プロゴルファーを支える【ツアーレップ】と【ツアーバス】って何?

「プロゴルファーって、新しいクラブ使い放題なんでしょ?」と聞かれることがありますが、新しいクラブを使用することもプロの仕事のひとつと言えるかもしれません。
大会前、練習ラウンドが行われているトーナメント会場では、練習場やパッティンググリーンの周りに新しいクラブがずらり! 誰でも使ってくださいと言わんばかりにクラブが並べられていたり、たくさんのクラブを抱えた人がプロと話し込んでいたりというのは、練習日にはよく見られる景色です。

各クラブメーカーには、ツアーに出場する選手をサポートする「プロ担当」または「ツアーレップ」と呼ばれる人たちがいます。プロにとって、契約しているクラブメーカーとの現場でのやり取りは非常に重要。その週の調子やコース状況によって変わってくるプロからの様々な要望に応えられるように、トーナメント会場にはすぐに対応するためのシステムがあります。

プロにとって無くてはならない存在である「ツアーレップ」、そして彼らの職場でもあり、プロも思わずワクワクしてしまう場所「ツアーバス」についてお話したいと思います。

ツアー会場には、工房の役割を担うツアーバスが。

◆ ツアーレップのお仕事は?

ゴルフ場や天気など、状況が違えば必要なクラブも変わってくるもの。プロの調子によっても、少し変更したいと思う部分が出てきたりもします。毎日振っていてれば疲れてくるグリップも、頻繁に交換しなければなりません。ツアーレップの方々は、そんな風にプロが現場で必要としていることに対して、意見を交わしながら調整を行います。

プロの調子を確認するため、練習場でプロと会話をしている姿をよく見かけます。プロの練習ラウンドについて行って、意見を交換していることもよくあります。新しいクラブが開発される頃には、実際に使ってもらって意見をもらうといったことも重要な仕事のひとつです。

◆ ツアーバスって? バスの中はどうなっているの?

プロの大会は毎週違うゴルフ場で開催されるけれど、ゴルフショップ等によくある工房がなくても大丈夫なの? と思われるかもしれませんが、実は大きなクラブメーカーは工房を「会場に持ってきている」のです。

大会が始まる前のトーナメント会場には、大きなトラックやバスのような見た目をした車が数台並んで停められている場所があります。それらは、全てクラブメーカーの工房を載せた「ツアーバス」。プロが会場入りする前にやってきて、プロの練習が始まる頃にはゴルフショップのようにクラブや荷物がずらりと並べられています。

クラブメーカーのツアーバスがずらりと並ぶ

バスの中は、まさに工房。たくさんのクラブと、様々な道具が並んでいます。ドライバーのヘッドが上の方でゴロゴロしていたり、組まれたばかりのクラブがずらりと並べられていたりと、ゴルファーなら思わずワクワクしてしまうような空間。プロも新しいお宝があるんじゃないかと、目をキラキラさせながらやってきたりします。

クラブ以外の様々な物品も載っていて、タオルやグローブなど、必要なものは全て揃っています。練習ラウンドの日の朝は、ボールを扱うメーカーであれば、プロがその週に使うボールが入った紙袋が契約プロの人数分ずらりと並べられていて、キャディがそれを取りに来る光景も見られます。

工房顔負けの道具が揃うツアーバスの内部

プロが会場入りして練習を始めると、ツアーレップの方々はその様子を見て色々な注文を受けてバスで調整。時には、プロ自身がツアーバスに直接足を運んで、クラブを調整してもらったり、相談に乗ってもらったりもします。

◆ 日本中を旅するツアーバス

ツアーレップとして働く方々は、工房付きのツアーバスにたくさんのクラブや道具を乗せて転戦するため、船で移動することも! 大きなクラブメーカーであれば、関東と関西に1台ずつあって、男子ツアーと女子ツアーのどちらか近い方で使う仕組みを取っていることもあります。

大会が始まると、ほとんどのツアーバスは会場から撤退。次の会場に移動していきます。大きなツアーバスが、何台も連なって会場から出ていく姿は圧巻です! しかし、大会期間中にはほとんどその姿が無いため、ギャラリーをしに来てもなかなかお目にかかることはできないのは残念ですね。

◆おだみなプロフィール

おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。

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