J・パグンサンプロの優勝で幕を閉じた「ゴルフパートナー PRO-AM トーナメント 2023」。茨城県にある取手国際ゴルフ倶楽部の東コースと⻄コース36ホールを利用して開催された今回の大会ですが、なんだかいつものプロの大会とは何かが違う? と気が付いた方も多いのでは。
大会名に「プロアマ」とついている通り、今回は「プロアマ形式」という、日本ではあまり聞きなれない形式での戦いでした。というわけで、今大会で採用されていた「プロアマ形式」、そしてプロのトーナメントには欠かせない“プロアマ”の重要性について説明していきます。
◆ プロアマ形式って何?
今回の大会、名前に「プロアマ」とついていることからもわかるように、全ての組にプロとアマがいる形でラウンドします。こうした形式での大会は、USPGAツアーでは1937年から行われているもの。現在でも、毎年2月に開催されている「AT&T ペブルビーチプロアマ」がありますね。日本では、2021年から始まったこの大会で、初めて採用されました。事前に開催された予選会を通過してきたアマチュアが、プロと一緒にラウンドし、プロ、アマ、それぞれのスコアを集計して順位を決めます。
普段のトーナメントでも、ほぼ全ての大会でプロアマ戦が開催されています。開催されるのは、大会初日の前日、4日間競技なら水曜日、3日間競技なら木曜日であることがほとんどです。
では、そういった普段のトーナメントで開催されるプロアマ戦に出場するアマチュア選手はどんな人か? 今大会のように出場権をかけた予選会などが事前に開催されている場合もありますが、多くの出場者は大会のスポンサー企業の関連の方々です。過去には、「プロアマが無事に終われば大会は成功」とまで言われるほどに、プロアマ戦を重視していた大会もあるほど、スポンサー側にとっては非常に重要なイベントなのです。
プロアマ戦の前日に前夜祭が開催されるものも多く、その際には普段のゴルフウェアとは違う素敵に着飾ったプロの姿を見ることができるのも特徴。ラウンド後にも、短いながら表彰パーティがあったりもします。
本戦の決勝が行われている日に、大会が開催されているコースとは別のコースで、予選落ちしたプロが参加して開催される「アフタープロアマ」と呼ばれるプロアマ戦を開催する大会もあります。
◆ プロアマならではのルールは?
プロ1名とアマ3名、またはプロ2名とアマ2名で組んでラウンドする形が多く、その際にチーム戦が行われることがほとんど。チーム戦のルールは大会によって違いますが、ベストボール方式、またはスクランブル方式といった戦い方でスコアを競うことが多いです。
・ベストボール方式
プロ、アマ、それぞれ自分の球をプレー。ホールごとに一番良いスコアを採用し、その合計を競います。
「もう既にチームスコアはバーディが確定しているから」とピックアップなどしない限り自分のスコアを数えることもできるので、自分のゴルフもしっかり楽しみたい! という方に向いているルールになります。
・スクランブル方式
それぞれがティショットを打ち、その中で一番良い場所を選んでそこから全員が打っていきます。サード地点以降も同様です。選ばれなかったプレーヤーは自分の球を拾い、選んだ場所からプレーということになりますね。
プロの球が常に採用されてしまうことも少なくないため、18ホールの中でそれぞれ一度はティショットを採用しなければならないといったルールが追加されることもあります。全員が同じ場所から打つことになるので、レッスンしてもらいやすいという特徴があり、トーナメントで開催されているプロアマ戦では、こちらを採用していることが多いです。
◆ 新しいトーナメントの形に?
さて、今回のプロアマという形のトーナメント。本戦でプロとアマが一緒にラウンドするという珍しい形ではありますが、プロとアマの距離が近くなる良い機会でもあります。通常の大会では見られないようなプロの表情を見ることができるのも、大きな魅力ですね。こういった形の大会が増えてくれると、プロの大会ももっと身近で楽しいものになるのでは? 今後、こういった形の大会が増えてくれたら良いなと思います。
今回のように、プロアマ大会に出場できる機会というのは一般ゴルファーにはなかなかありません。それでも、「ぜひプロアマ戦を経験してみたい!」という方は、ゴルフメーカーやゴルフ場などで独自に開催して参加者を募集していることもあるので、そちらを探してみてはいかがでしょうか。
◆おだみなプロフィール
おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。