7月14日(木)より、イギリスのスコットランドで開催されている「全英オープン」。150回を迎える記念大会である今回の全英オープンには、日本からは7人の選手が参戦しています。ゴルフの聖地と呼ばれるセント・アンドリュース・オールドコースで、どんな戦いを見せてくれるのか注目です。今回は、全英オープンの歴史や特徴、出場選手についてご紹介していきます。
全英オープンの歴史
世界の男子プロゴルフのメジャー大会は、マスターズ(Masters Tournament)、全米プロゴルフ選手権(U.S. PGA Championship)、全米オープン(U. S. Open)、全英オープン(The Open)の4つ。中でも、全英オープンは「最古のメジャー」と言われる大会です。British Openという名でも呼ばれますが、正しくはThe Open。他に区別するべき大会が無かったことが、その名前からもわかります。
全英オープンが開催されるコースは、イギリス国内の名門リンクスコース(海岸に面しているゴルフ場)で、いくつかのコースの持ち回りと決まっています。
イングランド、スコットランド、北アイルランド、ウェールズの4つの国の連合国であるイギリスですが、その歴史を示すかのように、全英オープンはイングランドとスコットランドのゴルフ場ばかりで開催されてきました。2019年にやっと、68年ぶり2度目となる北アイルランドのロイヤルポートラッシュで開催され、しかも北アイルランド出身のシェーン・ローリーが優勝したことで、大きな話題に。2025年にも同コースでの開催が決まっていて、現在ではウェールズを除く3つの国の12個のコースの持ち回りによって開催されています。
中でも、ゴルフ発祥の地と言われているセント・アンドリュース・オールドコース(スコットランド)は、全英オープンの主催者であるR&Aの本部の所在地でもあり、5年に1度はそこで開催されることが決まっていて、記念大会は必ずそこで開催されるようになっています。
今回の150回の記念大会ももちろん、セント・アンドリュース・オールドコースでの開催です。
開催コース「 セント・アンドリュース・オールドコース 」の特徴
この時期のスコットランドは、日の出は5時前、日の入りは10時前と昼間の時間がとても長く、全英オープンの予選1組目のスタート時間は、朝の6時35分。最終組は16時16分と、その差はなんと約10時間。
天候が急変しやすい地域でもあり、半袖に薄手の上着ぐらいでラウンドしていたかと思えば、急に風雨が強まってセーターにレインウェアを着込んでも寒い! といった状況になったりもします。
スタート時間によって、運不運が大きく分かれてしまうことがあるのも、全英オープンならではと言えるかもしれません。
コースはそれほど長くはないけれど地面が固く、リンクスコースならではの重たい風が特徴的です。
大会開催のために周辺と区切られてはいますが、普段は公園の一部であるかのようなゴルフ場で、すぐその隣では犬の散歩をしている人がいるなど、生活の一部にゴルフがある——そんな様子を伺うことができます。
全英の特徴とも言えるポットバンカーと呼ばれる深いバンカーは、壁のようなあごが特徴です。強い風で砂が飛ばされてしまってそのようになってしまったのかなと思えるような状況ですが、時には背丈ほどの深さがあるものも。
セント・アンドリュース・オールドコースの17番ホールには、有名な「トミーズバンカー」と呼ばれるバンカーがあります。1978年大会の3日目に首位タイでプレーしていた中島常幸プロが、脱出するのに4打を要して「9」を叩いたことから、名付けられたものです。
コース内の壁や道路はコースの一部とされていて、人工物として救済を受けることがでないため、壁に当ててグリーンを狙うといった状況が生まれるのも、このコースならではと言えます。
セント・アンドリュース・オールドコースといえば、18番にあるスィルカンブリッジという名前の小さな橋がとても有名で、記念撮影の場所になっています。練習ラウンドの際にそこで記念撮影をする人が多いので、それを待つための行列が18番ホールのティグラウンドにできてしまうそうです。
出場している日本人選手は誰?
日本人の最高順位は、1982年の倉本昌弘プロの4位。直近では、2013年の松山英樹プロの6位タイ以来トップ10がありません。
今年は、松山英樹プロ、今平周吾プロ、比嘉一貴プロ、金谷拓実プロ、桂川有人プロ、アマチュアの中島啓太選手の6選手が出場権を得ていましたが、ウェイティング(繰り上がり出場の権利)1番だった星野陸也プロが、スタートの5分前に出場を決めたお陰で、全部で7選手が出場しています。
早起きしてテレビ観戦をするマスターズとは違って、朝4時ぐらいに終了する全英オープンは、寝不足ゴルファーがたくさん生まれる週でもあります。今年もぜひ日本人選手に頑張ってもらって、寝不足と戦いながら応援しちゃいましょう!
◆おだみなプロフィール
おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。