今日から6月。関東も梅雨入り間近となりました。ゴルファーにとって嫌な雨の時期がやってきますね。
プロゴルフツアーの場合、雷の場合は別として、よほどの雨でない限り中止になることはありません。雨が降るとなれば、それなりの対策と準備をしなければなりません。降るのか降らないのか…判断しづらい天気の時は、クラブハウス前で空を見上げるキャディの姿を目にすることができます。
キャディ泣かせな雨
キャディバッグの重さは、メーカーによっても選手によっても違いますが、およそ15㎏から20kg。しかし、雨の準備をした場合は18㎏から25㎏程になります。傘、選手とキャディ2人分のレインウェア、タオル、予備のグローブ、キャディバッグ用の雨カバー等。スタート前から降っている場合は良いのですが、これから降るという雨予報がある場合には、大量の雨道具をキャディバッグに詰めて行かなければなりません。スタートのときは快晴だったのに、途中から土砂降りという天気は決して珍しいことではありません。
雨道具と言えば、まずは傘。そして、レインウェアですね。最近では、オシャレなレインウェアが増えました。傘は、メーカーの名前が入った大きなゴルフ用のものが目立ちます。
キャディバッグ用の雨カバーは、メーカーによって様々。ただ、嵩張るものが多いため、キャディバックに入れていくことはあまりありません。最近では、キャディバッグ自体が防水加工されて、少しの雨ならフードさえ持っていけば対応できるようになりました。
タオルは、必需品です。晴れ予報なら、ボールやクラブを拭くためのタオルだけで足りるのですが、雨予報となると、グリップを拭くタオルや手を拭くタオルと、それらの予備もたくさん必要になります。雨の状況によっては、グリップを毎回拭かなければならないような状況にもなり、グローブも全天候用のものを数枚、皮にこだわりがあるような選手なら、たくさんの枚数が必要になります。濡れたタオルを入れておくためのビニール袋も、入れておかなければなりません。
途中で雨が上がった場合など、濡れたレインウェア、カバー、タオルなどが全てキャディバックに入るため、その重さはより増します。
雨ならではの追加ローカルルール
さて、そんなキャディ泣かせな雨の日。トーナメントではそれに対応して、追加で出されるルールというのがあります。
まず、カジュアルウォーター(一時的な水たまり)からの救済が、規定のルールとしてあります。カジュアルウォーターにボールがある、またはスタンスがかかるといった場合は、ボールをピックアップして拭くことができ、水たまりでない最も近い場所にドロップできるというルールです。
雨の日のトーナメントではそれとは別に、「リフト&クリーン」もしくは、「プリファードライ」という追加ローカルルールが出されることがほとんどです。
【リフト&クリーン】・・・コース上にある球を、無罰で拾い上げて拭くことができます。その後その球は必ずリプレイス(元の位置に戻すこと)しなければなりません。
【プリファードライ】・・・コース上にある球を、無罰で拾い上げて汚れをふき取り、状態のいい場所におくことができます。フェアウェイやカラーだけに限られていることが多いです。拾い上げたボールは元あった場所から1クラブレングス以内や、6インチ(約15cm)以内など、決められた範囲にプレースします。こういった規則は、前日まで大雨だった場合などでフェアウェイの状況が悪い時などにも出されます。
濡れた球は飛距離が変わることもありますし、泥のついた球はどのような球筋を描くか想像がつかないので、どちらのルールも選手にとっては非常にありがたい規則と言えます。
コース内にエアホーンの音が鳴り響き、一時中断となると、スコアラー(スコアを数えて速報に伝える人)を通して、現場待機かクラブハウスへの引き揚げかを指示されます。
現場待機の場合は、コース内に設置された避難小屋や、茶店などで雨宿り。クラブハウスの傍だった場合はクラブハウスに戻るなど、何となく全体的にざわざわとした雰囲気になります。何時何分ごろ再開予定といった情報が流れ、タオルで拭くなどして身体が冷えてしまわないように気を付けながら、会話するなどして再開の時を待つことになります。
ギャラリーの方たちはそういった避難場所の中に入ることはできませんが、かなり近い位置で選手達の普段とは違う姿を見ることができます。テレビでは見ることのできない選手達の様子を見ることができるのは、雨の日ならではと言えるかもしれません。
◆おだみなプロフィール
おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。