夏の暑さが和らぐ今日この頃。賞金王争いが白熱するにはまだ早いこの時期に、男子、女子、シニアの各トーナメントにおいて、『メジャー』と呼ばれる大会が多く開催されるようになります。
国内におけるゴルフのメジャー大会は、いくつかあります。男子の場合は、「日本プロゴルフ選手権大会/日本ゴルフツアー選手権/日本オープンゴルフ選手権競技/ゴルフ日本シリーズ」の4大会。女子では「ワールドレディスチャンピオンシップ/日本女子プロゴルフ選手権大会/日本女子オープンゴルフ選手権競技/LPGAツアーチャンピオンシップ」の4大会。シニアでは「日本シニアオープン選手権競技/日本プロゴルフシニア選手権大会」の2大会がそれにあたります。
この時期に開催されるものとしては、男子、女子、シニアの3団体による、プロゴルフ選手権大会とオープンゴルフ選手権競技の6大会があり、他の時期に比べてとても多く感じられます。
なぜこの時期に開催される大会が多いの?
なぜこの時期に、全体の半数以上のメジャー大会が開催されるのか。実は各団体のオープンゴルフ選手権競技は、他のメジャー大会とは違い、公益財団法人である日本ゴルフ協会(JGA:JAPAN GOLF ASSOCIATION)の主催で行われます。そのため、他のメジャーとは一線を画すものとなっています。主催団体が違うため、年間を通して組まれるツアーとは違った形で設定されたものということになります。
プロゴルフ選手権大会とオープンゴルフ選手権競技は、どちらもその年の春から予選会が始まり、その集大成となるため、どうしても同じような時期に開催されることになるのです。
「日本オープンゴルフ」は最高峰の大会
トーナメント競技の中で、最も権威があると言われるメジャー大会。その中でも、「日本オープンゴルフ選手権競技」は国内最高峰と表現されます。
いくつかメジャー大会がある中で、この大会がなぜ「最高峰」と言われるのか。理由はその大会の積み上げて来た歴史によるものももちろんですが、この大会に出るために各地の予選会を勝ち抜いてきたプレーヤーが出場するということにも理由があります。
メジャー大会の出場枠は、その大会の過去の優勝者、賞金ランキング上位者、予選大会の通過者…といった各カテゴリーの中で優先順位が決められていて、それに該当する選手に優先順位順に出場の権利が与えられていきます。それは大会によって違い、オープン選手権競技にもそれ固有の優先順位が定められています。
他と違う部分として注目したいのは、プロの出場権利はその年のランキングが大きく加味されるということ。そして、各地方で開催された予選競技を勝ち抜いてきたアマチュア選手と共に最終予選を行い、そこで勝ち残った者に出場権が与えられるということです。今、その時に上手な選手に出場権が与えられる形と言っても良いかもしれません。
普段プロとして活躍しているトッププロのほとんどが、アマチュア時代にこの大会の出場を目指した経験があり、そう言った意味でも思い入れが強くなりがちなこの大会。優勝したいと思う選手が多いのは、その大会が持つ歴史や権威だけが理由では無いのです。
観戦する楽しみは、コースセッティングの難しさと展開の早さ!
さて、そんなオープンゴルフ選手権競技。ラフの長さやグリーンの硬さなど、コースセッティングも他の大会に比べれば非常に難しくなっています。観戦する楽しみは、その難しく作られたコースをどのように攻略していくのかということもちろんですが、展開の早さもこの大会ならではと言えます。
土日に開催される決勝ラウンドでは、全組1番ホールからプレーヤー二人の組でスタートしていくワンウェイ&ツーサム方式が取られます。(天候などにより変更も有り。)そのため、1ホールにかかる時間が少ないのが特徴で、優勝争いまでの展開が他の大会に比べて早く感じられると思います。
ちなみに、予選通過者の人数が奇数の場合、トップにスタートする組にはプレーイングマーカーと呼ばれるプレーヤーが急遽設定されます。決勝を一人で回らなければならない選手と一緒にプレーしながら、その選手のスコアを数える役目を担うそれは、この大会ならではの存在。開催コースのクラブチャンピオンが務めることが多く、緊張した面持ちで出て行くプレーイングマーカーを、コースの方々が楽しそうに見送る様子もこの大会でしか見られない風景です。
普段あまり名前を聞かない選手が上位に来ることも多いこの大会。いつもとはまた違った緊張感でラウンドする選手の様子をぜひ見て欲しいと思います。
◆おだみなプロフィール
おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。