華やかに見えるプロスポーツの世界。中でもゴルファーは稼いでいるイメージがありますが、億単位で稼ぐ人は少数であることは想像できると思います。ゴルファーの中には「息子をプロに育て上げて、がっつり稼いでほしい……!」なんて壮大な夢を語る方もいますが、果たしてプロゴルファーの年収、一般サラリーマンの平均年収と比較するとどうでしょうか? プロゴルファーならではのさまざまな支出も含めて解説します。
◆プロゴルファーの年収を賞金ランキングから考える
トーナメントに出場しているプロゴルファーの年収を、メインの収入源である賞金から考えてみましょう。2023年度の賞金ランキング1位の中島啓太プロは1億8千万円、5位の今平周吾プロまでもが1億円を超えていて、かなりの高収入です。その下も見てみると、80位の桂川有人プロまで1千万円を超えています。国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、年収1千万円以上の給与所得者は全体の6.2%となっています。サラリーマンだと、かなり上位の高所得者だといえるでしょう。
◆サラリーマンの平均年収を稼ぐには
男性サラリーマンの平均年収を調べてみましょう。国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると563万円となっています。厳密に言うとサラリーマンは源泉徴収があるので、個人事業主のプロゴルファーとは手取り収入は変わりますが、トーナメントに出場するための経費は、宿泊費や交通費など、出場機会が多ければ1千万円近く掛かります。サラリーマンの平均年収の563万円に経費の1千万円を足すと、1563万円稼がないと平均年収に届かないという計算になります。サラリーマンのように安定して稼ぐのが、いかに厳しいかおわかりでしょうか。トーナメントだけで生活できるゴルファーは一握りです。しかし一定の成績を残すことでスポンサーと契約でき、商品の宣伝をする代わりに遠征費用やギヤに関する費用を負担してもらえるのです。スポンサーが付くほどの知名度でないと、賞金だけで生活するのは難しいのかもしれません。その他にも、書籍を出したりメディアに出演したりするのもプロゴルファーの収入源になります。
◆プロゴルファーは賞金だけがメインの収入源ではない
プロゴルファーのメインの収入が、賞金という人はむしろ少数です。前述のとおりメディア出演のほかにも、レッスンプロという道もあります。ゴルフ練習場などでゴルフを教えて給料を貰う人のことです。レッスンプロの年収も、人気によってかなり幅広いようですが、300~400万円程度が一般的です。ツアープロと違い遠征などの経費は少ないので、貰える給料は全て自分の収入になります。
◆プロゴルファーは支出も多い
プロゴルファーはトーナメントに出場するための必要経費も多く掛かります。例えば交通費、宿泊費、キャディに支払う給料などは全て実費で払う必要があります。移動手段や専属キャディを付けているかどうかで幅はありますが、1試合出場するのに30~40万円程度の経費が必要です。もし年間30試合に出場すれば、1千万円近くの経費が掛かることも考えられます。しかし、予選落ちすれば賞金はもらえないため、年間の獲得賞金が0円というプロゴルファーもいます。賞金ランキング70位前後の選手の賞金額を見ても、単純にかかる経費を差し引くと、サラリーマンの平均年収を下回る計算になってしまいます。かなり厳しい職業だということがわかりますよね。
◆プロゴルファーは華がある職業に見えるが、決して甘くはない
ツアープロ、レッスンプロいずれもサラリーマンの平均年収以上を稼ぐ人はほんの一握りで、プロになったからラクに稼げる、という甘い世界ではないことがわかります。テレビなどでよく見る有名なプレーヤーはその頂点に立つトップ中のトッププロ。だからこそ、多くのゴルファーが憧れるのでしょう。
取材・文/夢書房