コロナ禍でゴルファーが増えたことがきっかけか、街中にゴルフスクールを見かけることやWeb広告を見る機会が増えてきたと思いませんか? ゴルフに熱中して80台、70台と順調にスコアを伸ばしている方の中には、「ゴルフスクールのインストラクターってどうやったらなれるの?」と気になっている方もいるでしょう。
そこで今回は、関西圏で21のゴルフスクールを運営している「駅前ゴルフスクール」の近田 豊年校長に、最近のインストラクターの資格事情について、お話をきいてみました。
◆ゴルフ「インストラクター」に資格は不要?!
意外なことに、ゴルフインストラクターになるには特別な資格は必要ないとのこと。それぞれのスクールが認定すれば、インストラクターとして生徒を教えることが出来るんです。
ゴルフを教えるための資格としてPGAやLPGAのティーチングプロ資格認定制度がありますが、この資格はインストラクターになるための必須条件ではないそうです。
PGA(公益社団法人 日本プロゴルフ協会)の例をあげると、PGAには資格認定プロテストというものがあり、書類審査、プレ実技、実技、筆記・面接に合格すると「B級会員資格」が与えられます。そのほか、NGFライセンスクラブというアメリカゴルフ財団(NGF)のビジネスメンバーになると「NGFプロインストラクター」を名乗ることができるなど、ゴルフインストラクターとして働くために持っておけば有利になる資格、というものは様々にあります。
このような資格を持っていると「ゴルフを教えるノウハウを持っている人」と明確に分かりやすいため、ゴルフスクールから採用されやすくなるかもしれません。しかし最近はあまり採用の合否に重視される要件ではなく、インストラクターになるためにはもっと重要な要素が必要なのだそうです。
◆ゴルフインストラクターに必要なのは「接客スキル」
ゴルフのインストラクターに必要なのは「ホスピタリティ」「マナー」「接客スキル」と近田校長。
「スクールに通われる大半の方は初心者ゴルファーの方です。初心者の方にゴルフの楽しさを伝えることがインストラクターの大切な役目。そのためには資格を有無やハイスコアであることよりも『また通いたい』『もっと上手くなりたい』と感じてもらうことが大切」と語ります。
また、ゴルフのインストラクターになるには、相当な腕前が必要なのでは?と思うかもしれませんが、意外なことにそこまで高いレベルのスコアは必要ないそうです。
近田校長いわく「ゴルフの腕前は上手いに越したことはありませんが、90位であれば十分です。基本的なゴルフの知識と、あとは社会人としてのマナーや気配り目配りができること。あとは人柄の良さがポイントになってきます」
◆インストラクターに向いているのはこんな人!
・接客スキル
・気配り力(周囲が見えている)
・人当たりの良さ
・相手の気持ちが分かる人
・体力(多少は必要です)
・ゴルフの腕前(90台以上が望ましい)
逆にNGとされるのは、上記のような素養がない人。上から目線で「教えてやろう」という姿勢の人は向いていないとのこと。
◆ゴルフのインストラクターになるには?
スクール認定のインストラクターになる手順は、スクールによって異なります。参考までに「駅前ゴルフスクール」の採用・育成の流れをご紹介しますので、参考にしてみてください。
1.紹介や、ホームページの募集欄から問い合わせる
2.面接
3.試打
面接と実技で合格すれば、約3か月の研修を経てインストラクターデビュー、という流れです。面接の内容や研修期間はスクールによって異なりますが、一般的に1~3か月前後の研修期間が多いようです。面接は、接客業の経験や何かしらの指導経験がある人は、アピールポイントになりそうです。
どのスクールでもゴルフ経験とスコアは聞かれるでしょう。学歴のように調べることができないので自己申告になりますが「試打を見れば大体のことは分かります。アドレスを見ればその方の腕前が分かりますよ」と近田校長。採用後にスクールが認定した資格や試験に合格すれば、インストラクターとしてデビューできます。
◆まだまだ少ない女性インストラクター
気配り力や人柄、周囲に気を配れる人、周囲に目が行き届く人が向いているということは、女性にも向いている職業といえそうです。しかしまだまだ女性のインストラクターは少なく、駅前ゴルフスクールでは現在52名のインストラクターのうち、女性は10名ほどとまだまだ少ない状況。
インストラクターの中には、別のスクールでコーチをしていた人や、インストラクター業が初めての人などさまざまです。ティーチングの資格を持っている人はそれほど多くないとのこと。PGAの資格がなくても、面接に合格すれば社内研修をしっかり行うのでティーチングスキルは入社後に身についていくため、あまり深く考えすぎず飛び込んでみるのもありではないでしょうか。
スクールの生徒さんからインストラクターになった人や、サラリーマンからの転職、元アスリートなどインストラクターの経歴はさまざまで、インストラクターからの紹介が多いとのこと。初心者からでも1年半くらいしっかり練習すれば90台のスコアは目指せるので、インストラクターにチャレンジするのは難しくないそうです。
◆ゴルフインストラクターは接客スキルがポイント
ゴルフのインストラクターに資格が必要なのか否かは、スクールの方針によって異なります。上級者を教えるスクールであれば、ゴルフの経歴や腕前、資格の有無が採用の基準になるでしょう。しかし、初心者をターゲットにしているスクールの場合は、ある程度のゴルフ経験と技術に加え、接客スキルや人柄を重視されるようです。
資格を持っていると、採用になりやすかったり生徒さんからの信頼を得やすかったりともちろんメリットはあります。しかし、最近のスクールにはゴルフ初心者や20~30代の若年層が増えてきているため、指導経験や資格の有無よりも人柄や接客スキルが求められているようです。
「ゴルフのインストラクターになってみたい!」と思う人は、スクール独自の指導方法やレッスン内容を学ぶためにも、実際にスクールに入ってみるのも一つの手段です。PGAやNGFの資格を取るには時間もお金もかかります。その費用をレッスン代にして、スコアアップとインストラクターの仕事を手に入れてみてはいかがでしょうか。
取材・文/夢書房