再来週、待ちに待った今季の女子ゴルフツアーがいよいよ幕開け! 場所は、沖縄。既に現地入りを済ませ、最終調整を行っているプロもいることでしょう。毎年、新たなヒロインが誕生する女子ツアー。気になるのは、その出場選手です。シード選手やクォリファイングトーナメント(QT)の上位選手以外で大会に出場予定の選手は、大会によって違います。特に、その大会の特徴的存在となるのは、主催者推薦枠による出場選手です。
◆出場権と優先順位
出場できる権利として最もわかりやすいのが、「シード権」。昨年度のツアーでメルセデスランキングの上位50位までに入ったプロに与えられるもので、女王に輝いた山下美夢有プロはもちろん、50位の小倉彩愛プロまでの50名に与えられている出場権です。
中でも、永久シードと呼ばれるシード権は、ツアーで30勝したプロに与えられるもので、永久的に出場できるという権利です。その権利を有するのは、樋口久子プロ(69勝)、大迫たつ子プロ(45勝)、涂阿玉プロ(58勝)、岡本綾子プロ(44勝)、森口祐子プロ(41勝)、不動裕理プロ(50勝)の6名だけ。かなりの狭き門で、あと1勝すれば永久シードという吉川なよ子プロの話はとても有名です。
ちなみに、男子プロは通算25勝のプロに与えられますが、尾崎将司プロ(94勝)、青木功プロ(51勝)、中嶋常幸プロ(48勝)、尾崎直道プロ(32勝)、片山晋呉プロ(31勝)、倉本昌弘プロ(30勝)、杉原輝雄プロ(28勝)の7名しかいません。 ※()内の優勝回数はそれぞれ国内のみ
シードによる出場権の中には、トーナメント特別保障制度によって休場していた選手も含まれます。大会中の怪我などにより、シード権があるにも関わらず欠場を余儀なくされてしまった場合に、欠場した大会数と同じ数の大会に出場できるというもの。それによって得たメルセデス・ポイントと、欠場するまでに獲得したポイントの合計が休んだ年の50位以内に相当していれば、その後も出場できるという制度です。最長3年間認められる産休制度もあります。
前年度のツアーの競技で優勝した選手にも、出場権があります。古江彩佳プロはメルセデスランキングでは56位ですが、富士通レディースで優勝しているので、一部公式戦を除く全ての大会に出場する権利があります。
今季のツアーで優勝した選手にも当然出場権が与えられるので、例えばシード権の無い選手が開幕戦で優勝した場合、今季と来季の2年間のほぼ全ての大会に出場する権利が与えられることになります。
公式戦優勝やメルセデスランキング1位といった場合には、最長で7年の複数年のシード権を獲得することもできます。
以上の権利をシード権と言い、その権利を持つ選手は開幕戦から公式戦を除くほぼ全ての大会に出場することができますが、シード権を持たない選手は年に2回行われるリランキングによって、出場優先順位が変わります。
リランキングとは、優先順位をその年のメルセデスランキングの上位順に並び変えること。前年度のメルセデスランキング51位から55位の選手、前年度のステップ・アップ・ツアー(下部ツアー)の賞金ランキング上位2位までの選手、QTランキング上位の選手という順番で、選手ひとりひとりに優先順位が与えられています。しかし、リランキングが実施されるとその順位が変わります。主催者推薦によるスポット参戦でも、ポイントを多く獲得できればリランキング後の大会に出場できるようになります。時に、有名選手が「QTには出場せず、主催者推薦で結果を出してシード獲得を目指します」という発言をしますが、それはこの仕組みを利用したものです。
◆主催者推薦とは?
「主催者推薦枠」は、出場する権利が無いけれど出場させたいと思う選手に、その大会の主催者が与えることのできる出場権。例えば、とあるゴルフクラブメーカーが主催する大会であれば、そのクラブメーカーと契約している選手を優先的に出場させたいと思うものですね。主催者推薦枠はほとんどの大会にあり、その枠を得るための選考会が行われることもあります。女子ツアーの場合、大会の開催される週の月曜日や火曜日に行われることが多いですが、男子ツアーの場合は月曜日開催が多いことから、「マンデー」と呼ばれています。
アマチュア選手が出場するのも、この推薦によるもの。前半戦は、シード権を失ったプロが後半戦の出場権を得るためにこの権利を求め、後半戦はシード争いに加わっていながらも出場権の無いプロがこの枠を狙います。その大会の特徴的存在を示しているともいえる、大事な出場権です。
今季開幕戦のダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントでは、アマチュア4名に出場権を与える主催者推薦選考会が行われ、178名ものアマチュアゴルファーが出場しました。トップ通過の吉﨑マーナ選手は、なんと中学3年生! 本戦での活躍が、非常に楽しみですね!
◆おだみなプロフィール
おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。