるはず。お気に入りのウェアで秋のゴルフを思い切り楽しんでください。
取材・文/小川淳子 写真/Getty Images