実は決まってない?!「ボール1個外」はカップのどこ? ベテランキャディが、ラインの聞き方教えます!

こんにちは。ハウスキャディ歴●年のB子です。さて、先日キャディをやらせていただいたお客様。グリーン上では、ピンまでの距離が遠い人から金4点、銀3点、銅2点、鉄1点…といったように、1パットで入れば点数が加算される「オリンピック」というゲームが白熱しておりました。ゴルフでは大変身近なこのゲームですが、キャディにとって非常に悩ましい状況になることがあります。

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1パットでなければ点数にならない——となれば、そのラインを読む時間も長くなるのも当然。カップからの距離で点数が変わるため、全員がグリーンに載るまでパターができない、同じような距離だった場合に測るのに時間がかかる、あえてグリーンの外に出す人も…といった問題点もあり、どうしてもスロープレーになりがちです。グリーンが終わった後も、点数を記入するためになかなかグリーン上から移動していただけなかったり、ラウンド終了後も点数計算が忙しくてクラブ確認をしていただけなかったり。お客様は手軽にできて楽しいけれど、キャディ泣かせなオリンピック。しかし、なんといっても一番悩ましいのは、ラインについてかなり聞かれるということです。

◆ラインの聞き方が曖昧だと、答え方も曖昧に!

1パットで決めることによって点数が加算されるということは、ラインが非常に重要になってくるわけで…。当然のように、キャディはラインを聞かれます。「これ、下り?」「まっすぐで良い?」「これ、スライスする?」「どれくらい曲がる?」「カップ1個外して良い?」「どこを通せば良い?」「ここまで打つ感じで良い?」といったように、傾斜そのものを聞く人、狙う場所を聞く人、ボールの通り道を聞く人、仮想カップを聞く人といったように、聞き方は人によって、または状況によって様々。

しかし、オリンピックをしている場合、普段であればキャディにラインを聞かないという人でも、「このパットに点数がかかっている」と思うと、誰かに背中を押してもらいたくなるようで。ただ確認のためだけに聞くからか、普段ラインを聞く人よりもどうしてもアバウトな聞き方をする人が多い印象です。特に多いのが、「これ、結構切れる?」という聞き方。はて、「結構」とはどれ位切れることをいうのでしょうか? 「ちょっと」「そこそこ」「まあまあ」といったように日本語には非常に曖昧な言葉が多く、その印象の違いのせいでお客様から責められる…なんてことも。キャディにとっての「結構」が2カップぐらいでも、お客様にとっては30センチぐらいだったりするわけです。

私の場合、アバウトに聞かれたときは、お客様のイメージのほうが大切だし、やはり最後は自分の責任で打つものと思っているので、よほど間違っていない限りその意見を否定しません。つまり、具体的にここと言われてもそこに打つ自信が無い方や、イメージを大切にして打ちたいという方、自分の意見を後押ししてほしいという方などには、おすすめの聞き方とも言えますね。

◆「ボール1個」とは、どこを狙うこと? 認識をすり合わせて!

「どこを狙えば良い?」といったように、具体的なターゲットを教えてほしいと求められれば、「カップいっぱい」や「ボール1個分外」「カップ2個外す」「あのボールマークを通す」といったように、キャディは答えます。ところが、これにもまた問題が。皆さん、この「ボール1個外す」と言われた際、カップのどこを狙っていますか?

数年前に、とある雑誌で非常に気になる記事を見つけました。その内容は、プロとプロキャディに「ボール1個外と言われたらどこに打つか」という質問をしたところ、人によって違いがあった——というもの。何年もタッグを組んでいたプロとキャディの間でさえズレがあって、「ボール1個」の定義が、実ははっきりと決まっていないらしい…。それ以来、たまにお客様に質問させていただいていますが、お仲間同士でも「ボール1個」の狙う場所に、ボール1個分のずれが生じている場合が結構ありました。

ラインを読むのが苦手な方は、「どこを狙えば良い?」または「どこを通せば良い?」と聞くのがおすすめ。指してほしいと言われれば、「ここを狙ってください。」といったように示すこともできます。

ちなみに、オリンピックの点数配分が大きすぎて責任がとれない! といった場合には、「読めません」とお断りさせていただくこともあるので、その点はご了承ください。

あなたにとっての「ボール1個分左」はどこ?

◆キャディのB子 プロフィール

キャディのB子/あるゴルフ場のアルバイトキャディ。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、大学のゴルフサークルに所属。就職活動に失敗し、ハウスキャディのアルバイトをして就職先を探すはずが、キャディが天職と気づく。シャンクが一番の敵。

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